31話 作戦会議
31話 作戦会議
「それでこの状況な訳?殆どの人は死んでないみたいだし僕たちが文句を言う事でもない。けど精神状態は深刻だ」
急に国を城以外制圧されたんだ。無理もないけど…
「これからどうする。裏門だからすぐに入ってこれたがマイールさんにずっとここを護って貰うわけにはいかない。レイ、お前ならどうする?」
「生存だけを考えて一番可能性が高いのは…」
「あやつを呼んで招いて貰うでちか?でもそれはほぼ不可能でちよ。一部の者は知っておるが殆どの者は魔族の庇護下にいることはしらないんでち。あまり得策とはいえないでちゅよ」
混乱は目に見えてる、か。やっぱりこの策は愚策になる…
「少しでも希望を植えたいならここの奪還かな」
「それならどうにかなるかもしれないでちょうがいささか数が多すぎるんでちよ」
その後も話し合うが策は到底見つからない。
「ここの奪還は最低条件になりそう。そうじゃないと精神の崩壊が目に見えてる。しかも軍事的にもここはそれなりに重要な位置付けになってる。何と言ってもこの国は他の国とのコネクションが広い。ここを中心に物が回っている事もあるほどだ。その事を考えても奪還必要だね」
「了解」
「でも私はどうするの?確かに重要な局面で役にたたないけど」
「どーかん。私達は自信がないよ」
「確かに弱かったでちが本来の実力が出しきれてないんでちよ。魔力値が高い二人はもっと魔法を丁寧に使うべきでちゅね」
「じゃあ僕とミカゲで敵の状態を見るからその間よろしくね」
軽く身支度を済ませすぐに偵察に出る。
「少なくとも中に十は大型の魔物がいるね。小者は六十くらいか?」
「うん。見た感じはそう。だけど大型の魔物の背中を見て。魔族がいる」
目を凝らして見ると確かに乗っていた。
特徴は肘に刃がついているタイプ。
「一体は倒しておくべき?」
その質問を答えたのはクレスだった。
『いや、やめよけ。一体殺られたら激昂するだろ』
「魔族にそんな仲間意識があるの?」
『仲間意識はそんなにないが下級魔族のプライドは無駄に高い。一体殺したら傷をつけたと怒るだろうな』
「ならもう帰った方が良さそう。勘づいてきたみたい」
回りを見ると確かに少しずつここら辺の警戒を強めてきている。気付かれるのは時間の問題だ。
「そうだね。ここは大人しく帰っておこう」
「どうだった~?なんかボクって今影みたいな存在になってないか~?」
「うるさいでちよ。ただの剣バカは黙ってるといいでち」
やっと喋ったのに物理的に一蹴される。
「ブヘッ、痛いよ~」
「刀夏さん。Mでも入ってるの?普通の人だと思ってたのにな~」
「私は何かそんな気がしてたよ。何か変な感じがしてたけど?」
「ボクはそんなに変態じゃないよ~?変態はもしぶぉっ!」
更に強く蹴られていた。吹き飛んだ刀夏はタイミングよく開いた扉の向こうに飛んでいく。
「ブヘッ!」
レイは飛んできた刀夏にぶつかり吹き飛ぶ。
「レイ、大丈夫?」
「だ、大丈夫。それよりも刀夏さんは…平気ですか?」
「ボクは全然平気だよ?早かったね」
それならいいかな。今やらないといけないことは三つ。
一、敵の殲滅。
二、防衛の即時強化。これは材料も必要だね。
三、少なくなった食料の調達。
ただ殲滅をしたところでそのあとの防衛がきつくなってしまう。
「これを議題に話していこう」
「いや、それだけでは足りないでち」
「え?何か見逃してた?」
「戦力が足りないんでちよ」
戦力?それは平気なんじゃ…
「わからないんでちか?この国の騎士は殆ど戦死したでち。その時点でここは既におちてるようなもんでちょ?」
『だから騎士が殆ど居なかったのか。なら少し持続して使えるような戦力が必要になる。これはちょっとの労力でどうにかなる問題じゃない』
「そこはボクに考えがあるんだ。それは基本的な拠点をここにするということ。ならここに戦力を置いても問題ないはずでしょ?」
僕はいい案だと思ったがそれは刀夏の師匠が完全否定した。
「それこそ問題でちょう。刀夏はここに置くとしても護りきれない。だけども下手にここに戦力を集中させてはまともに魔神を相手取れないでちょ?」
「それは…」
『柱の中でも雑魚な奴にボコボコにされていたんだ。俺らはなにも言えないぜ。何度も奇跡は起きない。いつかは殺されるぞ?』
案にはクレスでさえ否定をしてしまう。
「でちゅが視点自体は悪いものではないんでち。弟子の割には少し考えるようになったでちね」
「いや~、それほどでも」
「顔を赤くさせるほど誉めてないでち」
辛辣な言葉だったがお気楽な刀夏の耳には届いていなかった。
「まあそんな事はいいんでち。防衛には二人のみ許すでち。残りはこっちで用意させていただくでち」
「その手は考えなかった。でもよくよく考えたら弟子が二人や三人だけじゃないよね」
「弟子は二十人でち。あまり強くはないでちょうがサポートは置く二人でどうにか回すでち」
要するに戦力は現状増やせる状況じゃないのか。まあ騎士団をそうそう他の国に借りることは出来ないし当然なのかも知れないけど。
「わたちと刀夏は村人の者共と木を倒してくるでち。その間に魔族の殲滅をしとくがいいでち。ちなみに現状で倒せる魔神はいないでちよ。七十二柱はそこまで甘くないでちよ。あと一つ朗報でち。刀夏は剥奪されたでちからこれからは一緒に戦うことが出来るんでち。こき使ってかまわないでちよ」
「わかりました。それではよろしくお願いします。こっちも頑張ります」
「それじゃ~ね~」
さて、
相手はただの魔族だ。魔神と言うには強さが足りない。なら余裕を考えて四人で動く?でもそれじゃあ数で圧倒的に負ける。マイールさんが任せてくれたってことは切り開く道があるはずなんだよね。どうするのが正解なのか全くわからない。
「私達は三人で行く。だから一人で頑張って」
「え?どう言うこと?僕だけでどうしろって」
『そのための俺らだろ?それに引き付けて時間稼ぎをするだけで充分な時間になる。俺らは近くのを引き付けてその間に三人が残りを狩る。そして最後に裏からぶっ潰せばいい』
確かに時間稼ぎをするだけなら何とかなるのか?いや、それでもギリギリだ。確率が低い。
『お前はもう少しマイールの言葉を考えてみろよ。絶対に勝てるなんて言ってねぇだろ?この程度で負けてるようじゃ使い物にならないって事だろ?』
「た、確かにそう言ってはいなかったけど…いや、そうなのかもしれない。危険は僕が全て引き受けているし平気かもしれない」
僕がミスをしなきゃ何とかなる。




