罠にはまりまくるJK。
「はぁ……はぁ……まさかこういうタイプのダンジョンがあるとは……私は走るの苦手なんだよ……」
アーニャがそのばにぺたんと女の子座りして息を切らせてる様子がめちゃくちゃ可愛い。
学校でマラソンやらされた後くらいしか見れない貴重なシーンである。
「あ、あの……この部屋って……」
キャロちゃんも何かに気付いたようだ。さすがいろいろ漫画やらアニメやらを見てる子は違うね。
「キャロちゃん、ちなみにどっちだとおもう?」
「じ、じゃあわたくしは天井で……」
「そっか。私は水」
私とキャロちゃんの共通認識。
ああいうタイプのトラップがあるようなダンジョンで、こういう密室に飛び込んだら何が起きるのか。
「なんだお前ら……なんの話をしてるんだ?」
ぐごごごご……!
どばっばばばばばっ!!
正解は、その両方だった。
「どっ、どどどどうしましょう!? 逃げ場はないですわっ!!」
「おいなんだこれ説明しろ! 水が! 天井が!!」
そう。どばどばとどこかから水が流れ込んできてこの部屋を埋め尽くそうとし、上からは天井がめきめき言いながらこちらに迫って来る。
どっちかはあると思ったけどまさか両方とは……。
「どうする? アーニャ……一度帰還の石で帰る?」
そう、そうすればまた改めて攻略しにくればいい。
こんなやっかいな場所があるのを知れれば対策も考えられるかもしれないし、そもそも壁のスイッチ入れなかったら問題無かったかもだし。
「……いや、まだだ! ギリギリまで考えろ。あのナビ子に負けたみたいで腹立つ!!」
アーニャがかなりムキになってる。
でも冷静な判断ができないような子じゃないからいざとなれば使ってくれるだろう。
だから、私にできる事と言えばアーニャの期待に応えてあげる事だけだ。
とは言ってもどうしようか。
もう水は膝くらいまで来てるし、天井も迫ってきた……早くしないと。
大抵こういう場合、映画とか漫画だとどうやって抜け出してる?
何かしらの解除方法がある筈……。
「どこかにスイッチないかな!? キャロちゃんが最初に押しちゃったようなやつ!」
「さ、探してみますわっ!」
「私も探してみる!」
私の言葉に、アーニャとキャロちゃんが部屋の壁をぺたぺた調べ出す。
私は念のために水の中、床を探してみた。
「ダメだ! どこにもないぞ!!」
天井はまだ余裕があるけど水が……既に腰の上くらいまで来てる。
早くなんとかしないと……。
私は何か使える物がないかポケットの中を探った。
脚立……はこんな時に使っても意味がないし……えっと、えっと……。
私はある物を手に掴み、藁にも縋る思いで目の前に翳した。
このピンチをどうやって脱出するのか……!
意外な物が役に立つかも。






