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転生箱道中 ~ダンジョン異世界で僕はミミックでした~  作者: 和尚
第4章 王国と帝国という名のエリア
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第82話 キノコ大戦争



とりあえず、一言。

エリアボス戦……めっっっっっっっちゃ大変だった。


このエリアのボスは、見た目一発ネタみたいな奴で……一言で言うなら、人型のキノコ。

頭がキノコ。胴体もキノコ。手足もキノコ。あと何か背中とか肩とかからキノコ生えてる。


『マッシュロード』っていう名前で……うん、まあ、衝撃的な見た目だった。

シイタケとかマツタケみたいな見た目の奴から、いかにもって感じのカラフルな傘の奴まで、色々生えてて……しかしとりあえず、悪ふざけの産物みたいな見た目の奴だった。


……しかし、予想に反してこれがガチで強い奴で。



★種 族:マッシュロード

 レベル:67

 攻撃力:227  防御力:219

 敏捷性: 71  魔法力:499

 能 力:通常能力『分体精製』

     希少能力『超高速再生』

     希少能力『状態異常耐性』

     希少能力『痛覚遮断』

     希少能力『眷属精製』

     固有能力『キノコの猛毒』

     特殊能力『大自然の守護者』

     特殊能力『強化変身』



見た通り能力値は全然大したことないんだけども……スキルが凶悪だった。数も、内容も。


正直言って、油断してたところに盛大にしっぺ返し食らった気分で……こいつ、エリアボスどころか、この山脈全体のボスじゃないか、ってレベルだ。


『超高速再生』とか、読んで字のごとく内容がわかるものはいいとして……問題だったのは、『分体精製』と『眷属精製』、そして固有と特殊の能力。

これらが……合わせ技的に厄介、いや凶悪だった。


何が起こるって……増えるんだよ、キノコが。爆発的な勢いで。


『分体精製』はスライムとかが持ってるような能力で、自分と同じ、あるいはわずかに能力が劣る個体を、分裂とかして生み出す能力だ。そして、似て非なる能力『眷属精製』は、自分よりランクの劣る、同系統の魔物を召喚する能力。これは僕も持ってる。


前者は、生み出すものは比較的強い代わりに、回数制限とか縛りがあり……後者は、比較的弱いが魔力が続く限りいくらでも召喚できる。

どっちも一長一短、って感じだが……これ2つがあわさると酷い。


まず、『分体精製』で『マッシュロード』が増える。

それも、ホントに制限あるのか、ってくらいに一気に……30体くらいに増える。


この時点で僕ら『マジかよ』って感じだったんだが……今度はその30体全員が『眷属精製』で、下級のキノコモンスターを作り出すのだ。それも、桁が違う数を。


その光景にびっくりしてる間に……僕らの目の前には、ものの数十秒の間に呼び出されて構築された、3000を超えるキノコの大群、いやもうむしろ『軍』と呼ぶべきそれが布陣していた。


一体一体の強さは全然大したことない。ザコモンスターとどっこいだった。

だが……数が、数が、おかしい。何だ四桁って。十数秒で四桁って。しかも、現在進行形で増える。あ、コレそんなにかからずに五桁行くわ。


『ザッケンナコラー!』って思わず叫んだと同時に……戦いが、いや『合戦』が始まった。


そこからはもう……ひどい戦いだった。


無双ゲームVS戦略シミュレーションって感じの、色々とおかしい戦場。

立ち込める毒煙(たぶん胞子)。四方八方から押し寄せる人型キノコの大群。

その中を、各々無双する僕らチーム。


皆を『箱入娘ベイビーズガード』で毒とかから守りつつ、各自でもう、滅茶苦茶に戦うしかなかった。数ってホント厄介だ……減らしても減らしても減らない。むしろ増える。


あんまりにも先が見えないので、僕も『眷属小箱レプリカミミック』で大量に眷属を作り出して、軍VS軍の形に持って行かないといけなかったし。


そこにさらに、ボスである『マッシュロード』の他のスキルが拍車をかけていた。

どうやら、僕のもそうだけど……眷属にもいくつかスキルが適用されるらしかった。


押し寄せる大軍は、『痛覚遮断』で痛みを感じず(植物だしな元々)、斬っても殴っても焼いても怯まない。スケルトンとかアンデッドのごとく、仲間の死骸を踏み越えて向かってくる。


しかも、半端な傷は再生能力ですぐに治るし、植物だから出血で弱るってことがない。


倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても減らない。

いくらスペックでは圧倒的に有利でも、このままじゃこっちがガス欠で限界が来る。


しかし、ザコを無視してボスを倒してしまおうにも……それもできない。


これに関しては、僕らのうかつさを呪うしかなかったんだが……あいつ、隠れやがった。

この、似たようなキノコモンスターがひしめいている戦場に、さらに全く同じ見た目の30体の『分体』と一緒に、隠れやがった。探してる余裕ない。てか、見つけられる気がせん。


