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転生箱道中 ~ダンジョン異世界で僕はミミックでした~  作者: 和尚
第1章 はじまりの洞窟のエリア
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第8話 運命の出会い・その1


その日は朝から……なんとなく、いつもと違っていた。


いや、朝って言うか……僕基本、時間間隔気にせず採取続けてるから、疲れて寝た前後を区切ってるだけだから、『朝』ではないかもしれない。というか、多分違う。


けどまあ、僕の心の中では朝なので、そう言って差し支えない、ということで(意味不明)。


まあともかく、僕が目を覚ましてからの話だ。

何か奇妙な違和感を覚えつつも……僕は、最早日課である『採取』を続けていた。


最近では、最早趣味といっていいくらいだ。


魔物を狩って素材を集める、っていうだけにとどまらず……その辺の石壁で、周りと色が違う部分をかじりとったりして、違う材質の石材を手に入れたり、装飾に埋め込まれてる宝石や貴金属みたいな飾りをかじりとって回収したりもしている。


……もはや、完全に採集がメインになってるな、ここんとこ。


現代日本のゲームで言うところの……『炭鉱夫』ってやつか? 気分はそんな感じ。


……ひょっとしたら自分は、こういう生き方が本格的に好きなんだろうか?

案外……否定もできなさそうなのが怖いな。


いや、どーしようマジで……おじいちゃんに『世界を見て回りたいんだ(キリッ)』的なこと言って色々教わっちゃったんだけど、最近では近場で採取生活して生きるのも悪くないな、とか思い始めちゃってるんだけど。

何か……このまま続けるってなると、嘘ついたみたいで罪悪感あるんだけど。


ま、まあ、さすがにいつかは別な場所に行くつもりだ。

いや、きっと行くと思う。

行くかもしれない。

……行くといいね。


……ただ、まあ……それが、予想よりもけっこう後になるかもしんないな、ってだけだ。


その移動した先でも同じような生活を繰り返すかもしんない……っていう懸念もあるけど。


(だってなー……採取、意外と楽しいんだよなー。採取した素材で、色々つくってみるのも楽しいんだよなー。モンスターの皮とか鱗とか甲殻とか使って、食べた剣とか鎧を解析して学習した『作り方』に沿ってアイテムに加工するのとかも、楽しいんだよなー……)


……おじいちゃんには『好きなように生きてみよ』って言われてるけど……だからって当初の予定とあんまりに違う生き方にシフトするのはためらわれる……

けど……この生産職的ライフ、冗談抜きに楽しい……。


(あーもう、ホントどうしよ…………ん?)


心の中でため息をついた……その時だった。


(……何だ? 今、向こうから何か……)


何かが、吠えたような音がした気が……


このへんにどんな魔物が出てくるかは、もうあらかた狩りつくして把握してる。


巨大なダンゴムシみたいな奴に、同じく巨大なカエル、トカゲに、蝙蝠コウモリ

あと、頻度低めだけど……こないだのみたいな大蛇や、陸ガメみたいなのも出る。

全部、人間の子供と同じくらいかそれ以上の大きさがある連中だ。


このへんに出る魔物は、大体コレで全部。

そして、こいつらは全部、僕は狩ったことがある。


けど……今の鳴き声は、そのどれとも違った。


これは、移動するうちに僕が他の『エリア』に近づきつつあったのか……それとも逆に、他のエリアから流れてきた奴が近くに来ているのか……。


そんなことを考えつつ、音がした方へ行ってみる。

無論、そろりそろりと音を立てないようにして……だ。


そして、いくつかの曲がり角を経て、たどり着いた先には……広い部屋があった。


……どうやら、少し前までここで戦闘が行われていたようだ。

それを思わせる破壊痕や、巻き込まれた、あるいはその当事者だったと思しき魔物の死骸がある。


しかし……死骸はどれも僕が見たことがある魔物のものだった。

あの声の主と思しきそれは見当たらない。


でも、この痕跡を見るに……奴がいたのはここだと思う。


部屋の中を見回して、少し調べてみる。

アレにつながる手がかりか何か……どこかに残っていないか……?


…………くそっ、見つからないな……


モンスターの死骸、瓦礫の山、壊れた剣、部屋の中央に不自然に鎮座して妙なオーラを放っているやけにリアルな怪物の石像しかない……。


………………


…………いやいやいや、ちょっと待て。

今あっただろ。明らかにおかしいというか、怪しい点が1つ。


どう考えても変だっての。だって……


「……部屋の壁や天井はそこまで大規模に破損してないのに、瓦礫の量が多すぎる……」


「うぉい!? そこかよ気にするとこ!?」


うぉあ!? びっくりした!


