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宿命の隣  作者: スプレー妖怪
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1話 畑の少年

あらすじに書かれている理不尽さはまだまだ先の話です。


誤字、脱字の可能性があります。かな?と思ったら言っていただけると嬉しいです。

1話 畑の少年


その世界はおかしかった。狂っていた。俺達を残して誰も気づかぬまま、狂っていった。とはいっても僕達がおかしいと思い始めたのはもう手の打てない話になってから。おかしいのは僕達かもしれないけど…




「今日も真面目に畑仕事か?」

「クレスはうるさいな、どうだっていいでしょ?毎日のように顔を出して君は今日の分終わらせたのかい?」


クレスは自分がサボっている事を自白したことに気付き急いで取り繕う。


「と、当然じゃないか、俺は才能の塊だぜ?今日の分の木材加工は終了したに…」

「嘘をつくのはやめなさい!まだ五割しか終わってないでしょ!」


ヘンゼは頭を勢いよく叩き、クレスの首辺りを掴み引っ張る。

「分かったって!ちょっ、離せよ!」

クレスはじたばたしながら振りほどこうとする。するとヘンゼは普通に離す。するとバランスを崩し、尻餅をつく。


「ほい、離した~」

「いって~、何すんだよ!」

「君が言ったんでしょ?離せって」

「離すって言っても最低限の配慮って物があるだろ?」


クレスは顔を少し赤くしている。これはちょっと恥ずかしかったパターンだね。


「それを要求してこなかったんじゃない。そっちが悪いのよ」

「ここ最近、そんな話ばっかり。どうして仲良く出来ないの?」

「みっちゃん。こんな男と仲良くなんてごめんよ!仕事をまともにしないだらけぶり、更に剣士になるって聞かないし」

「当然だ!俺は剣士になって必ずこの仕事から逃げる!」

「まあそれはみんなの夢だけどさ。そもそも剣術は習えない。それでどうやって剣舞祭でどうやってみんな一緒に勝つのさ。確かに世界の仕組みではそれが正解の突破法でも実際にやるとなるとまた別だよ?」

「その為に俺の記憶があるんだろ?」


クレスは別の記憶を持っていた。その世界ではどうやら剣を使っていたようだ。とはいっても記憶があるだけで実際にはやったことがないため(この体では)先生と言うには心許ない。

ミカゲはもじもじしなから答える。


「でも私は剣がじゃなくてナイフがいいですし」

「そうね。私は槍がいいしね。そもそもあんたなんかが本当に教えられるの?」

「だから今資金を集めてるんだろ?あと少しで集まるんだ。そしたら教えるさ」

「そうだね。僕もここで終わりたくない。そのためなら小さい希望でも掴みとってみせる」


レイは手を握り上に手を伸ばす。


「やっぱ分かってるな!」

「それで?あとどれくらいかかりそうなの?」

「三の月が終わるまでだ」


するとミカゲは驚いた顔をする。


「それってもうすぐ、だよね。もう三の月の終わりだから」

「そうだ。そうしたら木刀を作る」


木刀!?


「それで剣を買えるんじゃないの!?」

「買えるわけないだろ?いくら鉄屑の剣でも五千チンはくだらないからね」

「五千チンもするの?」


つまり四人分で約二万チン。多分今入ってるのは二千八十チンだから全然足りない。っていうか一個も買えない。


「それが技術料ってもんなんだよ。だったらいい木を買って丁寧に削った方が高いランクの武器を作れる」

「因みに値段は?」

「一本作るのに五百五十チンくらいだ」

「それなら足りてるんじゃないか?」


剣を作るのが優先なんだから。その細かい分だったらみんなでやれば出せるだろうし。


「まあそこはもう買ったからその他のものだけど」

「その他って?」

「剣には鞘が必要だろ?すると俺らに木で鞘を作る技術は無いし時間がかかる。なら革を買えばいい。革を買うんだと一つ二百チン。合計八百チンもするんだよ」


確かにそれなら次の給金を全て使えば買える。


「まあそれくらいなら余裕があるから、いいけど」

「そうね。それもいいと思う。だとすると非力な私達は革をやるわけね。わかったわ」

「非力かどうかは置いといて俺とレイでやる予定だ」


え?


「そういうのやったこと無いし」

「お前ならなんとかなる。器用だしな」

「そんなんでいいの?」

「いいんだよ、そんなもんだって」


そうなのか?






