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猫人間とJK。


 今度は油断せずに行こうと決めたはいい物の、そこから先は本当に大した事ないようなモンスターばかり。


 ドロップ品は錆びた刀が一本。

 そのままじゃ使い物にならなそうなので即ポケット行き。


 何階層くらい潜っただろう?

 もうそろそろ十フロア目に来たんじゃないかな? って所で、今までになかった広い空間に出る。


 とても天井が高い洞窟状のフロアで、壁には相変わらずの幾何学模様。ボキャブラリーが欠如してるつまらないダンジョンだった。


「ガルルルルルッ!!」


 ……なんか聞こえた。


「おいお嬢」


「分ってる……何か居るね」


 私達は充分に注意しながら、その幾何学模様の洞窟を進んで行くとホール状になっている空間に出た。


「ここは広いですわね……もしかして強敵がいるフロアではありませんの?」


「確かここが十フロア目だからその可能性が高いな」


 ……二人の会話を聞きながら、私は別の事に心を奪われていた。


 だって……確かに巨大なモンスターは居る。


 サイみたいな形で、像より少し大きいくらいのモンスターが居るには居るんだけど、どうやら何かと戦ってる。


「ふーっ! しゃーっ!!」


「二人とも……あそこに居るのってもしかして……」


「ああ、どうやらここまで一人で来てたみたいだな……しかしあれはどういう事だ?」


 二人が困惑するのも当然で、サイっぽいモンスターと戦っているのはおそらくこじこじ。


 だとは思うんだけど、髪の毛が真っ白で、四足歩行で地面を走り回っては爪で攻撃してる。


「……猫じゃん」


「ネコ……ですわね」


「猫にしか見えないな」


 猫耳が生えてるわけじゃない。尻尾があるわけじゃない。だけど、動きはまさに猫のそれだった。


「ふしゃーっ!!」


 素早い動きでサイを翻弄し、その硬い皮膚に少しずつ爪で亀裂を入れていく。


 私達がどうしようか迷っている間に、こじこじは一人でサイをやっつけてしまった。


 傷口から手を突っ込んで中身を引っ掻き回し、悶えるサイをまったく気にする事なくずるずると内臓を引きずり出しては爪で切り裂き、噛み千切り……。


 相手が動かなくなる頃にはこじこじは血まみれだった。


 そして、ゆっくりと立ち上がり、こちらを見る。


「……おいこっち見てるぞ」


「なんだか嫌な予感がしますわ……」


 奇遇だね。私もめちゃくちゃ嫌な予感がしてるよ。


『ぱんぱかぱーんっ♪ おめでとうございます! ついにダンジョンクリアですよ!! 貴方には超豪華な報酬を……! って聞いてます!? ねぇ! ねーってば!!』


 どこからともなくナビ子の声が聞こえていたが、こじこじは全く耳を貸そうとしない。


 それどころか……。


「みんな、ちょっとヤバい。構えて!」


 まさかここに来て人間と戦う事になろうとは思いもしなかった。


ついにダンジョンクリアです! よその、ですが(笑)

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