3話 剣舞祭 二
3話 剣舞祭 二
クレスは難なく突破し次の試合が始まる。
「頑張ります」
「おう、俺みたいにさっさと勝っちまえ」
「それは難しいんじゃない?」
「そうだよ、僕みたいになるかもしれないしね」
他にも強い人がいないとも限らない。
「大丈夫だろ。現状俺の次に強いのがミカゲだからな」
「第三、始め!」
「行きます」
「おいおい、貴族じゃなくても弱い女は斬りたくねーんだけど。まああのサマールとか言う女は別だが」
その話を無視し、懐に入る。
シュピン、
「ほら、防いだ」
「雑魚過ぎるでしょ、貴方。人の実力がわからないなんて」
木小太刀が通ったところから血が出てくる。
「これは、バカにした俺ののせいだな。謝罪しよう」
「ボス前なの。本気に、なってくれる?」
刀を二本引き抜く。
「それじゃあやらせていただくぜ、本気でな」
先程よりもスピードが上がる。
「遅いね、避けやすい」
連撃を全て避け、反撃を一つもしない。
「なめるなよ?」
剣速が上がる。しかしその瞬間にミカゲがついに小太刀を使う。
「なにも、出来なかった。強い…」
「同然。私の勝ち、揺るがない」
刀をしまう。
「さ、流石だね。私とは比べ物にならない」
その後、逆になにもできずにヘンゼが負ける。
カカカカカッ、
「やっぱり速い、けど防げない程じゃない」
「まさかこれ程とは、平民は皆こんなのなのですか?」
「まさか、一世一代の一度きりです」
振り下ろし、右からの凪ぎ払い、もう一度、
何をしても受けきられ、受けきられる。
ミカゲは一度後ろに飛ぶ。
「そこはまだ範囲内だ」
着地した直後に一気に突撃する。そこに居合い斬りが入る。
ガッ、
「知ってる。だからこそこのギリギリの位置を選んだ」
小太刀が短くなっている。居合い斬りを反らしたときに斬れたようだ。
「これで、終わり」
鳩尾に膝蹴りが入る。しかしそれを正面から受け、立っている。
「まだだ、その程度で私は倒れないぞ?」
「これは、まずい、かな、でも…」
小太刀は短くなってしまった。その状態で何をするんだ?ミカゲ。
「まだまだ」
試合が始まり五分が経つ頃、クレスは作戦が見えてきた。
「そう言うことか」
「そう言うことって?」
「ん?あぁ、このままいけばミカゲが勝つな。でも相手も分かっているはずだ。体力がミカゲの方が高いことに。だから攻めに出るだろう」
「疲れていたでしょ、そろそろ降参したら?」
「それは、貴女も、同じ」
次々に攻撃を防いでいく。
「そこだ!」
水平斬りをスレスレで避ける。そしてカウンターをしようとしたとき…
「それを待っていた!」
体がぶれているかのような動きをする。
「せいや!」
振ったばかりの刀が返ってきていた。
一度強ばったミカゲには避けられない。
「フッ」
しかしそれはギリギリで対応する。ミカゲは避けるのではなくあえて止まりながら相手に足を伸ばす。伸びた先は手元。振られる前に止める。そしてそのまま勢いよく前に蹴り相手のバランスを崩す。
「終わり!」
ミカゲは頭に向かって小太刀を全力で振る。
ガツッ、
「そこまで!ミカゲの勝利」
「痛たた、本当に武器の性能差があるとは思えないな」
「知ってたん、ですか?」
少しの沈黙の後、目をそらし答える。
「…そうだな。貸し出しは貴族のみなんだ」
「そうなんですか?」
「そうだ。恐らくあいつは知っていただろうな」
そう言いながらクレスの方に視線を向ける。
ミカゲは少し赤くさせながら、
「そうですか。貴女と、友達になりたいです」
そう言うとサマールは少し顔を赤くする。
「そうだな。お前となら友達になってもいいかもしれない。何より強いしな。そんな友人に一つ助言だ。あいつは少し危険な奴かもしれない」
「クレスが、危険?」
「あぁ、何か闇を感じる。きっと何かあるはずだ。だから聞いてみるといい、心の闇を」
「わかった。クレスはいい人、だから平気だと思うけど」
「それじゃあいってくるな」
「頑張って、クレス。きっと勝てるよ」
「それが以外と難しそうなんだよな」
「ふぅ~、やっぱりきついな。本当に同じ歳か?」
相手はルーナク。まだ余裕がありそうだ。
「ルーナクさん。あんた、実力を隠しすぎでしょ」
「そんな事はないさ。捌くので精一杯だ」
嘘に決まってる。ルーナクは息切れひとつしてない。それに対してクレスは息切れし始めた。これはクレスが負けるかも知れない。
「うぉぉ!!」
クレスはただ打ち込むだけではなく所々に力の緩急を入れることで相手のペースを乱していた。
「また知らない技、すごいね。何個技持ってるんだよ」
クレスは地面に剣を叩きつける。
「はぁ!」
地面に叩きつけられた剣は同じスピードで振り上げられる。完全に不意打ちを突く。しかし、
ガンッ!
頑張り虚しく防がれてしまう。
「やっぱ無理だね」
「いやいや、今のは面白かった。実際ピンチだったよ」
いくらクレスが連撃をしてもそれを軽くいなしてくる。力量が違いすぎる。何もかも。
「これで剣が同じ性能だったらきっと負けていただろう」
ミシミシッ、
「なっ!」
バキッ、
そんな!剣が、折れた!?先だけとはいえ本当に強すぎる!
「へぇ~、今のを剣で防ぐのか。やるね」
「あんたこそなんて能力だよ。まるで獲得者みたいじゃないか?」
獲得者。それは稀にある魔法とは違う異能のこと。様々な能力があるが気付かずに一生を終えることもある。
「下民なのにそんなことまで知ってるんだ。面白すぎだね、君は」
「どういたしまして。俺は面白いのが取り柄なんでね」
クレスは何をする気なんだ?
「だったらもっと面白い技を見せてくれよ」
「いいぜ?やってやる」
そう言えばクレスって二本剣持ってるよね。
「ってまさか二本目を使うの!?」
「予備の剣だから使うんじゃないの?」
「違う、あれは二刀流をするための二本目。つまり本気モード」
「お?二本目か?酔狂な奴だな。でも確かに面白いな」
「そういってられるのも今のうちだぜ?」
技を使わずに連撃で攻めるがやはり全てをいなしてくる。だがさっきほどは余裕がないようだ。
「本当に振れちゃうんだ。凄すぎるよ」
「はぁ!」
ルナークが少しだけ後ろに下がったその瞬間に同時に斬る。
渾身の二撃はあっけなく防がれるが前に行くその勢いのまま蹴りを入れる。
しかしそれもあまりきいておらず体幹も崩れる気配がない。
「これ、今の俺じゃ勝てないんじゃないか?」
「下民は見たこともない技をたくさん知ってるな。俺の下で働かないか?きっといい思いさせてやる」
「お前って男好き?」
あちゃー、やっぱ言うと思った。
「冗談半分にでも聞いているのかい?俺は本気だけどな」
「そう言うのは勝ってから言ってくれ。そうしたら考えるさ」
「そう、わかったよ。それじゃあ行かせていただくよ」




