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転生箱道中 ~ダンジョン異世界で僕はミミックでした~  作者: 和尚
第4章 王国と帝国という名のエリア
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第77話 一区切り、そしてさらに先へ

大分空いてしまって申し訳ないです……この時期、職場が繁忙期でして……



僕が変形……箱モチーフの右腕に。


リィラが変形……メカメカしい左腕に。


フォルテが変形……重厚な銀色の鎧に。


その状態で存在しない両腕に……僕とリィラが『合体』。

3体が1つになった感触と共に、フォルテの龍頭が変形して、頭が出現。


しかし、前回のように左右に割れるのではなく、上あごと下あごが分かれた。

下あごが首元につくようにスライドして降り、上あごはめくれるように後頭部に折りたたまれ……その中から、騎士の兜のような見た目の、人間型の『頭部』が出てきたのだ。


加えて言うなら、僕の変形した『右腕』は、そんなに大きくは変わっていない。

せいぜい、『変幻罠魔シェイプシフター』が『王宝牙棺キングギフト』に進化したことで、カラーリングが黒と金に変わったくらいだ。


それに対して、レーネとフォルテの変形形態は結構変わった。


レーネは、見た目が武装人形から戦闘用人型ロボットになったことで、変形形態の『左腕』もメカメカしい……ロボットの腕になっている。しかも、手の甲や肘、肩の部分などに銃口が見えている。砲撃機構を標準装備ということらしい。いざとなったらこれらが出てくるわけか。


そしてフォルテは、どっちかと言えばスリムな感じの、騎士甲冑的な見た目だった(ただし両腕はない)前までと違って……スーパーロボット然とした感じの重厚な見た目になった。


一目見て鉄壁の防御力とわかる胴体、がっしりとした太い、装甲に覆われた両足。

しかし、見る人が見れば……明らかに鎧ではなく、ロボットの体だ。背中からは……魔力で編まれたと思しき、漆黒のマントが現れ、背中からひざ下まで降りた。


その3体が合体した結果誕生したのが……これだ。



★名 前:戦機合体シェイアーガー

 種 族:NO DATA

 レベル:ERROR

 攻撃力:3134  防御力:3507

 敏捷性:2898  魔法力:2541

 能 力:固有能力『特殊進化・合体』

     固有能力『王魔箱の右腕』

     固有能力『戦機傀の左腕』

     固有能力『機械龍の鎧』

     固有能力『電磁魔装甲』

     固有能力『天翔機械翼』

     固有能力『???(未覚醒)』



……ドえらいことになってるな……相変わらず。

名前変わってるし……『戦機合体』だってよ。元になってる僕らの通常形態が進化したからかな? 次からは掛け声、コレにしなくっちゃな。


『そのへんはさておき……フォルテ、今回も任せた』


『おう。リィラもそれでいいか?』


『是非もないのです』


『んじゃ、最初は右だ』


『OK、技名は任せろ』


『いや、それは別にどうでもいい』


この時点ですでに、オーバーキルの気配しかしないわけだけども……とりあえず僕らは、この前と同じように、体の支配権をフォルテにゆだね……僕とリィラは、『腕』としてそれぞれの兵装を制御することに集中した。


そして……突如として姿を変えた僕らの変容にもひるむことなく、牙をむいて突撃してきた『クイーンダイアモンドコブラ』を、正面から迎撃して……



『スマッシュインパクトォ!!』 ← 僕



……その一撃で、決着がついた。


右腕(僕)を引き絞るように構え……さらに僕が、より攻撃の威力が高まるように腕を変形させた。肘から先の部分が巨大化するように。


まるで、超巨大な手甲を装備したような形になった、その右腕。立った状態からでも地面に掌が付きそうなほどに巨大化したその鋼の腕を……ぎりっ、と全力で握りしめる。


同時に……肩のところに作ったギミックが、膨大な量の空気を取り込みだした。フォルテの『風魔法』による補助も受けつつ……肩の装甲と手甲の内部に、空気を圧縮して蓄積していく。


腕を引き絞る。足を引く。肩に力を籠め……全身全霊をこめるかのように……


そして……大蛇の牙が目前に迫った時、射出するように、勢いよく前に突き出した。

その瞬間、収束していた膨大な空気が、肩と肘から一気に解放され……ロケットエンジンのごとき爆発的な推進力に変わる。


巨拳は、蛇の頭に直撃。


拮抗は、一瞬。


―――ドガメキビシバキャ、ゴガシャアアァァアアン!!!!


