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転生箱道中 ~ダンジョン異世界で僕はミミックでした~  作者: 和尚
第4章 王国と帝国という名のエリア
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第93話 成長



やってやったじゃん!


……えーと、はい、特筆すべきことは何もなく。


確かに強いは強かったんだけど、それより上のモンスターを普通に狩っていた僕らからすれば、さほど脅威に感じる敵じゃなかったな。


強さで言えば、以前狩った『グローリーホーン』……あのボス牛と同じくらいだ。能力や得意分野に差はあるけど。


しいて言えば、地上戦オンリーだった『グローリーホーン』に比べて、『ヒポグリフ』は空を、『エルダーロックワーム』は地中をテリトリーとしているため、攻撃チャンスが限られていてじれったかった……ってくらいだろうか。


とはいえ、そこさえ何とかしてしまえば、あとはどうにでもなる話だった。


ヒポグリフの方は、突っ込んできたところを、レガートが『守護の剣・緑』の効果で風を操ってバランスを崩させ、ガクッと体勢が乱れて動きが止まったところに、リィラが1発ヘッドショットを決めて仕留めた。


ワームの方はもっと単純。ハンマーに変形した僕をフォルテが装備し、そのままセンサーで地中の振動を感知。出てきて襲ってきた瞬間、もぐらたたきの要領でドカッと。


どちらも一撃で勝負がついてしまった。

……まあ、ステータス的にもこんなもんだよな。


「相変わらず、見てるこっちが怖くなるほどのステータスだな、お前達全員……」


と、2匹分の死骸を回収している最中にアルベルトが言って来た。


「? 何よ、いきなり?」


「いや、気に障ったならすまん。単なる率直な感想だ。……同じように『黙示録』を持ってレベルを上げて来たというのに、ここまで能力値に差が出るものか、と考えるとな」


「そういや、アルベルトってレベルのわりに能力値そこまでじゃないわよね」


とのレーネの疑問に、アルベルトはためいきをついていた。


「あのな……皆、耳にしたことくらいはあると思うが……本来、人間ないしは亜人族の平均的な能力値というのは、せいぜいが50かそこらが上限だ。適性なんかによってはまた違っては来るが」


そこからは、ある種のおさらいみたいな感じの話だった。作業をしながら、だが。


だいたい全ての能力値に言えることだが、特に訓練をしていない一般人の能力は、数値にして10もない。訓練した兵士でも20前後、熟練の兵士でも50行けばいい方だ。

それ以上は、確かな才能、って奴が必要になる。数人、ないしは数十人に1人レベル。


そこよりさらに上になると、天才だとか達人だとか、さらには勇者、英雄なんて呼ばれ方もするようになり、1人で1軍に匹敵する、国家間のパワーバランスを左右する、なんていう言われるようになったりもする。


そして、現在の僕ら……『ドラミューザファミリー』最高幹部クラス一同のレベルないし能力値は、間違いなくその『達人・勇者』レベルに達している。


「おそらく、お前達も段階を踏んで強くなってきたんだろうし、だからこそ身内……というか、身の回りにそういうレベルの連中がいることをそんなに不思議には思っていないのかもわからんが……お前達の戦闘力、普通に小国の軍隊超えとるからな。レベル100オーバー3人だの、第4位階の魔物3体だの……しかもそれが『黙示録』の効果でガッツリ強化されていると来た」


「褒められてるのかけなされてるのか」


「安心しろ。褒めている。同時に呆れてるがな」


あっそう。


「えーっと、つまり結局……私らの成長率がおかしい、って言いたいわけ?」


「身も蓋もない言い方をすればそうなる。……まあ、理由は予想はついてるんだがな」


「? 詳しく」


「おそらくだが……レーネとビーチェが持っている『絆の杯』……このスキルの効果だろう。どうやら、『杯』で結ばれている仲間全員に、その比重に応じて経験値が同様に入ったり、成長率にボーナスがかかったりするようだ。そしてこのスキルで……シャープ達とつながっている」


と、唐突に僕の名前が出る。


「テイマー系スキルの一種のようだから……契約している魔物の能力に応じて契約主が強化される、という効果が発揮されているのはわかる。それでつながっているのが、シャープをはじめとした超のつく強力なメンツだからな。その効果を、『杯』で繋がっている者たち全員で共有していることによる相乗効果……とどめに、シャープが持っている『黙示録』の効果も合わさっている。同じく『黙示録』を使っている私と比較してなお、すさまじいまでの差がある理由はそこだろう」


