びちゃびちゃになるJK。
「おいお嬢、何やってんだこんな時に……!」
「んふっ」
「お嬢がおかしくなってしまいましたわっ!!」
ははは。二人とも私の事を馬鹿に出来るのもここまでだぞ!!
「アーニャ褒めて! 私ここの脱出方法わかっちゃった!!」
「褒めてやるからさっさと教えろ!!」
私がポケットから取り出したのは、解説書。
解説書でこの部屋を見たのだ。
すると、いつものような長々と書かれている
説明などは一切なかった代わりに、解説書越しの室内には一か所光っている場所があった。
「アーニャ! あそこのちょっと色変わってる壁のすぐ下あたりにナイフ飛ばして!」
早くしないとそこを天井が塞いでしまう。
「なんかよく分からんが分かった!」
アーニャが私の誘導通りにファンネルナイフを飛ばし、ピンポイントで突き刺さると……。
ずおごごごぉぉぉっ……。
と地面が振動するような重たい音が響き始める。
これで仕掛けは止まる筈……。
「おい、天井止まんねぇぞ!!」
そんな馬鹿な! だってこれでもダメだったらどうしようも……。
「あっ、でも水は引いていきますわっ!!」
水位が少し下がった、と思った瞬間。
べごりと嫌な音がして私達が居た床に大穴が開いた。
水を排出する為の穴だろうか。
そんな事はどうでもよくて、水が溢れてる室内でいきなり床に大穴が開いたらどうなる?
そこに向かって勢いよく水が流れ込むよね。
じゃあそこに立ってた私達はどうなる?
「うわぁっ!! ぐぼぼぼぼっ!!」
帰還の石とか言ってる場合じゃなかった。
そんなもの使う余裕もなく、水流に巻き込まれて穴の中に一直線。いや、一直線って言い方はちょっと違うかも。
だって水流は渦を巻きながら流れていくわけで、ぐるぐるって言った方がいいのかな?
なんて現実逃避してるうちに私の意識は刈り取られてしまった。
次に目が覚めたのは相変わらずの幾何学模様な通路。
私は体がびしょびしょで横たわっていて、目を開けたら鼻がくっつきそうな距離にアーニャの顔があった。
「うぉぁぁぁぁつ!!」
「な、急に叫ぶなびっくりするだろうが!」
私が思わず叫ぶと、アーニャは驚いて私の頭をぺちんと叩いた。
何故か涙目。隣にいるキャロちゃんも涙を流してる。
「……え、何? どうしたの?」
「……お前、今結構ヤバかったんだぞ」
……? 死にかけてたって事?
別に傷なら傷薬、死んだら蘇生薬……でいいんじゃないの?
そんなに深刻になるような問題?
そして、ふと自分の唇がほんのり温かい事に妙な違和感を覚えた。
死ぬという事を
そんなに深刻になるような問題?
と言い放つ狂った世界。