次の瞬間……あまりの勢いと衝撃で、『クイーンダイアモンドコブラ』は、その頭……どころか、拳の直線上にあった胴体のほとんどを爆散させて、吹き飛んだ。


粉砕を免れた残りの胴体から尻尾の部分も、まるで、蛇口に取り付けて勢いよく水を流したホースのように滅茶苦茶な動きを見せて吹き飛び、はるか遠くの壁に当たって墜落した。

そして、当然ながら……それきり動くことはなかった。


……どんな威力だ。殴っといてなんだけど。


僕ら3人(現1体)も、後ろにいたレーネ達も……唖然としたのは、まあ、仕方ないと思う。


……ともあれ、討伐完了。




≪クエスト詳細情報≫

・『ダンジョン『枯れ果てた鉱山』を完全攻略せよ』  CLEAR

攻略条件:

1.10人以内で挑戦せよ  CLEAR

2.魔法生物系モンスターを500体以上倒せ  CLEAR

3.第7階層にいる『銀人喰箱シルバーミミック』を討伐せよ  CLEAR

4.第8階層にある宝箱(罠含む)7つ全て開けて中身を入手せよ  CLEAR

5.ダンジョンボスを討伐せよ  CLEAR

6.第9層にいる『カースエメラルドコブラ』を討伐せよ  CLEAR

7.『クイーンダイアモンドコブラ』を討伐せよ  CLEAR



『隠しボス『クイーンダイアモンドコブラ』を討伐しました』


『クエスト『ダンジョン『枯れ果てた鉱山』を完全攻略せよ』を達成しました』

『シャープ達は『ハーミットエメラルド』を手に入れた!』

『シャープ達は『ブルーダイヤモンド』を手に入れた!』

『シャープ達は『ピンクダイヤモンド』を手に入れた!』

『シャープ達は『魔杖・カースオブコブラ』を手に入れた!』


『攻略者チームが『銀の黙示録』を所持していたため、報酬が追加されます』

『シャープ達は『イビルアイルビー』を手に入れた!』

『シャープ達は『イエローダイヤモンド』を手に入れた!』

『シャープ達は『スターライトサファイア』を手に入れた!』

『シャープ達は『金の延べ棒50本』を手に入れた!』

『シャープ達は『鉱山の再採掘権』を手に入れた! カレアデラ鉱山の鉱脈が復活した!』



☆☆☆



「……じゃ、定例会議ってことで……各担当、状況報告ね」


『枯れ果てた鉱山』の完全攻略から数日後。

僕らは……『リートアス』近くの山林の中に作られた、当面の『拠点』に戻ってきていた。


そこで1日2日休んで、迷宮攻略の疲れを取った後……その間に町から戻ってきて集結した、各部門の責任者を交えて、会議の席を設けている。


出席者は……僕、フォルテ、リィラ、レーネ、ビーチェ、レガート……そして、ビーチェ配下の『男衆』と、レーネ配下の『エルフチーム』から、それぞれ2名ずつだ。

各部門に指示していた作戦の、近況報告のために集まっている。


「じゃ、まずは町の方の報告から」


「はい。結論から申し上げれば……極めて順調と言えます。すでに、スラム一帯では一定以上の影響力を確保しました」


「正規の方法で治安を維持するシステムが全く機能していませんからね……浸透はスムーズに進みました。並行して行っている卸売業等の収益は、資料のとおりです」


その説明と同時に、手元にあらかじめ配られている資料に目を落とす僕ら。


そこに書かれているのは……どうやら、何をどこの店にどのくらい下ろして、その結果どのくらいの利益が出たか。そして、闇市でのそれらの売れ行きはどんな感じか……っていう資料だ。