「なるほど……簡単に言うとシャープ達のおかげってこと?」


「そうでしょうけど……えっと、レーネ? 理解するのをあきらめたわけ……じゃないのよね?」


レーネのざっくりした発言にピュアーノがちょっと不安そうにしているそばで、ビーチェはアルベルト同様、冷静に分析している。


「それ、あるかもしれないわね。特に……シャープとフォルテとの契約のあたりの事情もあるし」


「? どういうことだ?」


「話してなかったから、アルベルトは知らないでしょうけど……っていうか、私もあくまで聞いただけなんだけどね? レーネがシャープとフォルテと『契約』したのって、まだ彼女が全然弱かったころで……しかも、シャープ達の方がずっとずっと強い状態でだったらしいのよ」


ああ……そういやそんなことあったね。


たしかあの時は、契約相手とのレベル差が大きすぎるだの、拒否すれば100%の確率で抵抗レジストに成功しますだの、メッセージ出てたっけ。

言っちゃ悪いけど、僕らとレーネじゃ釣り合わない、っていう現実を如実に示す感じのが。


まあ、もともと僕もフォルテも納得済みだったから、それら全部無視して契約したけど……


「……なるほど。今になって思うが、確かにそれが大きな原因かもしれん。戦いでも、格上の敵と戦って勝つと、経験値が非常に多く入るというのはよく聞く話だ。それはおそらく……『使役テイム』でも同様だった、ということだろう」


「私がまだ弱っちかった時に、当時から強かったシャープ達と契約したから、その分補正ついて強くなれた……ってこと?」


「より正確に言うなら……今でも圧倒的にシャープ達の方が、戦闘という分野では上だがな」


「野生の魔物なら、本来、自分より力の劣る相手に力を貸すということはないですからね……はるか格上の魔物をテイムした結果としてもたらされた、イレギュラーな急成長……」


レガートやフェルも加わって考察は進む。


……意外とあってそうな予想だな。


言われてみれば、それまでは普通の枠内のステータスだったレーネ達が、僕やフォルテと契約してから急成長し始めたし、その後仲間になったリィラやビーチェ達も同様だ。

とくにリィラは、種族ゆえの成長の早さも手伝って、すごい速さで実践レベルになったっけ。


でも、もしそうなら……検証も可能かもしれない。

他ならぬ……アルベルトの協力さえあれば。


この『旧帝都』で行動し始めた直後、ビーチェは、同じチームで、同じ目的のために戦う仲間として、色々な面でバックアップし合うために、アルベルトとも『杯』をつないでいる。


これにより、他のメンバーと条件は同じになっている。


即ち、ここでのレベル上げで、アルベルトが今までになく急激にレベルないし能力が上がるようなことがあれば、その仮説は正しい……と言えるかもしれない。

断言はできなくとも……少なくとも、有力な根拠にはなるだろう。


できるなら、レベル100超えて進化とかしてくれれば、レーネ達と条件もそろうし、比較しやすいんじゃないかな?


そう言ったら、


「ははは、それはそうかもしれんが、さすがに難しいだろう。進化もそうだが、レベル100などそうそう行ける、もん……じゃ……」


……なぜか、アルベルトの言葉が尻すぼみになっていく。なんか、消えゆくように、力なく。


どうした、と言う直前に、ふと思い至り……



★名 前:アルベルト・ジョワユーズ

 種 族:人間(混血獣人・兎)

 レベル:83

 攻撃力:259  防御力:163

 敏捷性:491  魔法力:179

 能 力:通常能力『脚力・中』

     通常能力『軽技』

     通常能力『俊足』

     希少能力『毒物耐性』

     希少能力『超再生』

     希少能力『暗殺術』

     固有能力『神算鬼謀』

     固有能力『完全記憶能力』

     特殊能力『鑑定眼』

     特殊能力『地獄耳』

     特殊能力『千里眼』

     特殊能力『戦略魔法・智』

     特殊能力『杯』



鑑定結果がこちら。


「……えーっと……ここ入る前、アルベルトのレベルって?」


「78、だった。……半日で5、か……」


「「「…………」」」


見た感じ、能力も……『杯』の影響もあってだろう、結構な上り幅を見せている。


……よし、とりあえずこの調子でレベル上げ続けますか。めざせ、進化。





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