そうしてる間にも、連中はキノコを生み出し続ける。この考えに至ったころには……もうとっくに数は10000を超えていただろう。


……今までで一番苦しい戦いだ。


それでも、僕らは勝った。どうにか。


そのカギになったものは3つ。


1つは、進化して『オーダーエルフ』になったレガートだ。


能力値もそうだけど、新しく獲得した『真・精霊魔法適正』と『最上級魔法適正』。これが強力で……今までとは比べ物にならない範囲・威力の攻撃魔法を使えて、一度に何十体ものキノコたちを消し飛ばしたりできた。


加えて、謎だったスキル『守護の剣・緑』っていうのの正体も、この戦いで発覚した。


どうやら、周囲の自然環境を味方につけて戦えるスキルだったらしい。

向こうも同系統の能力『大自然の守護者』を使って、草で足をからめとったりしてきたんだけど……どうやらレガートの能力の方が強力、あるいは上位の能力だったのか、即座に無力化してこっちで環境を利用できた。


しかも、草木だけでなく風や水まで利用できるらしく、かまいたち系の魔法の強化もできた。


おまけに、森やら自然の中で戦うと、本人の戦闘能力も強化されるようで……いいことづくめだ。この能力のおかげで、向こうの手札をいくらか封殺できたわけだし。


そして、勝利へのカギ2つ目と3つ目は……その後訪れた。


それは……戦いの最中、突如として僕たちの後方で……爆発的な魔力が膨れ上がったところに始まった。

何が起こったかというと……はい、回想入ります。



☆☆☆



「……ん!?」


その突然の変化に、僕らは一瞬気を取られた。

そして次の瞬間……



―――ドゴォォオオン!!



「「「!!?」」」


突如として鳴り響いた轟音。

見ると……戦場のある場所を起点とするように、片方は直線的な、もう片方は魔法によるものと思しき、放射状の破壊痕が残されていて、


その起点の部分には……レーネと、ビーチェが立っていた。


しかも……明らかに、前まで、いやさっきまでとは違う……何と言うか、存在感とか威圧感みたいなものをその身に宿して。


とっさに使った『鑑定』で、その正体はすぐにわかったんだけども。



★名 前:レーネ・セライア

 種 族:修羅森妖ヴィルーダエルフ

 レベル:100

 攻撃力:666  防御力:713

 敏捷性:596  魔法力:700

 能 力:希少能力『上級魔法適正』

     希少能力『重魔剣術』

     固有能力『修羅の剣』

     特殊能力『絆の杯』

     特殊能力『戦略魔法・将』

     特殊能力『???(未覚醒)』



★名 前:ベアトリーチェ・ドラミューザ

 種 族:真祖の吸血鬼トゥルーヴァンパイア

 レベル:100

 攻撃力:708  防御力: 396

 敏捷性:417  魔法力:1004

 能 力:希少能力『超再生』

     希少能力『上級魔法適正』

     希少能力『眷属精製』

     固有能力『真祖』

     特殊能力『絆の杯』



……後になってから聞いたんだが、2人とも、戦いの中で余裕がなくなってて、レベル100になった瞬間に出た選択肢で、とっさに『はい』を選んだそうだ。


すごい偶然だな、2人ほぼ同時にレベル100になるなんて。

まあ、ビーチェの方がレベル的には低いから、多く倒すように心がけてはいたんだけど。


で……進化したと。


……色々と、言いたいことはある。種族とか、能力値とか、スキルとか。

いや……ホント、レガート以上にぶっ壊れすぎだろう……何だこの強化幅? 僕ら魔物枠すら脅かす勢いなんだけど……レーネとか、こないだまで能力値10とか20とかだったのにね。


あの時戦ったオークキングなんて、瞬殺できるレベルじゃないか。


つか、何だ修羅森妖ヴィルーダエルフって。真祖の吸血鬼トゥルーヴァンパイアって。

後者はまあ……ファンタジーとかで割とよく聞く単語だし、そこそこ意味はわかるとしても……前者は確実に聞いたことないぞ。修羅って何ホントに?


