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転生箱道中 ~ダンジョン異世界で僕はミミックでした~  作者: 和尚
第4章 王国と帝国という名のエリア
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第75話 むしろここからが本番



7階層のボス……『フェイクジュエル』。台座?に安置された宝石に擬態して……近づいた者に襲い掛かってくる魔物。台座が本体であり、魔法攻撃を得意とする。


いかにも怪しかったので、『殺喰箱』と同じように鑑定で看破した後、遠距離からの攻撃で撃破。さっきはリィラのツインキャノンだったから、今度はフォルテのレーザーブレスで。


一瞬、障壁らしきものを出して抵抗したものの……すぐに『ぱりん』と力なく砕け散って、破壊光線に本体が飲み込まれて……消滅。


8階層のボス……ダークガーゴイル。

ボス部屋に誰もいない……と思ったら、天井から降ってきて先制攻撃、って形で奇襲してきた。


見た目は、悪魔っぽい造形の石像。しかし全身が黒く、攻撃力・防御力共に高い。

それだけでなく、魔法も使ってくる難敵……だったんだけど、こちらとはいかんせんステータスに差がある。特に問題なく、普通に戦って撃破。


最初の奇襲も、センサー張りに高い索敵能力を誇るリィラとフォルテが気づいてたので、何も問題なく回避→カウンターで蹴っ飛ばしたし。


第9階層のボスはなんと……僕の元の種族。『変幻罠魔シェイプシフター』だった。


これはぜひとも僕がやらねばなるまい、ていうかやりたい。

ということで僕が戦わせてもらうことにした。


宝箱の擬態を解いた『変幻罠魔シェイプシフター』は、素早い動きと高い攻撃力を活かして襲ってきたものの、いかんせんこっちはその能力の活かし方を実体験で熟知している。加えて能力値も上、というか種族としてそもそも上位互換。特に問題なく対応できた。


ちょっとやってみたくなって、途中から『機人ショタモード』を解除し、宝箱モード、ただし大きさは相手と同じくらいに設定して戦ってみたけど……まあ、同じような感じだった。


すると『変幻罠魔シェイプシフター』は、今度はべろんと伸びる舌を剣や鞭、鎖付きハンマーなんかに変えて攻撃してきた。さらに、蓋を盾に変えたり、時にはクロスボウに変えたり……前に僕がやってたのと同じように、変形ないし変身の能力を生かして襲ってきた。


これに対して僕は、同じように舌を変化……ドリルに変えた。そして、剣に変えてぶつかってきた『変幻罠魔シェイプシフター』を真っ向から迎え撃ち……完勝した。


ステータスの差だろう。『変幻罠魔シェイプシフター』の剣は砕け、それでも止まらなかった僕のドリルは、その真芯をとらえ、宝箱の体を粉々に粉砕した。


そんなわけで、順調に第9階層までクリアして探索を続けてきた僕らは……ただいま、『ダンジョンボス』と戦っている。


『―――――!!』


ただいま、ボス部屋。

目の前で咆哮するのは……全身が岩石でできているドラゴン。体長、5mはありそうだな。


部屋が広いからそんなに圧迫感はないものの、それでも体の大きさってのはそれだけで厄介だ。


頭のてっぺんから尻尾の先までが岩石。しかし、その表面は日々一つなく滑らかで……大きさも相まって、異常なまでの重厚さ、プレッシャーを感じさせる。

目の奥には……きゅぴーん、って感じで光がともっている。迫力あるなあ……。


鑑定したところ、こいつの正体は……



★種 族:龍魔像ドラゴガーゴイル

 レベル:40

 攻撃力:529  防御力:654

 敏捷性:198  魔法力:309

 能 力:希少能力『物理攻撃耐性』

     希少能力『魔法攻撃耐性』

     希少能力『自動修復』

     特殊能力『ダンジョンボス』



こりゃまた……『グレーターデーモン』に比べれば見劣りするけど、それでもこれまでに僕らが遭遇してきた中でも屈指の強さの魔物だ。ステータスの数値だけを見れば、一部ではあるが僕らと拮抗する位置にあり……しかもそれが、『ダンジョンボス』のスキルで強化されている。


