ババァにキレるJK。
「あら、本当に服がちゃんと仕上がってますわ♪」
「ふかふかにゃー☆」
「……特別悪さをされたって感じはしないな」
悪さとかやめてよ……。盗まれてないだけで誰かがクンカクンカした後かもしれないじゃん。
とか考えると急に気持ち悪くなってきた。
皆が何も気にせず黙々と服を着ていくのを見て考えるのも馬鹿らしくなっちゃったけど。
私が男嫌い過ぎるだけなのかなぁ?
「おいお嬢、早く服着ろ。置いてくぞ」
「待って待って」
仕方なくささっと服を着てアーニャ達の後を追う。
建物の外へ出ると先ほどの男性が待っていて、「では町長の所へ行きましょう」と、すぐに私達を案内し始めた。
一際大きな家の前で男は止まり、インターホンを鳴らす。
いやいや、こんなダンジョンの中に町があって、中華風の家が並んでて、そんな所なのにインターホン?
場違い感が凄いんだけど……。
「ほいほーい。何か御用時?」
なんだかのんびりした感じの女性の声がする。
声的に割と若い気がした。
「はっ、試験を合格した勇者様をお連れしました!」
「勇者はん~? 性別はぁ~?」
「はい、勇者様とお連れの方が三名、すべて女性です!」
「あらあら~♪ じゃあ入ってもらって~。でも貴方はダメよ~?」
「かしこまりました! ……さぁ、勇者様こちらの扉をくぐり一番奥の部屋へどうぞ」
この門番さんは中に入れてもらえないらしい。ちょっとかわいそうだけど、さっきの町長さんの言い方だと男子禁制的な建物なのかな?
「……おい、なんか嫌な予感がするから一応準備しとけよ」
アーニャが難しい顔をしながらそんな事を呟いた。
彼女の嫌な予感って結構当たるんだよね……。
私が先頭に立って建物の中を進む。途中沢山の部屋があったけれどそれらは無視して一番奥へ。
「……扉、開けるね」
私はゆっくりその扉のドアノブに手をかける。
まっピンクの趣味の悪い扉だ。なんだか私も嫌な予感がしてきた。
「あらあらいらっしゃ~い♪ 可愛らしい女の子ばかりでわたし嬉しいわぁ~♪」
「貴女が町長さんですの?」
「貴女、特に素敵よ……そうね、貴女にしましょう」
町長さんは長く青い髪の毛を指先で遊ばせながら豪華な椅子に深く座って足を組んでいた。
腰の辺りから深いスリットが入っていて生足が艶めかしい。
三十半ばくらいのお姉さんだった。
片手で羽根のついた扇子を仰ぎ、もう片方の手で長いキセルをゆらゆらと揺らしていた。
「わたくしがどうかしましたの……?」
「ええ、貴女がとても美しいからぁ、私の物にするわ~♪」
あ? ふざけんなよこのババァ。
もしかしたら村長相手に魅了が発動した可能性。