しかし、悠長に検証している暇もないので、そのまま戦線継続。


幸いというか、大幅な戦力アップを果たした2人のおかげと……途中から僕らも、もう開き直って色々解禁したので、戦況は徐々に僕ら有利に進んでいった。


……最初のうち、森林火災になったらいけない、とか考えて、火とか雷の属性魔法とか、フォルテのレーザーブレスや、レーネ特製の火炎ビンなんかも封印して戦ってたんだよね。

んなこと言ってらんないから、もう解禁してバンバン焼き払ってるけど。


そして、ようやく終わりが見えてきた段階になって……そこで、どうやら『マッシュロード』も、最後の切り札を出してきた。


「え、何アレ?」


「……見た感じ、巨大化……だな」


そう、巨大化である。

せいぜい2mくらいの大きさだった『マッシュロード』は、50mを超える巨大なキノコクリーチャーに姿を変えていた。無数のキノコの触手をうねらせ、毒の胞子をまき散らしながら……物理的にも強くなったらしい感じで、こっちに向かってくる。


ひょっとしたらそれは、スキルの発動による軍隊の補充ももう限界だったからなのかもしれない……自分で戦うのは、こいつにとってリスクでしかないはずだから、それを捨てても向かってくるってことは、もう後がないってことだ。



★種 族:マッシュロード

 レベル:67

 攻撃力:893  防御力:721

 敏捷性: 80  魔法力:346

 能 力:通常能力『分体精製(無効化中)』

     希少能力『超高速再生』

     希少能力『状態異常耐性』

     希少能力『痛覚遮断』

     希少能力『眷属精製(無効化中)』

     固有能力『キノコの猛毒』

     特殊能力『大自然の守護者』

     特殊能力『強化変身』(発動中)



ただ、見掛け倒しじゃなくて、きちんと能力値も……接近戦が十分できる程度には強化されているらしい。いや、ちょっと強化されすぎだとも思う。ホントにこの山脈の主じゃないのかコレ。


今更ながら思うんだけど……コレ、例えば王国の軍隊が何かの拍子にこいつに遭遇したとして、普通に全滅するよねコレ? 絶対倒せないよね?

いやまあ、勇者とかの超ド級の個体戦力繰り出してくればわからんけども。


ただ面白いのは、逆に下がってる能力もあるってことだ。魔法力……さっきまで400超えてたはずなのに、300代になってるし……スキルの一部が『無効化中』になっとる。


で、その一番下にあるスキルが……『発動中』になってる。なるほど、『強化変身』か……強化されすぎだろ。まあ、ボスだし、こんなもんなのかもしれんけど。


……しかし、これは割と厄介な状況である。


このタイミングでの巨大化。しかも、敵がまだ残ってる中での。

まあ、能力的にはまだこっちに有利な範囲内と言えど……問題は、あの体の大きさと、いまだ健在な再生能力だろう。


体が大きいっていうのは、それだけで脅威だ。攻撃は通りづらくなるし、敵の攻撃は威力も範囲も大きくなるし。


何より、こっちの攻撃でできる傷が軽微すぎて、すぐさま治癒される、なんてことにもなりかねない。あの大きさだ……大剣で斬り付けても、体の大きさからしたら……人間で言えば、ちょっと切り傷ができた、くらいのもんだろう。


そして、向こうはそんなものを気にせず、圧倒的なパワーで潰しにかかってくると。


……つまり、こいつを倒すには……この強化形態と対峙してなお、圧倒的な戦闘能力で、再生する暇もないぐらいの勢いで粉砕する必要があるわけだ。

そうなると……手段は1つだな。


もちろん…………『合体』である。


あまりに終わりが見えない戦いの上、ボス本物の居場所がわからなかったために、今まで使えなかったけど……こうして向こうから、それも、これで終わりって感じの雰囲気を前面に押し出して向かってきてくれるなら……話は別だ。


そう考え、皆にその旨を伝えた上で、フォルテとリィラと一緒にそれを実行した……その時。


(………………え?)


頭の中に、あるアナウンスが響いて……それにぎょっとした僕は、とっさに、合体直後の名乗りと見栄切りも忘れて、『鑑定』でステータスを確認した。


シェイアーガーと……レーネのステータスを。



★名 前:戦機合体シェイアーガー

 種 族:NO DATA

 レベル:ERROR

 攻撃力:3264  防御力:3807

 敏捷性:2982  魔法力:3011

 能 力:固有能力『特殊進化・合体』

     固有能力『王魔箱の右腕』

     固有能力『戦機傀の左腕』

     固有能力『機械龍の鎧』

     固有能力『電磁魔装甲』

     固有能力『天翔機械翼』

     固有能力『魔導操縦席コクピット』←注目



★名 前:レーネ・セライア

 種 族:修羅森妖ヴィルーダエルフ

 レベル:100

 攻撃力:666  防御力:713

 敏捷性:596  魔法力:700

 能 力:希少能力『上級魔法適正』

     希少能力『重魔剣術』

     固有能力『修羅の剣』

     特殊能力『絆の杯』

     特殊能力『戦略魔法・将』

     特殊能力『特級操縦士エースパイロット』←注目



………………おい、まじか。





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