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上手くいきすぎて引くJK。


「ハーレム王に私はなるっ!!」


 ごいんっ!


「いってぇ……」


 アーニャがその細くてか弱い白くて柔らかい手で私の頭を殴った。

 殴った場所が少しだけ赤くなってる。


「調子にのんな」


「ご、ごめんって。でも気を付けてよ……? アーニャの綺麗な手に怪我でもされたら私困っちゃうから」


「な、なな何を馬鹿言ってるんだお前は!」


 ちょっと赤くなってる部分を私から隠すようにもう片方の掌で隠す仕草がたまらん。


「もうアーニャ一人の身体じゃないんだからね? もっと大事にしてもらわないと」


「お前……わざと言ってるだろ」

「あ、バレた?」


「……やっぱりナイフ刺さないと分からないらしいな」

「ごめんごめん許してお願いアーニャ様っ!」


「ふん。……別にいい。それよりキャロどうするんだよ」


「わたくしは大丈夫ですわ! もう覚悟完了! ですわ!」


 ……どうしようか。


「私が責任もって二人の面倒を見ようじゃないか! ガハハ!」


 と勢いで適当な事を言ってみた。

 アーニャが怒って私に突っ込みを入れてくれる流れを期待していたんだけれど、彼女は呆れたようにため息をつくだけだった。


「お前さ……ハーレム本気で作る気なのか? もしそれが本気だとしてもキャロまででやめとけよ?」


 ……なんだその反応。

「なんだその反応!!」


 心の声と外に漏れる声が一緒になってしまった。


「なんだって言われても……お前の馬鹿は今に始まった事じゃねぇしもう諦めたよ」


「えっ、ちょっと待って見捨てないで!」


「見捨てるとか人聞きの悪い事言うな。私は別に異論は無いって言ってんだ分れ」


 そう言ってぷいっと顔を逸らされた。ヤバい。どうしよう……思ってた展開と違いすぎて困惑しかない。


「そうときまればよろしくお願い致しますわ♪」


 君はなんで急にそんな乗り気になっちゃったかな!?


「キャロちゃん、君はほんとにそれでいいのかね」


「わたくしに二言はないのですわ! 覚悟を決めると考えた時、既に覚悟は完了しているのですわっ!」


 私にはこの子がわからん。

 目をキラキラさせて私達を見つめてくるけれど、本当に分ってんのかねぇ……。


「キャロちゃんさ、こっちから誘っておいてなんだけど……多分思ってるような事と違うと思うしいざとなったら嫌な思いすると思うから辞めといた方がいいんじゃない?」


「失礼ですわよ? わたくしちゃんとそういう作品も存じていると申し上げましたわよね? その上で覚悟が完了したと言ってますので! よよよよ余裕なのででですわっ!」


 あー、マジでかー。ほんとにいいのかな。

 私にとって都合が良すぎる展開に軽く引いてる。


 それと同時に、早く家に帰りたくてしょうがない。


 この子いったいどうしてくれようか……。


あまりに都合よく行き過ぎて頭が追い付いていないお嬢なのでした。

実はかなりテンパってます。

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