振り向くと、さっきまで……何か、何かを威嚇するようなポーズで固まっていた怪物の石像が、そのポーズを『何でやねん!』といった感じのものに変えて立っていた。

テレビとかだったら、『びしっ!』とでも効果音が付きそうな感じだ。


「……はっ、しまった! 自分で動いちまった!」


自らの今の状態に気づいてか、ショックを受けたような仕草と共に、orzの姿勢になる怪物。


言葉と言い仕草といい、何だかやたら人間くさい奴だな……。

にぎやかというか、騒がしいというか……


……あ、ちなみに一応弁解しとくと、僕はちゃんと気づいてたからね? この石像?怪物?が怪しいって。


「嘘つけテメェ。さっき思いっきり驚いてたじゃねーか」


「は、嘘じゃないし!? 知ってたしお前が犯人だって! 犯人じゃなくても何かしら関連があるとは思ってたし!」


「じゃあ何であんなビクッてたんだよ?」


「いや、背を向けた瞬間に奇襲されるとかならともかく……関西人ばりのツッコミが飛んでくるとはさすがに思わなかったから」


コレ本当。さすがに反応が斜め上だったから度肝抜かれた。

もし襲い掛かってきてたら、そのまま返り討ちにすべく噛みついていた。


つか、こいつ何なんだろマジで?

恐らくさっきの声の犯人はこいつだってことはほぼ確信できたけど……得体が知れないっていう点は全然解決できてないし。


「カンサイジンってのが誰なのかは知らねーが……くそっ、かくなる上は普通に戦って潰すしかねーか……。面倒なこったぜ」


「あ、やっぱりっていうか一応、戦る気な感じではあるの?」


……気になるけど、聞ける雰囲気じゃなさそうだなあ……。

どうもこの石像、見逃してくれる雰囲気はない。奇襲が不可能であることから(原因:自爆)、正攻法で攻撃してくるつもりらしい。ボクサーみたいに拳を構えてくる。


……いかにも爪とか牙とか角とか使いそうな外見しといて、そんなリアリティあふれる感じで戦うのかよ。ファンタジーに謝れ。


「悪りーな、こっちにも事情があんだ……死んでもらうぜ、ミミック」


「ミミック違う。僕ハンターボックス……てか、あんたなんて呼んだらいいの? 名前は?」


「へっ……悪りーがこれから死ぬ奴に名乗る名前はねえな」


あっそ……またテンプレなセリフをどうも。なら別にいいや。

しかし、何だか随分と乱暴というか、不良みたいな感じの怪物だな。


「言っておくが、このガーゴイル様の爪から逃れられると思うなよ? 動かず大人しくしてれば、楽に、一瞬で終わらせてやるぜ?」


「『ガーゴイル』だね、わかった」


「………………」


そしてあんまり頭はよろしくないようだ。

爪、構えてないしね。両手グーだしね。


「……冥土の土産だ。覚えときな……お前を殺す者の名だ」


「いや、もう手遅れだから」


「うるせぇ! てか流せよそこは! 空気読め! 微妙な感じになるだろうが!」


「自業自得だろバカ! ついでに言えば微妙なのはお前の脳味噌だ!」


「はっ、残念だったな! 俺は『ガーゴイル』、石像を素体に作られた魔法生物だぜ!? 脳味噌なんざ元々ありゃしねえんだよ!」


「………………ええっと……なんか、ごめん」


「待てコラ。何だその目……いや、お前目ねぇけど……なんだ、その、憐れむような雰囲気は? 違うからな? お前が受け取っているであろう意味は、俺が言おうとしたことと違うからな!?」


「隙アリ!!」


「うぉ! 危ねぇ!!」


なんかこう……自らの尊厳とかそういった部分を必死に守ろうと、気持ち前傾姿勢になって主張してきた『ガーゴイル』。


その重心が動いた瞬間――すなわち、とっさに機敏に動くことがこんなんなその一瞬を狙って飛び出した僕は、その首を狙ってかみついて……がちん、とその牙が空を切った。


ちっ、よけたか……岩石の塊の癖に素早いな。


「くっ、なんてナチュラルに卑怯な野郎だ……油断も隙もあったもんじゃねえ……」


「あーもう、避けないでよ。せっかくその、頭はあるのに中身は空っぽっていう残念な状態になってるパーツ、すっきりさせてあげようと思ってたのに」


「無茶言ってんじゃねえ、それすっきり死ぬだろうが!」


すっきり死ぬって何だ。


「ちっ、面倒な……言葉で揺さぶって来やがるとはな……さすがミミック、体の大部分が口だけあって、口先は達者みてーだな」


「……………………」


「あ? 今度は何だよ?」


「いや、その……どのタイミングで『言ってる内容は本音なんだけどね』って言いだしたもんかと考えてて……その、さ」


「…………へ、へっ! もうその手は食わねえぞ! 同じ手でそう2度も3度も不意打ちが成功すると思うなよバカが!」


やばい。半分はホントに本音だって言いづらくなっちゃった。


だってなんか……すごく必死なんだものこの子。自分はアホの子じゃないって、客観的な意見を全身全霊で拒絶してる最中なんだもの。


……てかさ、まだ続けんの? この漫ざ……じゃなくて、ええと、何て言ったもんか……脱力系バトル?


もうさあ、このまま流れ解散でいいと思うんだけど。戦う雰囲気じゃないじゃん。戦わなくてすむならそれでいいじゃん。平和的に解決しようよ。傷つけあうことないよ。

変に意地出して引っ張って長引かせるから、色々としっちゃかめっちゃかな事態になってきちゃうんじゃないか。


「そうもいかねーっつってんだろ? そりゃお前、そんな風に……平和的にとか言ってくれたり、心配してくれんのは嬉しいがよ、さっき言ったように、俺にも事情ってもんが……」


「隙アリィ―――その首もらったぁ!!」


「いい加減にしろやァ―――!!」





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