「これが原木だ。これを今から剣にしやすいように切る。だから自分の剣をどんな感じにするか決めてくれ」

「わかった。ならクレスと同じような剣にしたい」

「でも少し大きいぞ?」

「ならほんの少し小さめに作りたいかも」

「わかった。それじゃあ切ってくぞ!」

「その前に、これは何チンしたの?」

「千二百チンだ」


「…」


ズカン、ズカン、ズカン、ズカン…






「こんなもんか?」

「まさか切るだけに一日かかるなんて」

「取り敢えず俺らの分だ。槍とナイフはまあ後でだな」

「わかった」


切られた木をまた少しずつ切って加工していく。




「ここは…、こんな感じか?」

「ここをこうしてっと」


レイとクレスはそれぞれ話し合ったり店の剣を見て回り少しずつ剣に近付けていく。






「刀身はこんなもんだな」

「そうだね」






「これで完成だ」

「やっとか。まさかここまで時間がかかるなんて。両立が大変だよ」


制作期間は一週間。


「ってあれ?すごく重いんだけど」

「そりゃな。この木は千寿の巨木と言われてるんだぞ?」

「でも安かったよね」

「それは当然だろ?そもそも加工に向いてない。何より硬いしな。この村にそんなものが必要になる事なんて無いだろ?」


確かに。偏狭だし魔物もたまにしか出てこない平和な村。そんなの必要ないのか。運ぶのは手間だしね。

ちなみに剣は二人がギリギリで持てる重さだったようだ。


「なっ、俺の方が汚い!」

「雑が仇となったね。丁寧にやっとけばそんな事にならないのに」


クレスは肩を落としていたがすぐにもち直す。


「取り敢えず槍と小太刀を作るか」

「小太刀?」

「小太刀っていうのは小さい太刀かな?侍って分かるか?」

「まあ知ってるけど、それって太刀だよね。それに関係があるの?」

「小太刀は太刀を短くしただけの物だ。それならあいつでも振れるだろ?」

「確かにそうかも知れない」


クレスは立ち上がると剣を持つ。


「まあその前に鞘を作って貰わないとな。いくぞ、レイ」

「そうだね。渡してささっと次を作ろう」


レイも立ち上がりついていく。


そうして更に一週間で槍と小太刀が完成する。







「俺らは先に始めてたけどお前らのも出来たから始めるぞ」


クレスは自分が一番出来が低い事に気付いてから少しだけ不機嫌だ。まあそれでも確かに僕たちよりも上手く動く。剣を持っているときのクレスは生き生きとしていて輝いても見えた。


「てやぁ!」

「それじゃあダメだ。踏み込みが甘いから一歩バックするだけで一瞬で圏外になる。普段はそれでいいかも知れないが踏み込みをした方が実践的だ」




「はっ!」

「ミカゲは性格に吊られず筋がいいかも、だけど振るスピードがもう少し速くなるように頑張って」

「ありがとう」




「私は?」

「剣系はなんとかなるけど槍は知らん。だからとことん俺と打ち合いだ」

「ずっとそれじゃん!」

「教えようがないからしょうがないだろ?」


ここから一ヶ月必死に練習を続け何とか残り一ヶ月を残して訓練が終わった。


「今日は食糧を揃えよう。もう許可は出てるから明日から居なくても何とかなるはずだ」

「食糧は保存がきく方がいいと思ってキャベチの酢漬けと干し肉は用意しといたけど」

「流石レンだ。それなら後は日々の剣のメンテナンス用の樹液は…」

「もうある」

「流石ミカゲ!すごい…、何だよ」


ヘンゼはクスクス笑っている。それに遂に気付いたクレスは勿論突っかかる。それに対して笑いながら答える。


「そんなの早めに準備しとくもんでしょ?給金は何に使ってたのよ」

「それは後で教えよう」


その話になった瞬間自信ありげな顔をする。


「まさかくだらないことに使ってないよね」


流石に心配になったのかヘンゼは心配そうに見る。


「無駄遣いなんかするわけないだろ!?」


ん?


「その傷、どうしたんだ?」

「さあな。いつの間にか付いていた。だからわからない」

「へぇー、そうなんだ」

これ、おかしくね?といった物がありましたらお願いいたします

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