ガチムチマッチョとJK。
「しかしお嬢の家にダンジョンの入り口が出来てた事も驚きましたが、お嬢がこんな所に居るとは思わなかったんで吃驚しやしたぜ」
「一応パパには内緒だから言っちゃだめだよ。バレてもこればっかりは辞める気ないけど」
「親父さんは心配するでしょうが……わかりました。俺もお嬢を殺しちまったなんてバレたらドラム缶に詰められて海に沈められちまうんでこれはお互い他言無用で……」
その言葉を聞いてまたアーニャがイライラし始めた。この兄妹はほんとにかみ合ってないなぁ。
「こっちはあんたをここで亡き者にしておけば秘密は守られるんだけどな」
「愛菜そんな事言わねぇでくれよ」
「気安く愛菜って呼ぶんじゃねぇ。……それよりその銃どうしたんだ?」
あ、それは私も気になる。もしかしてあっちから持ってきた本物の銃なのかな?
「あ、これは宝箱に入ってたんですよ。変な音が鳴って、おめでとうございます! って」
「あーそれなら私の大虐殺バールとおんなじだね! それはなんて名前なの?」
「名前……確か無限リボルバーでしたよ。この銃いくら撃っても銃弾無くなんねぇんでめっちゃ便利なんですよ」
「おぉ、確かにそりゃ便利そうだな。あんたの身体をハチの巣にしても弾が勿体なくないなんて最高じゃないか」
アーニャはちょっとイル君の事になるといつもより辛口具合が増してしまう。
「まぁまぁ。これで便利な武器が二つある訳だから戦力としては申し分ないよね? 悪いと思うならイル君も手伝ってよ」
「ちょっと待てお嬢、まさかこいつ連れてくのか? 私は反対だ」
「気持ちは分かるけど、……いや、やっぱよく分かんないやごめん。とにかく今は戦力だよ。探索するにしても人手は多い方がいいし、武器もある。他に理由って必要かな?」
ちょっと意地悪なのはわかってるけど、私はこの二人の関係も改善したいと思ってる。
腹違いって言ったってなんだかんだ兄妹なんだし。仲がいい方がいいに決まってるじゃん。
「それにお嬢、こいつはこんなんでもちゃんと男だろ。お嬢は男苦手だったよな? こいつだっていつ何してくるか分からないぞ!」
あー。
確かに私は男の人苦手だけど……。
イル君は別に平気なんだよなぁ。昔からの付き合いっていうのもあるし、それ以前にこの人……。
「なんだ愛菜、そんな事心配してたのか? 大丈夫だ。お前には言ってなかったが俺はゲイだからな。女に興味全くないんだわ」
あ、自分で言っちゃうんだ? 大丈夫かな……あ、わかりやすくアーニャの表情が変化していく。
「……マジかよ」
そうだよね。どう受け止めていいか分かんないよね。その気持ち分るよ。
私も何年か前にマッチョの人といちゃついてるの目撃しちゃって同じ反応したもん。
アーニャの表情がとても険しくなった後、ゆっくりと可哀想な物を見るような表情になった。
人の趣味はそれぞれなんだからその反応はいかがなものかと思うよ?
「お前分かってないな? ガチムチは最高なんだぞ?」
とりあえずお前はもう黙っとれ。






