10話 シルドヴェルド
ちょびっと短いです。
10話 シルドヴェルド
「ん?ここは警備が硬いな。まさか通行証がないとそれだけで千チンもとられるなんて」
「しょうがないよ。でもここならギルドがありそうだしちょっとした手伝いをしていれば手に入るよ」
基本的に一度の手伝いを二百チンで受けている。そうすると合計五回で一人分が手に入る。
因みにこれまでに小さな村をよったが当然というべきかギルドは無かった。
「ここは近くの国と交友関係にあるみたいだ。リーゼンという国とは頻繁に連絡を取っているみたい」
取り敢えず回りを一通り散策してもらっていたミカゲが報告をする。
「そうか。それで城の方は?」
「微妙な所。侵入自体は楽に出来ると思う。でも何かをするとなると無理」
「やっぱそうだよな~」
いやいや、何をする気!?
そこに鎧を着た騎士がやってくる。
「少しいいかな?」
ヤバイ、怪しまれた?別に特に何かをするつもりもないけどこれは危ない?
ミカゲは後ろにすすすっと隠れる。
「はい、構いませんけど?」
一番無駄なことを喋りそうなヘンゼが対応をする。
「君達、月の巫女を知らないか?」
「月の、巫女?」
何の話だ?
「知らないか、やっぱり他所から来たんだね」
「月の巫女って何ですか?」
「親から子へ受け継がれる獲得者のことは知っているか?」
「あぁ、知ってるぜ?それとなんか関係あるのか?」
すると少し笑顔で反応をする。
「君は博識だね。月の巫女は受け継がれるものではなくて継承させていくものなんだ。継承とは師匠から弟子へ贈られるものなんだ。しかし継承も無く死んでしまったらどうなると思う?」
「わかるか?レイ」
ここで振る?
「そうだね。恐らく後継者に相応しい人に渡るんじゃない?そうじゃないと騎士の人が探すわけがないからね」
「良い頭を持っていますね。その通り。まあその人が死んでしまい月の巫女はどこかに飛んでいってしまったのです」
「ん?つまりどういう事だ?」
「わからないの?月の巫女は代々継承されてきた物だよ?それがある日突然誰に行ったかもわからない状態だ。飼っていた動物が逃げたようなもんだよ」
その言葉に対して頷く騎士。
「その通りです。しかし月の巫女は適正がある人じゃないと継承出来ないのです」
「なら今までの流れ的に姫様は?適正なら血族である姫様達なら高いでしょ?確認すれば良いじゃない?」
ヘンゼは何故に?という顔で質問をする。
「それが出来れば良いんですけど獲得者は簡単に確認できるようなものじゃないんですよ」
「俺らにもあるかもしれない。けど使い方がわからなきゃ使いようがないって事だな」
「そうです。しかし使い方を誰も知りません」
「わかりました。何かあったら情報を提供します」
「情報は確認がとれ次第十万チンほどお渡ししますので」
「…それで?何か見えたか?」
「見えたけどこれって本当に信用して良いことなの?」
ヘンゼは目で魔力的情報が捉えられる獲得者の能力のようだ。
「見てるのはお前だろ?そんな質問を俺達にするなよ」
「それじゃあ、言うけどどこにも飛んでっていない」
「やっぱり姫様?」
「流石に死んだ人を見てみないとわからないよ。出ていったかどうかは近くじゃないと見えないみたいだから」
その条件は厳しいかな。侵入なんて出来ないし、
「それじゃあパレードを狙おう」
「いつがパレードなんだよ」
「それはさっきの騎士に聞けば良いじゃないか」
確かに、名前は、
「名前聞き忘れた」
「どうすんのよ!これじゃあまた会えるかどうかもわからないじゃない!」
「どうしたんだい?」
「どうしたんだいって!え?」
さっきの騎士が目の前にいた。
「よかった。名前を聞いておかないと訪ねられないので」
「私はマリクです」
「それで質問なんだけど」
名前に興味なさすぎだろ!?
「答えられるものだと良いけど」
って気にしてないし、
「パレードを見てみたいんだけど次っていつ?」
「パレードか。それなら来週から三日間あるがどうしたんだい?」
「いや、何となくだけど」
「後一つだけ。何か企んでいますか?」
「それは面白い冗談だね。特にないが」
「そうですか」
取り敢えず宿と通行証を手に入れられたし後は侵入経路の確保か。
「あまり利口とは言えない行動を今する理由があるのか?」
「それの事なんだけどあれはあえて広めている気がする」
それに対してヘンゼだけが首を傾げる。
「どゆこと?」
「つまり城内で何かが起こる?」
「現国王の仕業かどうかはわからないけど裏がありそう。そうじゃないとわざわざ来たばっかりの僕達にそんな話をするわけがない」
「可能性の話?」
ミカゲは一応を言う顔をしている。
「まあそうなるね。情報が少なすぎる。という事で少し情報を集めてきてくれる?ミカゲ」
「了解」
「私は?」
それに対してクレスが食いぎみに答える。
「なにもすんな」
「なんで!?」
「余計なことを言いそうだから」
「酷い!」
ヘンゼは少し顔を赤くする。
これが照れてるなら良いんだけど。
ゴスッ、
「だからなんで僕!」
「近くだから!」
「それじゃあ今日から始めていこう。僕とミカゲは情報を集める」
「俺らは狩りやお願いを聞いてチンを稼いでおく」
これで本当によかったのか?
「どうした?」
「いや、なんでもない。きっとクレスならヘンゼを守りながら行けるはずだから」
「当然だろう。あまり良い手じゃないかも知れないが現状の最善手を打っていると信じているから」
ミカゲは優しい。
「それじゃあ僕たちもいくか。情報集めはバラバラの方が良いしね」
「了解した。それじゃあ行ってくる」
今回はミカゲに下町の方を担当してもらっている。どこに嘘をついているやつがいるかわからないからね。
「すいません。少し良いですか?」
「すまんが他を当たってくれ」
…まだなにもいってないのに、
三十分、
「ダメだ。話は諦めよう。どうにかして状況を掴みたいけど直接は無理そうだ」
回りを見渡すと若い二人が笑いながら話している。この場所は元からうるさい方の場所だが何故かこいつに違和感を感じる。




