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宿命の隣  作者: スプレー妖怪
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5話 本当のルール

5話 本当のルール


「やられた」

「まだ、負けてないぞ」


僕達は完全にタコ殴りにされていた。でも今回は戦闘じゃない…


「違うよ。そもそも相手はまともな試合をするつもりがなかった。というか主旨は戦闘じゃ無かったんだ」

「ほぉ」


思ってみれば変だったんだ。普通上位四名でのグループ戦でよかったはずだしね。つまり、


「もう一人いるでしょ」

「ほぉ、このグループでの知能はお前だったか。てっきりはったりで本当はあっちの小太刀娘かと思っていたが」

「確かに冷静さはあっちの方が上ですね。でもこのアホのペアは僕です」

「勝手にバカにするな!」

「で?ここから理由の説明を出来たら今回の試験は終了だ」




「不思議だったのはどうして火と重力が両立しているかです。重力は鉄と風が必要な特殊魔法です。なのにファイヤーウォールを使っていたんですよ?その時点で違和感がありました。確かに騎士団には三属性以上使える人もいるでしょうがわざわざこんな事の為に持ってくるなんてあり得ない。それならもう一人かそれ以上いると思っただけです」


「その通りだ。今回の試験は敵の数を誤認したままでいるかどうか。気付くかどうかの試験だ。そっちの負けになるのは二人落ちる事。ちなみにこの試験は二十%だ。それを答えた。今回のは面白そうだ」

「そこまで!」

「え?もしかして負けた?」

「違う。簡単にあの二人が負けるとは思えない。この試験には別の主旨があったんだと思う」

「今回の試験。合格だ。お前らはグループとして通ってもらう」

「いや、私達なにもしてないよね」


今回の試験は特例だったな。多分。


「にしてもよく気づいたもんだよ。俺達の参謀になるな」


そこにミカゲからの飛び蹴りが入る。


なぬっ!


ヅサササ。


「流石だね。全くルールが、わからなかったけど」

「ほんとだよ。よく気づいたね」

「気づいたのはあっちだ。俺達はおこぼれを授かっただけだぞ?」

「そうだったの?あとで、謝らないと」

「今謝りなよ!」


僕はここで意識が途切れる。








「ごめん。まさかそこまで弱ってたなんて思ってなかった」

「いや、僕も気付けなかったから悪いのは僕だよ。今まで完全にクレスに任せていたのが仇となったんだ」

「それは私も同じ。重要な所はクレスに預けてしまった。それがおされた原因」


すると一瞬空気が重くなったが一瞬で砕け散る。


「そうだ、一つ報告。今度はしっかりと四体四で戦おうだそうだ」

「へ!?」


何で?相手になってなかったのに。


「バカっぽい反応だな。まあ理由はミカゲに聞いてくれ。あの中から一人倒したらしい。不意打ちだったが」


「ほんと?」

「一応。でも出来たのはヘンゼがターゲットになってたから」

「二人ともすごいね」

「だろ?」


僕も頑張らなきゃ。


一発自分の頬を叩く。


「目標はクレスに…。そう言えばクレスってそこまで役に立ってない?」


すると一瞬だけ眉毛がピクッとする。


「そ、そんな事はないぞ?俺だってレイを守りながら後押しもして大変だったんだからな」

「そうね。私だって三対一で堪えてたのに何をしてたんだか」


「だから…」


するとミカゲが優しさ(口撃)をいれる。


「クレスも頑張った。本気は出してなかったけど」

「え?」

「そ、そそ、そんな事は~ないぞ?うん」


明らかに動揺している。


「ま、まあそこは置いておこうよ。確かに守ってもらってたし」


優しさで切ろうとしたがそこにヘンゼが突っ込みをいれる。


「自分から振っといて?」


う、




「そう言えばクレスって記憶に欠陥があるんだよね」

「思い出せない事がいくつかあるんだよ。まあそんな事もあるだろうし気にしないけどな。生きていけなくなる記憶じゃないし」

「その通り。今横にいる、それが全て」

「そうそう、何かあったらカバーするよ」

「もちろん僕もね」


クレスは少し照れたような顔をする。




一週間後、


「やっと馬小屋からの解放か。修剣院、楽しみだな」

「本当に部屋、用意されてるのかな。結局貴族優先みたいなことが…」


昨日は眠れなかった。


「それはない。修剣院は平等。例え貴族と下民に何かあったとしても紳士に事にあたってくれる」

「でも課外学習みたいな事で私達が嫌がらせを受けることもあるでしょ?」


ヘンゼはあくまでも信用はしないようだ。


「まあ何かあっても皆で事に当たればどうにかなるって」

「レイ、いいこと言う」


拍手をしながら称賛を言うミカゲ。珍しく顔が柔らかい。


「あとは誰が入学してくるんだろ?」

「そんな事よりお前はもっと強くなってくれよ。俺の片腕になってもらうんだから」


その言葉をきいて一番反応を示したのはミカゲ。しかしさっきまで笑顔だったと思うのにいつの間にか険しくなっている。


「…ストップ」


「どうしたんだ?」


ミカゲは工場らしき建物の二階を見ている。

僕も見るとそれはあの時全員でぼこぼこにした横暴貴族だった。


「誰だ?あいつ」


忘れてるし、


「忘れちゃったの?あれだよ!あの~、剣でズルした、えっと…」


ヘンゼは頭をかきむしりながら考えてポンと答えを出す。


「…バカ?」

「なら関係ないか」

「いやいや、トップバッターでボッコボコのボコにしちゃったやつだよ」


しばらくクレスは考えたが出てこなかったのだろう。結局同じ事を言う。


ダメだこれ、




「ここが修剣院か、すごいでかいな」

「下見くらいしとこうよ」

「デカい」

「本当にでかいね」


建物は四階建てだった。外装もキレイで一年に一度は塗り替えてるのかな?と思う。


「ちなみに寮はこっち。寮の名前は修剣寮」

「変わんない!」

「テンション上がりすぎだろ?」

「クレスは思ってたよりも反応が薄いね。こう言うことあったの?」


純粋な質問だった。でもそれは記憶を思い出してしまうきっかけだったことに気づかない。クレス自信も。


「さぁ?少なくとも覚えてはいないはずだしなくした記憶の中にあったんじゃないか?」


クレスが頭をかきながら興味がなさげに答える。


「にしても武具屋のおっちゃん。優しかったな」

「それだけ面白い試合だったのかな?私達は必死でそれどころじゃなかったし」

「それは僕も一緒だよ」

「余裕があったのは相手とクレスだけ」

「でもあいつならきっと一人で勝ってたさ」


珍しく染々とした?顔をしている。それに対してグイグイ質問をする。


「あいつってクレスが押し負けそうになってたルーナクって人?」

「あぁ。確実に勝てたのは偶然。それかもとから負ける予定だったのか」


負ける予定だった?


「そんなつまんない憶測を述べてても仕方がないでしょ?」


ヘンゼは何故かレイの背中を叩きながら言う。


「何で僕を叩くのさ!」

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