30話 実力の差
短いっ!
30話 実力の差
常識知らずな事をしないと勝てない。でも結局は型にはまった動きになり攻めに転じる前に読まれてしまう。
「なら、私は!」
ずっと見ていた。説明も受けた。練習もした。成功はしなかった。でも、今やるしかない!
ミカゲは魔力を左手に集める。
「何をする気?」
「関係ない」
「ならば早めに止めを刺しましょう」
さっきから火と幻しか使っていない。つまり防ぐのは苦手な確率もある。ならこの結界を解除させればきっと巧妙は見えてくる。
「グラスホッパー!」
手に集めた魔力を空中で固める。
「その程度の魔法ですか。奥の手も大したものでは」
その魔力の塊を全力で踏みつける。
その瞬間、アンドロマリウスは避けようと思ったが魔法が邪魔をする。結果、横に展開してあった結界を解除し、目の前に結界を作った。
しかし、手に溜めていた魔力は一回分ではなかった。
作った結界の目の前に二回目を使い、三つ目でもう一度跳ね返る。
二回目のグラスホッパーは上へ跳んでいくように設定した。
「なっ!」
三つ目は上から|横に跳ぶように設定した。
魔眼の目は目の前のアンドロマリウスを脅威として認識していなかった。
なぜか。
それは幻だったから。
幻であるはずの存在に脅威も何もあったものではなかったのだ。危険は見える。それはある種の透視だったのだ。
ズチャッ、
ミカゲは勝利を納めた。
「ミカゲ!ナイスだ!」
「アンドロマリウスがやられた、か。予想外な結果だね~。心を読んだとき、そんな秘策がありそうもなかったんだけどなー」
「やっぱりか。お前は一人しか見ることが出来ない」
その一言がスイッチになったのか口調が変わる。
「…下手に喋るもんじゃないね」
眼光が鋭くなり雰囲気がさっきまでと違うな。
「僕の心を途中から読んでない気はしてた。反応が明らかに違うものを感じた。違和感って奴だね」
そこまではよかった。しかし実力が足りなかった。一皮剥けたミカゲでさえ一方的だった。
「ぐっ、いくら頑張っても勝てないのか…」
「当然だ。俺は強いからな」
しかし、賭けには勝った。
天井が崩壊する。
「わたちを計算に入れるとは想定外でちたよ」
現れたのはマイール。
「何故だ。お前が何故?」
「それは必要のない事でち。しかしよくここまで追い込んだでちね。こいつは場数を踏んでいる分厄介なんでち」
「ボロボロですよ」
「そんな事はないでちょう?久し振りに苦しそうな顔を見れてとても気分がいいでち」
見るとダンダリオンは青ざめていた。まるでこの世の終わりを見ているかのような絶望の色。
「今だから分かる。マイールは脅威を測れない」
「俺らに勝ち目はないと」
「みたい」
なんて強さなんだよ。いかれてる。
スチャン、
何も見えなかった。抜いた瞬間さえ…
「師匠!流石です~!」
「わたちの弟子ともあろうものが何故あの程度を瞬殺出来ないでちか?手加減して楽してたならぶったぎるでち」
「そんなわけ無いじゃないですか~。いつでも本気が心情です」
「……まあいいでち。それでは帰るでちよ」
帰る?
「何処へ?」
ミカゲは意味がわからないという顔をしている。まあ俺もだけど。
「それは拠点だよ~」
「元、でちがね」
「元?」
「彼処はほぼ落ちたでち」
「…は?」
冷や汗をかく。
「安心するといいでち。大部分は守ったでちから」
大部分は守れた。あの強さがあっても守れない部分があったのか。
「一人での限界を知ったでち」
「師匠で…ちょっと待ってよ~、や、ほ…」
マイールは顔面をおもいっきり殴る。
綺麗な放物線を描き飛んでいく。




