大変面倒な猫娘とJK。
「こじこじさん、大丈夫ですの!?」
「……うにゃ。大丈夫にゃよママ」
ママ!! やっぱりキャロちゃんは完全にママポジションに落ち着いてしまったらしい。
そしてこじこじの様子がおかしい。
アーニャも苦笑いしてる。
「こじこじ、リンゴ食べてどの程度の知性を手に入れたんだ?」
「どの程度と言われても困るにゃ。人とは何故生まれて何処へ行くのかも答えがでにゃい程度の知性しかないのにゃ」
おいおいこれは重症だ。
「……多分キャロと言葉でのコミュニケーション取りたいって思ってこうなっちまったんだろうな……」
「よくわからにゃいけど……おねぇちゃんがそう言うなら多分そう」
ぐはぁっ!! 知的猫型妹キャラだと!? 属性過多はキャロちゃんで間に合ってるんですけど。
「おねぇ……ちゃんだと?」
「うん。アーニャおねぇちゃんとお嬢ねぇちゃん」
「お嬢ねぇちゃんってなんだよ……」
アーニャに無言のヘルプを求めると、私の方を見ながらくすくす笑ってる。ダメだこれは。
このパターンの時は何を言っても無駄な奴だ。
「良かったじゃないかお嬢ねぇちゃん……くっ、わははっ!」
ついに堪えきれなくなって豪快に笑いだした。
この子のツボがよく分からないよ私は。
「ところでどうしてわたくしはママなんですの……?」
「え、ママはママ。それ以外思いつかないのにゃ」
キャロちゃんのママ力が高いのは分かるんだけど、そもそもなんでこの子は猫娘になってるんだ?
「おいナビ子、黙ってないでそろそろ説明してもらおうか」
『えーめんどくさ……あ、嘘です嘘ですそんな怖い顔しないで下さいよぉ……。ちなみに彼女の状態を簡単に説明しますと……』
うわー。
ナビ子の説明聞けば聞くほどこじこじは面倒な状態に陥ってるっぽいぞ。
まず第一に、こじこじはこのダンジョン内で才能の種を食べ、肉体と精神のリンクが一時的に切断されている。これは心体分離という才能の物らしいんだけど、精神体が別の生き物として分離できるようになる、という物らしい。幽体離脱と似てるけど、精神体の方もきちんと肉体として機能するのだそうだ。
第二に、獣化の才能も開花している。本来は肉体がある程度の抑制装置として働き、獣の特性をその身に宿す、程度の効果なのだが、彼女の場合精神体にダイレクトだった為に獣化が極端に進んでしまった。
第三に、極端な獣化によっておバカになって自分が何者かも分からなくなってダンジョン内を彷徨っていた。
第四、そんな状態であのリンゴを食べた事で、現在に至る。
……さて、これをどうやってコジーに説明したもんかね……。
姉からしたら妹がもう一人居てしかも猫娘になってるという状態を受け入れられるのか。






