地獄に落ちたJK。
「ぎょえぇぇぇぇぁぁぁぁぁぁっ!!」
私は自分でも恥ずかしい程みっとも無い大声をあげて飛び起きた。
自室のベッドで寝ていたらしい。
「はぁ……はぁ……なんて夢だ」
「残念だが夢じゃない。あんたはさっきまでご臨終だったんだからな」
声の方を見ると私の部屋に友人のアーニャが呆れた顔でこちらを見ていた。
アーニャというのはあだ名で、本名は比嘉愛菜という。
肩まで伸びた艶やかな黒髪。
私に向けられる冷ややかな眼差し。
相変わらずアーニャは美しい。
「あれ、アーニャがいるって事は……マジか」
「マジもマジ。大マジよ。どう? 初めて死んだ気分は」
正直あまり怖いとは思わなかった。思う暇が無かった。でも死の直前の絶望だけは脳裏に焼き付いてる。
叩かれた瞬間、めちゃくちゃ痛くて、うわー頭陥没した! 死ぬ!! って思ってたらベッドから飛び起きてた。
「これが死か……私は一度死んだ女。もう怖いものは無い!」
「お、そりゃ威勢のいいこって。で、どうする? 今日はもう辞めとくか?」
とりあえず今の世の中の状況とか私の事とかを簡単に説明しよう。
私の名前は百鬼ノ城 美麗。物々しい苗字と、美麗なんてお嬢様っぽい字面からお嬢って呼ばれてる。
ほら、なきりのじょう、の中におじょうって響きが入ってるでしょ?
もう一つ別の理由もあるんだけど、まぁ私の事はどうでもいい。
今日私はアーニャと二人で私の部屋の押し入れの中に出来たダンジョンに潜ってきたんだけど、地下三階くらいまで潜った所でデブに棍棒で頭べっこべこにされて死んだ。
ゲームとかに出てくるオークとかそんな感じの外見。体はピンク肌に紫の斑模様があって気持ち悪かった。
死んだのにぴんぴんしてるのは勿論アーニャが私に蘇生アイテムを使ったからだ。
世界にダンジョンが溢れ出した頃は一人で探索に出掛けて死んでしまうってケースも多く、被害者がかなり出たけれど今じゃほとんどそんな事はない。
なにせどんな傷も完璧に治してしまう薬や、死者を二十四時間以内なら蘇生させる事が出来るアイテムが簡単に手に入るからだ。
ちょっとダンジョン潜れば手に入るし、今じゃダンジョンショップで一万円くらいで購入できる。
今のこの世界は病死や寿命には勝てないけれど、他殺や事故死で亡くなる人はほとんどいない平和な世の中になった。
とはいえ油断して一人でふらふらダンジョンなんか入ったら誰も生き返らせてくれないから死んじゃうけど。
今日はダンジョンショップで即帰還できる帰還の石っていうクソダサネームアイテムを買ってあったので死んだ私をアーニャが部屋まで運んでくれたってわけよ。
これも優れもので、紐づけ登録したメンバーを全員帰還させる事が出来る。
誰かが帰還の石を使えばみんな帰還できるって事だ。
たとえそれが死体だろうと。
「とりあえずもーちょっと散策したいかな。あの豚野郎に復讐したいしもういっちょ行こうぜ!」
「はいはい」
そのやる気のない「はいはい」なんて言葉を吐きながらめっちゃ楽しそうな顔してるあたりアーニャも変人だ。
「私は地獄から蘇った女! 一度死んだ私に怖いものは……」
「さっき聞いたようるせーな早く行くぞ」
今度は私が「はいはい」と言う番だった。
「てかあんた死んだら地獄行きの自覚あったのか」
「うるせーな!」
現代ファンタジーの日間ランキングで22位に入りました☆
ありがとうございます!!
次回は早速ダンジョン回になりますのでよろしければ引き続き読んでいって下さいませ☆
面白かった、期待できるなど、すこしでも気に入ってもらえましたら是非とも感想や評価等頂けると嬉しいです。
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