第6話 忠告
まず最初に言っておくのは私が知っているのは、リアたんが16歳になって国立魔法学園に入学してからの出来事だっていうこと。私の未来予知は一人の庶民階級の女の子が過ごす学園生活に絞られているの。
「そもそも何故庶民の少女が学園に入学出来ているの?学園は入学金や学費がかなりのものになるから、庶民は入学出来ない筈よ。」
それはその子が光属性の持ち主だからだよ。薄いピンクの髪に蜂蜜色の瞳の美少女。だから、会ったら多分直ぐに分かると思う。ただ、名前は一切分からない。もしかしたらっていう名前はあるんだけど、それはデフォルトネームって言って、えーと、うーん、ごめん、これは説明が難しいからちょっと忘れて。
兎に角その少女は庶民の特待生制度を利用してリアたんと同じ年に学園に入学するの。けど、当然周りは貴族ばかりで近寄ってくるのは少女の容姿や光属性持ちっていうことに惹かれた人間ばかり。そういう打算抜きの友達が欲しかった少女はそういう人達をかわしながら生活してたら、それに貴族の生徒達が逆上していじめられちゃうんだ。だけど、それにめげずに生活していく中で何人かの男子生徒と知り合って仲良くなって恋に落ちる。まあ、乙女ゲームのテンプレだよね。
「その男子生徒が攻略対象っていうことかしら。」
そう、そう、大正解!!!!攻略対象は一周目は四人。
二年生で第一王子であるリアたんのお兄さんセルシス。
飛び級で入学した一年生の第二王子であるリウムたん。
一年生で14歳にして魔法騎士団に入団は果たし、副団長にまで登りつめた天才魔導士。
三年生で次期騎士団長有力候補と噂される騎士団長の長男。
「リウムは飛び級で入学するの!?」
うん、かなり頭良いよ。攻略にも勉学のステータスかなりあげないといけなかったしなあ。頭が良い分周りを少し見下していて、プライドが高いキャラっていう設定だったよ。後、全員のルートを全エンド攻略すると、新しく二人のキャラが攻略出来るようになるの。
お邪魔キャラである悪役王女、つまりリアたんの従者のカンパニュラ。
そして、現王の弟であるリアたんの叔父さん。
「ちょ、ちょっと、待ちなさい!!!叔父様も攻略対象なの!!?あの叔父様が!?無理よ、無理、絶対無理!!!叔父様は亡くなった婚約者の令嬢を今でも愛してるのよ!?叔父様の原動力なんて全部その令嬢なのに、その叔父様と恋なんて出来るの?」
あー、そうそう。王弟ルートはそこが一番の難関であり、醍醐味であるというか。なんでも、主人公がその令嬢に似ているとかで少しずつ惹かれていくんだけど、そのことに罪悪感を感じて引き下がろうとする王弟を口説き落とすのがまあ大変だった、大変だった…。でも、エンドは凄い感動的だし、大人の恋を楽しめるし、コアなファンがついてるルートなんだよね。
「その主人公は聖女か何かなの?正直あの叔父様と恋仲になるなんて、聖女か女神でもないと無理だと思うのだけれど。」
まあ、実際主人公はかなり完璧人間だよ。勿論、プレイヤーのステータス上げの進度にもよるけど、基本的には容姿端麗、才色兼備、気遣いも出来て純粋で正義感が強い子。
「貴族の世界ではまず間違いなく生きていけないタイプね。」
けど、攻略キャラ達はそこに惹かれるみたいだよ。人間自分にないものを求めるっていうしね。まあ、話を戻すと、取り敢えずリアたんが死ぬエンドはほぼ全部なんだけど、その中でもいくつかの種類があるんだ。
一つ目が攻略キャラに惨殺エンド
二つ目が主人公に襲い掛かって返り討ちエンド
三つ目が国外追放されてその道中に盗賊に殺されるエンド
「私が生き残る道はないの?」
残念ながら一つも。ああ、そんな『使えないわね』みたいな顔しないで!!!!それも興奮するけど!!!
