手遅れなJK。
「でもさー不思議だよね」
「何がだ?」
アーニャはダンジョンを攻略する事しか考えてないからこういう事は気が付かないのかな?
「だってほら、ここって私の家のダンジョンに比べると敵は弱いけど、その分妙な仕掛けがあちこちあるでしょ?」
「確かにそうですわね……ここの仕掛けを彼女が一人で突破したというのはなかなかに大変な気がしますわ」
そう、そこなんだよね。普通に普通に考えてさ、一人でこの大変な所を突破していったって事でしょ?
それなかなか大変だと思うんだけど……。
もしかしてその子ってかなり強かったりするのかな?
でも強いだけじゃさっきの仕掛けとか無理だと思う。
何かあるよね絶対。
例えば浅めのフロアから隠し通路とか、隠し魔法陣とかで直接奥のフロアに行っちゃったとかさ。
「それは確かに気になるが……それは本人見つけて話を聞いた方が早いだろ」
アーニャはほんとにその子に関して興味が薄い。
目的意識が違うんだよなぁ。
あくまでも私達はその子を助ける為にここにきたんだって事を忘れないでほしいところだけれど。
とか言いながら私はアーニャを支持するんだけどね。それが何より優先度高いんだから仕方ない。
じーっとアーニャを見てると、こちらの視線に気付いたらしく、少しの間目が合う。
「な、なんだよ……じろじろ見んなよな」
そう言いながらまた唇を手の甲で隠した。
さっきの事思い出してるって事だよね?
可愛すぎかよ……。
「お二人がラブラブなのはとってもうらやまほほえましいのですけれどモンスターですわ!」
「だ、誰がラブラブだ気持ち悪い!」
「……」
「お、おいお嬢あんたもちゃんと否定しろよ!」
「いや、分かる人には分ってしまうんだなぁと」
「ぶっ殺すぞ!!」
うんうん。そうやって切れ長の目をつり上げて私に暴言吐いてくるアーニャが一番安心する。
「さーて、じゃあモンスターさんを軽くボコってやりましょうかねーっ!」
目の前に現れたのは、車くらいの大きさがあるカニだった。
「ぎゅっ、ぎぎゅっ」
……声?
このでかいカニが喋ってるの?
「……歩く時に甲羅が足に擦れて変な音が鳴ってるだけだな」
まだ何も言ってないのにアーニャは私の疑問を解消してくれた。
でも良かった。喋るモンスターとか戦いにくいしね。
嫌じゃない? 相手が意思疎通できるのにぶん殴って殺さなきゃいけないのとか。
……あ、意思疎通できる場合は話し合いで解決すればいいのか。
頭の中が大分物騒になってきてる。
それだけダンジョンっていう物に毒されてしまったのかもしれない。






