新天地へ繰り出すJK。
私達は町長さんの条件を飲む事にして、龍の住処があるっていう山の麓にやってきた。
そこは町から十分も歩けば着く場所にあって、意外と近いなと思いながらも、ここダンジョンの中だよね? ダンジョンの一フロアがこんなに広い物なのか? っていう疑問もわいた。
明らかに今までと違う雰囲気だ。
完全に空があるし、いつまで歩いても壁にぶち当たるような事もない。
「にゃにゃにゃにゃーん♪ にゃにゃにゃ……にゃーん♪」
こじこじが広い世界に喜んで、何故かベートーベンの運命をにゃにゃにゃにゃ言いながら歌って飛び跳ねてる。
「微笑ましいですわね~♪」
ぽけ~っとした表情でこじこじを見つめるキャロちゃんもなかなかに微笑ましいと思いますよ?
「おいこじこじ一人で先行するなよ? どこに何が居るかわからないからな」
「はいにゃ~♪」
アーニャのお叱りをあまり気にせず返事しながら両腕を広げてくるくる回ってるこじこじが躓いて転んだ。
けど、地面にぶつかる前に空中でくるんっと回ってスタっと着地。
さすが猫。運動神経すげぇ!
「そういえばさ、ここってまだ一つ目のフロアって事なのかな?」
「どうだろうな。一つのフロアにこれだけ時間がかかるとなると先が思いやられるが……逆に考えると今までと仕様が変わって、大きな目的を果たすとこの階層全体をクリアした事になるって事かもしれない」
アーニャは流石だ。私は少し疑問に思った事を聞いただけなのに、彼女は既にその可能性も考えて自分の中である程度の推測を立ててあったみたい。
「その場合はこの龍を倒したらクリア、みたいな感じですの?」
「いや、それは分からない。そもそもクリア条件自体が推測だからな……。場合によってはその龍を倒す事がまだ一つ目の条件かもしれないだろ?」
ナビ子のやつ……一つの階層が十階みたいな事言ってたくせにあっさり仕様を変えちゃうんだもんなぁ……。
それも私が余計な事に気付いてしまったせいなのかもしれないけど。
いいやら悪いやら……。この状態だとあとどのくらいで階層クリアなのかが全然わかんないもんね。
しかも宝箱の数が極端に減った気がする。
というよりこのフロアではまだ見てない。
今まで町に居たんだから当然かもだけど、竜の住処に向かうまでの間にだって宝箱の一つくらいあってもいいでしょ?
「わたくしこういうゲームみたいな展開は好きですわ♪ お嬢が勇者なのはおどろきましたけれど」
キャロちゃんはこちらを見てくすりと笑う。
なんで私が勇者だと驚くんだよ!
この中じゃ私しかいないでしょうが!
お嬢が勇者なら他の子達はなんの職業でしょう?
アーニャは魔法使いでいいのか…… キャロは武闘家でしょう。
こじこじは……まだわかりません(笑)
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