裏切りのJK。
「おい、早く歩け」
「うっさい変な所触るな!」
ハゲが私達を後ろから押して家の中へと進ませる。
「押すな。ちゃんと足はついてる」
「だったら早く歩け。……そうだな、そこの右の部屋にでも入ってろ」
初老の男の指示で私達は書庫に放り込まれた。
「アーニャ……どうするの?」
「いいから。しばらくは大人しくしてな」
キャロちゃんは相変わらず震えてるし、あまり猶予はない。
イル君が見つからなかったら結局私達に聞くだろうし、教えなければ何をされるか分からない。
「おいお前らこの家の中調べてこい」
「「了解」」
残りの二人はしばらく屋敷の中を捜索していたが、三十分ほどで帰ってくると、かなりイラついた様子で本棚を蹴飛ばした。
「くそっ! オジキ、ここにも入間の野郎はいませんぜ」
「……そうか、ならやっぱり……この子らに聞くしかないねぇ? 比嘉のお嬢ちゃん、あんたの兄貴はいったいどこに居るんだい? 教えれば何もせずに解放してやるよ」
「その前に一つ聞かせてほしい。うちの馬鹿兄貴はいったい何をやらかしたんだ?」
オジキと呼ばれた男はうっすら生えた顎髭を撫でながらイル君のやらかした事を語った。
「あいつは……うちの組長を殺したんだ」
「なるほどな……てっきりそっちでうまくやってると思ってたんだけどなんでそんな事になった?」
「さてな。あの野郎の考える事はわからん。組長が薬の売買に本腰入れたから若造らしい正義感にでもかられたんだろうぜ」
イル君……自分の組がどんどん汚い事に手を染めていくのが許せなかったのかもしれない。
あの人も意外と頭硬いからなぁ……。
でも勢い任せに組長ぶっ殺したらそりゃ追いかけまわされるよ……。
「でも今は蘇生薬ですぐに生き返れるでしょ?」
私は、生きてるなら許してやってほしいと思ってそう言ったのに、完全に藪蛇だった。
「それが入間の野郎親父を拉致してそのまま姿をくらましやがったんだ。それで、奴から手紙が組みに届いたんだよ。組長は殺した……ってな」
そりゃダメだ。死体がなきゃ生き返らせるなんて無理だし、二十四時間過ぎた時点でどうにもならない。
「だから俺達は入間の野郎にけじめつけさせなきゃいけねぇ訳よ。協力してくれるか?」
ダメに決まってんじゃん馬鹿なの?
イル君には私も殺されたりしたけどさ、一生許す気はないけど、こんな奴等に渡してもろくな事にならない。
どうせ殺されてどっかに捨てられるだろう。
「いいよ。そんな理由だったら完全にうちの馬鹿兄貴が悪いからな。協力してやるよ」
えっ、アーニャ?
アーニャはとても冷めた目でオジキって人を見ていた。
……え、嘘でしょ?
アーニャは一体何を考えているのでしょうね(/ω\)