「そもそもなんで私はそんなに死ぬ運命にあるの。普通に考えておかしくないかしら?何故その庶民が恋に落ちる度に私が死ななくてはならないの?」
そう、そこなんですよ。なんと、リアたんは主人公がどのキャラを好きになっても邪魔してくるんですよねえ。
「別にその相手が私の婚約者だったという訳ではないのに、何故?」
うーん、ゲームのシナリオではリアたんサイドの事情はあんまり深く描かれなかったからなあ。やっぱり、あんまり敵キャラに感情移入しやすいシナリオも考えものだしね。そこは運営側の策略というか。あー、ごめん、運営もリアたんの未来には全く関係ない単語だから気にしないで。はい、すみません、脱線しないで話します。
まあ、ここからはあくまで私のプレイしての推測だから聞き流して良いんだけど、多分王族ルートの場合は『庶民が王族に近づくなんて』みたいな動機で、カンパニュラルートは『私のものに手を出すなんて』、魔導士と騎士団ルートは多分単純に相手が好きだったんじゃないかなあ。あくまでゲームをプレイしての感想だけどね。
リアたんは今までは王族の力で気に入らない人間はすぐに解雇したり出来たんだけど、学園に入ったら王族も特別扱いしてもらえない。だから、主人公を良く思わない生徒達を率いて、主人公を虐めまくるんですね。まあ、色々やるんだけど、一番迷惑なのがかなり妄想癖というか虚言癖があるというか。攻略キャラを自分の王子様だと思い込んでたり、主人公より自分の方が大切だと言っていたとか言ったり。結構言動がムカつくんだよなあ。
そうそう、じゃあ取り敢えず、カンパニュラに関する情報だよね。ああ、ごめんって、ほら。どうしてもカンパニュラの方が言い慣れてるからさ。クロッシュね、クロッシュ、はいはい。
クロッシュルート自体は全ルートクリアが条件だから、あんまり気にしなくて良いと思うんだけど。うーん、ネタバレ要素多いんだよなあ。
「本人の個人的な事情を本人の同意なしに聞くのは信頼を損ねる行為よ。私の生死に関わらない話ならしなくて良いわ。」
へえー、リアたんクロッシュに信頼して欲しいと思ってるんだ。あんなに最初は拒んでたのに今はすっかり仲良しさんでお姉さん嬉しいなあ。ふふふ。
「主として、従者の信頼を得るのは当然よ。今までの護衛やメイドと違ってクロッシュは強いから、私の信頼に値するわ。」
もう真っ赤になっちゃって!!!スクショ!!!スクショしたい!!!!!
でも、そうだなあ。キャラを攻略する為の情報なら沢山あるけど、リアたんが死なない為の情報ならそんなに必要ないんだよなあ。だって、リアたんが主人公を虐めなければ万事解決なんだもの。それが一番手っ取り早いよ。リアたんが死ぬそもそもの原因はリアたんが主人公を虐めたからだし。クロッシュにあの女呼ばわりされるのも、殺されて共倒れするのも、つまりは主人公を虐める性格の悪さをクロッシュに嫌われてたからだし。
「隷属の首輪があるのに何故私を殺せたのかと思ったら、共倒れなのね…。そこまで主人公が好きだったのかしら…。」
まあ、それはクロッシュルートのバッドエンドなんだけどね。主人公とクロッシュの関係がバレて、怒ったリアたんがクロッシュに主人公を殺すように命令するの。だけど、主人公のことを愛してしまっていたクロッシュは命令に背いて、どうせ死ぬならとリアたんを殺して死ぬの。あのエンドはかなり泣いたなあ。『すまない、君を一人にしないと誓ったのに…。俺が弱いばかりに君を泣かしてしまった…。すまない…。愛していた…、愛していたんだ。』っていうもうこのセリフはね、号泣必至だったよ。感動すぎて丸暗記してしまったレベルだよ。クロッシュの声がもう本当に悲し気で切なげで苦しそうで、だけど愛おしさに満ちていて、もうね、本当にね、素晴らしい演技でした。中の人有難うございました。
「それにしても、王族に次期騎士団長、魔法騎士団副団長。この国のエリートばかりなのに、何故その中にクロッシュがいるのかしら?クロッシュも将来何かしらの役職につくの?」
ううん、ゲーム内でもファンブック内でもそういった記述は特にないよ。多分、従者との身分違いの恋とか、自分を虐める加害者の従者とのロミジュリ要素のルートとして用意されたんじゃないかなあ。今まで虐めてきたリアたんの従者を奪い取るルートとしてリアたんアンチ勢からはかなりの人気があったしね。
「成程。なら、良かったわ。有難う。ひとまず、今の段階ではここまでで良いわ。正直これ以上話を聞いても、理解しきれる気がしないし。」
そっか。それで、どう?どう?悪役王女やめてくれる気になった?
「…一つ聞いても良いかしら?…未来予知では王妃やルピナス公爵家の話は出てくるの?」
ううん、ほとんど一言も。だから、最初にリアたんとリウムたんが命を狙われてるって知った時凄く驚いた。だから本当はね、分かってるんだ。
このままリアたんは悪役王女のまま生きていったら、学園生活の間に確実に死ぬ。私はそのことを知っているから、悪役王女ではない生き方をすすめてた。けどね、この一年リアたんが生きてきた環境をこの目で見てきて、それが正しいのか最近分からなくなってきちゃった。今リアたんが生きているのはリアたんが悪役王女として生きてきたからだから。
だけど、これだけは心に留めておいて。これから先今のままのコロナリィーアの在り方を貫いたら、コロナリィーアは絶対に死ぬ。辿る道は違っても、学園卒業まで貴方が生きている可能性はゼロだよ。
最近は大分寒くなってきたので、皆さん体調にお気をつけてくださいね!