結構詳細に書かれてるっぽいんだけど……いかんせんこっちは素人。あんまり読み方を詳しく知っているわけじゃないので、理解はわかる範囲だけだ。


それでも、重要な情報は大体は把握できた。


食料品や生活必需品の売り上げは上々。卸売りも、もっと増やしてくれっていう希望が多いみたいだ……次いで、嗜好品やその他雑貨類、ってとこか。


それらの部門に比べると、武器や防具はやや大人しめな売り上げだけど……単価がそこそこ大きいから、少なくもない、な。それに、まだまだ伸びしろのある市場だし。


用心棒稼業も順調。頼りにされるようになってきたし……実際に起こった面倒ごとを『処理』するたびに、評判は上がるし、僕らを恐れて手を出さない者も増えている。

逆に余計に火がついてちょっかい出してくる者もいるようだけど、それはまあ……あんまり目に余るようなら、それ以上のちょっかいを待たずしてこっちからアレするので。


「予想以上に順調ね……お疲れ様」


資料を読みながら、適宜質問を交えつつ、状況を無事把握したらしいビーチェからの、そんな言葉。隣にいるレーネは……分野的に得意じゃないからか、頭の上に『?』が出ているようだ。


まあ……自給自足メインの狩猟民族育ちだからね……無理もない。


「お褒めいただき恐縮です。今後は、さらに『リートアス』での権力基盤を盤石にした後で、他の地域・エリアへも同様に範囲拡大を続けていければと思っております」


「支配地域の拡大は2か月は先になると思っていたんだけど……」


「……実際にここで活動してみてわかったのですが、何かあってもだれも助けてくれない、という状況における住民の不安が予想以上なのでしょう……皆、怯えております。得体の知れない余所者であっても、自分たちを守ってくれる者達を拒む様子がないのは、それゆえでしょう」


「……なるほどね」


続いて、エルフ達からの報告。


僕らや『男衆』が仕入れる素材を使って、内職で製品を作り進めたり、狩りやら農作業やらで第一次産業的に『仕入れ』を行う、エルフ、および雇われのチーム。

その成果も、町のチーム同様、順調である。


各エリアでの、食べられる、あるいは素材が有用な魔物の狩猟。

山林エリアでの、野菜や果物の栽培。

湿地エリアでの、キノコ類や薬草の収穫。

湖エリアでの、魚釣りその他による食材確保。


その他……各エリアでの作業による素材等の確保は、手探りではあるが、僕の『眷属』や上質な武器・防具という初期投資が功を奏している形だ。


「こっちも予想以上みたいね……土地勘がないのに、この収穫量ってすごくない?」


「そうなの? エルフの皆は、そういうの普通に得意そうだと思ってたけど」


「いやあ……狩りとか薬草の採取って一言で言ったって、結構大変だからね?」


ここではさっきと対照的に、現場を知らないビーチェが首を傾げ、レーネが内容を理解し、適宜ビーチェに解説したりしていた。


「その場しのぎの一回きりとかならともかく……狩場になる森とかの性質を細かく把握しなきゃ、安定して狩猟生活なんてやってられないわよ。そこに手を加えて作物の栽培何かを進めるとなれば、なおさらね。山菜や薬草の群生地や植生の様子、それと関係した魔物の縄張りや徘徊範囲、昼と夜での生態系の変化……時に経験、時に情報、時に言い伝えなんかから、必要な情報を導き出す……まあ、慣れれば皆、無意識でやる程度のことではあるけど、間違いなく重要なことよ」


