死因は尊死のJK。
「なんだよこれふざけんなよ!!」
私は体を洗いながら憤慨していた。
「なんだうるせぇな……」
「お嬢は何を怒ってらっしゃるんんですの?」
「……なぞにゃ」
なんで君達はそんなにこの状況を受け入れてるのかな?
「こんなの私が思い描いていたお風呂じゃない!!」
「身体が洗えればなんだっていいだろうが」
「ですわね」
「なのにゃ」
お前らはいいかもしれないけどこっちはいろいろ期待してたもんがあるんだから期待外れもいいとこなんだよっ!!
あーもう腹立つ!!
今私達はそれぞれ一人ずつ入ってシャワーを浴びるだけの個室の中にいる。
俗にいうシャワールームみたいなやつ。
だから私の左右でみんながシャワーを浴びてたとしても個室だからなんも見えないしうっすら影が見えるくらい。
その影が見えるのが逆にこうムラっと来るから生殺しもいいところだ畜生!
特に私の右側に入ってるキャロちゃんだよ……。
シャワー浴びてるシルエットが見えるんだけどさ、でかいんだってマジで。
「くそがっ!!」
「……おい、お前何一人で騒いでるんだよ」
がちゃっと音がして、私の個室が開け放たれた。
どうやらもう洗い終わったアーニャが騒ぐ私を心配して様子を見に来てくれたらしい。
タオルも巻かずに。
「……」
「おい聞いてんのか? 何を怒ってるんだお前は」
「……いいえ。なんでもありませんありがとうございます」
「……? 変なお嬢だな……終わったなら戻るぞ」
そうかそうか、こういうご褒美を用意してくれてるならそう言えばいいのだ。
キャロちゃんは個室から出てくるとタオル巻いててなんだかちょっと残念だったけど、それは仕方ないしアーニャが嫉妬するかもしれないから良しとしよう。
むしろ嫉妬してください。
嫉妬で雁字搦めにしてほしい。
自由なんてなくていいからアーニャの嫉妬の炎で縛り上げてほしい。
私は独占欲強いのも縛られるのも大歓迎だよ。
「……なに笑ってんだお前」
「はっ! ちょっと妄想に浸ってた」
「どうせろくでもない妄想なんだろう。こじこじの教育上良くないような事はやめとけよ」
呆れたように私を見てため息をつきながら更衣室の方へ帰っていくアーニャ。
なんだかごく自然に対応してくれるのが嬉しい。
必要以上にぎくしゃくしちゃうとつまんないもんね。
ドギマギを見るのは楽しいけど私までそうなっちゃうと心臓破裂するからダメ。
そんな事になったら蘇生薬を使わなきゃいけなくなっちゃうもんね。
死因は尊死。
……雑コラじゃあるまいし。
尊死とは尊過ぎて死に至る事である。






