世界樹の秘密を知るJK。
「ふぅ、帰っちゃったね。次ダンジョンに行く時はまたイル君誘ってみよっか? 戦力になりそうだし。絶対に許さないけど」
「冗談。あんなのわざわざ誘う必要ないだろ。。もし誘うにしてもあのフロアに出た場合だけで十分だ」
おや、何が何でも絶対に嫌、って訳じゃないんだね。なんだかんだ言ってやっぱり兄妹って奴なのかな。
少し羨ましい。
私はアーニャと姉妹みたいに育ったけれど、私は多分嫌われているから……文句は言うけれど家族の繋がり、みたいなのが感じられるの羨ましいんだよね。
「まぁイル君はそんとき考えればいいとして、今日はアーニャどうする? もう帰る?」
以前みたいにこの家で一緒に住んでたらいつでもダンジョンに潜れるし話が早かったんだけど……。
「帰ろうかとも思ったけどその前にあれ試してみようぜ」
あれ? ……あぁ、あれか。
「確かにいろいろ気になるもんね♪ じゃあ何から調べてみる?」
私は解説書を手に取り、アーニャを覗いて見る。
「おいやめろ」
「大丈夫だよ。これダンジョン内のアイテムにしか反応しないみたい。なんでも詳細が見れるなら面白かったんだけどね」
「面白いもんか。私はさっき心臓が飛び出るかと思ったぞ」
あのくらいで? アーニャがそこまで言うのは珍しいし、今もかなり不機嫌そうな顔をしてる。
何か知られたくないプライベートな情報があるって事なんだろうけど……。
「せっかくアーニャのスリーサイズとか分かるかと思ったのに」
「はぁ……。あまりにプライベートな情報まで見れるようなら困ると思ったが別にその心配はないみたいだな。とにかく馬鹿言ってないで調べてみるぞ。最初は……そうだな。これなんかどうだ?」
アーニャが私に向かって回復アイテムを差し出した。
解説書……透明なカードで透かして見ると、そこに説明文が浮き上がってくる。
【治癒の葉】
レア度:‐
攻撃力:‐
属性:‐
追加効果:‐
耐性:‐
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身体に張り付ける事によってどんな傷でも一瞬で癒す事が出来る葉っぱ。
ダンジョン内では珍しい物ではなくレア度は限りなく低いのだが、効果は絶大であり、これを使ってうまく立ち回れば全滅という危険は防ぐ事が出来るだろう。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「治癒の葉ってのが正式名称みたいだな。じゃあこれは?」
私は次のアイテムを透かして見る。
【世界樹の葉をすり潰した際に出る雫を乾燥させて水で十倍に薄めた物】
レア度:‐
攻撃力:‐
属性:‐
追加効果:‐
耐性:‐
◆◆◆◆◆◆◆◆
かの有名な世界樹の葉。あまり知られていないが世界樹の葉は劇薬であり、そのまま死者の口にでも突っ込もうものなら穴という穴から活力が噴き出しその衝撃で再び死に至る。
身体は活性化し続けるので再生と死亡を繰り返すゾンビが出来上がるのだ。
人が摂取するならすり潰した雫を乾燥させて粉にして、それを水にほんの少量溶かし、一滴口に垂らす程度で丁度いい。
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「やめて! 世界樹の葉に対するイメージを壊さないで!!」
説明を読んだ私はつい叫んでしまった。
だってあの世界樹の葉だよ? やっぱりこれは世界樹の……! って喜んだらあまりに酷い内容だった。
「世界樹ってなんだ? 高級品なのか?」
そんな事言って首をかしげるアーニャがなんていうかあーもう憎らし可愛いのだぜ!