「……狩猟や採取での生活も、奥が深いんだ……」


土地勘のない場所でこれだけの成果を上げるエルフ達の手腕に感心するレーネと、レーネの知識に感心するビーチェ。


ともあれ、徐々に成果は上がって来ていて……最初のうちは、試験的な部分が大きいこともあって赤字だったものの、今ではどうにか、黒字に転じている。


このまま伸びていけば……まあ、途中でいくらか波はあるだろうけど、結構な規模の稼ぎをたたき出せるようになるだろう。


エルフの人たち曰く……『だんだん勝手がわかってきた』らしいし。


また、雇って働かせている孤児や浮浪者の中には、きちんと衣食住保証され、収入も十分にある仕事に意義を見出している者も少なからずおり、忠誠心……とは言わないまでも、僕らに誠心誠意尽くしてくれている様子だそうだ。


ただまあ……逆に、甘い汁を吸うことを覚えてよこしまな思いを抱く者もおり、横領とか、そういう……こっちに損害を与える形で動く者もいるとか。

そういう連中に関しては……当然、厳罰を持って対応している。


……具体的には、ちょっとアレだから明言はさけるけども。



さて、じゃあ最後に……僕らの成果について。

ダンジョン『枯れ果てた鉱山』の攻略の成果。これは……自分で言うのもなんだが、すごいよ。


まず、報酬として大量に手に入った宝石の山。

しかも、大半が普通の宝石じゃなく……『ハーミットエメラルド』やら『イビルアイルビー』やら、魔力やら何やらを秘めたレアアイテムばかり。

加えて、普通に資産価値になる金塊なんかも出ているときた。これだけで苦労に見合った報酬だと言える。


それに加えて……また出ました、魔法武器。



★品 名:魔杖・カースオブコブラ

 レア度:6

 説 明:うねるコブラの体を模した形状の杖。

     持ち主の魔法力を強化し、さらに攻撃に呪いを付与することができる。

     【以下、封印状態につき表示不可能】



『魔剣』ならぬ『魔杖』だってさ。魔法の威力を増幅させる効果に加えて……何か、物騒な追加効果っぽいのがあるみたい。

それに加えて……どうやら、まだ解放されていない、未知の能力もいくつか。


魔法使うメンバーに持たせるといいかもだな。検討しよう。


……そして何より、最も大きいのは……『完全攻略』の報酬で出た1つ。

『採掘権』……そして、『鉱脈復活』だろう。


読んで字のごとく……すでに枯渇してしまっていたはずの、あのダンジョンの元の姿……『カレアデラ鉱山』が、採掘前の姿に戻っていたのだ。いや、それを直接見て知ってるわけじゃないけど……少なくとも、あそこは『採掘』ができる状態になっていた。


鉄鉱石をはじめ、スズや鉛、銅といった、あそこでとれる鉱物が……しかしもう二度と取れなかったはずのそれが、軒並み『復活』していた。

つまり、もう1度採掘できるのだ。


しかも……この事実は、まだ誰にも知られてはいないだろう。

要するに、僕らが……少なくとも、一般に知られるまでは、独り占めできるのである。


そうとわかれば……善は急げだ。全速力で採掘を進めるとしよう。


打てる手は全部使って、あそこでとれる資源、がっつり回収して収益に変えねば。そのためには人手がいるな……それに、採掘を効率よく進めるためのアイテム……いやむしろ、いっそのことそれ相応の規模の『設備』が必要になる気すらする……あった方が確実に効率上がるし。


……独占して採掘しまくるのが『善』かって? 気にしない気にしない。


『用心棒』や『卸売り』、『収穫』とかと合わせて……ホント、やることは多いな。これから、ますます忙しくなりそうだ。


とりあえず、この日の会議は……しばらくは現状維持、徐々に事業を拡大していく……ってことで話はまとまり、終了となった。

基本、最初の最初にビーチェが示した方針通りだ。


ここから……少しずつ、少しずつ……コツコツと、進めていこう。

力も、資金も……あてはすでについている。

焦ることはない……まあ、あんまりのんびりしすぎもよくないけどね。





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