6話 ケンカ売りのクレス少年
6話 ケンカ売りのクレス少年
「これが修剣院での授業か」
「魔法が基本みたいだね」
授業を聞いていてもあまり面白いことがない。基礎は本で必死に勉強したから。
「闇以外全く適正がない」
ミカゲは適正テストをしてからずっとこれだ。確かにあまり派手な能力ではないけど戦闘スタイルにあってる気がするけど?
「気にしちゃダメだって、ね。私だって光のみだったし」
「ヘンゼは明るい、私は暗い」
これは重傷だな。持ち直すには時間がかかりそう。
そんなことを考えていると、一人貴族のバカが立ち上がる。
「何でこんな下民と同じところにいなくちゃいけないんですか?」
「いつも言っているだろう。あの四人はエリートだ。少なくとも今は他の人たちがグループで勝てる可能性はない。追い出すんだったらあいつらを倒してみなさい。私よりも強いことを証明しなさい」
「だから試合をさせろっていってるだろ?申請が通らないのはどうしてだ?」
「それは絶対に勝てない試合を受理するのは時間の無駄だからだ」
「貴族の俺があいつらなんかに負けるわけがないだろ?」
「そうだそうだ!」
「あいつらなんか追い出せ!」
知能が低いのか?あの時あれくらいの剣術しか見せられなかったのに。
「まあまあ思うとこがあるかもしれないけど心にとどめておくんだよ?あんなバカにかまう時間はないからな」
「なんででこのタイミングで聞こえるように言うかな。そうするとまた退学者が出るでしょ?おとがめを食らうのは僕なんだからね?」
「バカにするのもいい加減にしろよ?」
するとクレスが挑戦的な言い方をして煽る。
「バカにしてるのはどっちだ?そこの、ラクダ君」
はぁ~、バカに時間を裂かないんじゃ無かったの?
「サクマだ!一文字しかあってないぞ!もういい貴族に対する不敬罪でお前らを処刑する!」
「え?私達まで?」
「ほぼ関係ない」
「お前らは同罪だ!」
「受けてたつぜ?いつもすまんな。先生」
「やれやれ、レイ君。後で私とお話しよう」
あーもーいつもこの流れ!バカ!消えろよ!クレスにケンカ売るやつ!
「は、はい」
まあ言うまでもなくぼこぼこにした。クレスが。
「そう言えばこっちは条件いってなかったなー。こっちは退学を条件に受けたわけだし?それくらいの権限があってしかるべきだよな、先生」
「もう退学はよしてくれよ?」
退学という単語が出てきた瞬間に青ざめる。
「退学なんかお父様が許さないぞ!」
「しるか!そんなもん。ここに貴族の法はない」
「それでも結局運営しているのは貴族。お前らを消滅させるなんて簡単なんだよ!」
そこでにやっと笑う。
あーあ、また同じ流れ。これは退学だな。
「それじゃあやってみよう。退学で」
「ということだ。さよなら、サクマ君。荷物は既にまとめてある。さっさと帰りなさい」
「は?何をいってんだよ!下民の退学と俺の退学が釣り合うわけがないだろ!?」
「ほう。ではお前は人の命に違いがあると言うのか?」
先生は珍しく怒ったような顔をしている。命の軽視を許せないタイプなのか。この先生はいい先生とは思っていたけど本当にすごくいい先生だな。
「当然だろ?血統で命の価値は決まるんだよ」
「ほう、だとしたら面白いね。今、私の研究は命の価値に関する事なんだよ。実験にお前の首をさらして命の価値とやらを確かめてみるか?お前は証明出来るかも知れない。私は実験が出来る。Win-Winな関係だな。よし、やるか」
違うな。この人、ヤバイ人かも。
「っ!こんなところいられるか!こんな気持ち悪いところこっちから願い下げだ!」
「わざわざ悪役にまでなる必要なんて無かったのに。本当に先生はいいやつだな」
え?まさか今のって演技?
「疲れたので今日は失礼致します。後は自習を行ってください」
「先生、今のってえ…」
すごい早さで消えていったよ。
「これでお掃除完了か?」
「今じゃ潜伏中の大貴族とまで言われてるからね~」
「普通の人間」
「クレスはともかく二人は貴族っていっても行けると思うけど」
それに対して勢いよく食い付くクレス。
「お前だって実は意地っ張りで往生際が悪い所あるだろ?」
「クレスのようなバカと一緒にしないでくれ!」
そんな口論をしていると一人の女の人が近付いてくる。
「すごいですね。本当にトップクラスじゃないですか」
「でも魔法は全くだしな、俺には全く魔法が向いてないみたいだ。特に氷が終わってる」
適性一だもんね。
「私も剣を教えてほしくて」
「それはやめといたほうがいいよ」
それなりに優しそうだけどね。でもクレスの剣の指導は厳しいから。
「なんでですか?」
「それは俺直々に説明しよう、とは言っても簡単な事だけど。大体の人は流派があるだろ?それを覚えている途中で他のを覚えるとなると尋常じゃない集中力がいるし集中力があっても混ざるんだよ」
「混ざることがいけないんですか?」
「混ざってしまうと動きに大きな隙を作ってしまうことがある。守りと言っても流す、はじく、まあ少し違うけど競り合いも防御にもなるだろう。その時の判断を何流で流すべきか、弾くべきか。それは流派で違う。そうするとコンマ一秒でも隙が出来てしまう。そうすると命取りになるんだよ。それに…」
するとミカゲがクレスの口を押さえる。
「うるさい。そろそろ黙ったほうがいい」
いつもクレスを擁護するミカゲでも流石に黙らせるのか。そこだけはうざいと思っているのかな?これは勉強になる。
「まあとにかく、マスターしてからなら受けてやってもいいぞ」
でもマスターって言ってもどこまでいったらマスターなの?
「寸止めにしろよ?前ちょっと斬られたからな。冗談じゃないからな?」
「そうだね、気を付けるよ。そう言えば一つ聞いていい?」
「どうした?もうやめたいか?」
クレスはまだまだ余裕な表情で言う。
「なわけないでしょ?聞きたいのはもし欠落していた記憶が戻ったらどうする気なんだい?」
すると、しばらく問いが返ってこなかった。
「…どうだろうな。俺はお前らの隣に居たいと思ってるよ」
「居たい、か。僕もそうしてくれると助かる。もしいなくなったら僕らは悲しむと思うし」
「そうだな。でも踏み間違えたら隣にはいられない。それだけは覚えておいてくれよ?斬りたくはないからな」
「それはこっちのセリフ。君の方がよっぽど裏切りそうだよ?」
「どうせ俺は不真面目ですよ」