加えて……あからさまというかわかりやすいというか、露骨なまでの『硬さ』。


元々の数値に加え、スキルで物理・魔法の両方のダメージを削ってくるものだから、とにかくこっちの攻撃が通りづらい。

おまけに、『自動修復』で回復まですると来た。


これらの理由で、能力値では勝っていても、中々決定打を与えられていないわけだ。


これは火力をできる限り上げないと、いつまでたっても終わらない……ってことで、僕、変形。

大剣モードになって、レーネが装備。


フォルテは『機人』を解除。本当の姿……機械のドラゴンになり、拮抗するレベルのステータスを活かしてタンク役になり、正面から殴り合っている。


リィラも本当の姿になって、背中の翼で飛翔、空中から掩護攻撃を続けている。


レガートには魔法で補助と回復に専念してもらっている。


そしてビーチェは、こんな時のために作っておいた、特別製の大型クロスボウを渡しておいた。矢の代わりに鉄球を射出するタイプで、威力は鋼鉄の鎧を容易く、粉々に粉砕するレベル。


しかも、それを銃身(って言っていいんだろうか?)の下のスライドを引くことで弓が引かれる、ポンプアクションのショットガンみたいな構造で作ってある。普通のクロスボウよりも使いやすいはずだ。おまけに、銃身に僕の『眷属』を組み込んであり、弦をひくと弾丸が自動装填される。


威力の代償として弓の弦……つまりはポンプアクションのスライドがめちゃくちゃに固いが、ビーチェの吸血鬼の膂力なら引き絞るのはそう難しくない。むしろ、彼女の能力値を活かせる。


それでも、こいつのパワーとタフネスは甘く見ることはできないそれであるからして、皆、攻撃を食らわないよう慎重に動いている。


振り下ろされる腕、足、尻尾……さらには噛みつきまで時々。

どうやらブレスとかの攻撃はしてこないようだけど……巨体から繰り出される範囲の広い攻撃の数々は、気の抜けない緊張感を保たせるには十分だ。


『―――!!』


「どっ……らぁぁあァ!!」


再び咆哮を上げながら突っ込んでくる石の龍。

それを、真正面から受け止めるフォルテ。


数m押し込まれたものの、見事にその勢いを殺しきり、がっぷり4つで組み合ったどころで……龍魔像ドラゴガーゴイルは、追撃に、フォルテの頭めがけて噛みつきを繰り出そうとする。


しかし、その側頭部に、ビーチェが放ったクロスボウの鉄球が直撃。

石でできた角が折れ、目のあたりまでひびが入った。


それで怯んだところに、さらに、真正面に滞空しているリィラが構えるライフルが火を噴いた。

2丁同時に放たれた魔力弾は、全く同じタイミングで同じ個所に着弾……しかもそこは、たった今ビーチェの鉄球がひびを入れたところだった。


2度、3度と打ち込まれる魔力弾。どんどんひびが大きくなっていき……さすがに危険と判断したのか、龍魔像ドラゴガーゴイルは一歩引こうとして……しかし、その移動のための重心移動の瞬間を狙っていたフォルテが牙をむいた。


その瞬間にぐいっと押し込んで転倒させようとし……しかしそれを察知した龍魔像ドラゴガーゴイルは、慌てて尻尾を支えにして押し戻そうとして……しかし、その勢いを利用され、今度は引っ張られる。ひらりと体を翻したフォルテに引き込まれ……さらに、今しがたかなり大きく入った顔の日々に爪を突き立てられ、渾身の力で、相撲とも柔道とも言い難い形で投げ飛ばされた。


5mの巨体が宙を舞い……ドゴォォオオン!! という轟音と共に床にたたきつけられた。


そこに飛び込んでいくのは……大上段に剣(僕)を構えたレーネ。


無防備に転がっている龍魔像ドラゴガーゴイルの、さらに無防備にさらされている首めがけて振り下ろし……ガギィン、と、耳障りな音が響く。

しかしその直後、ガガガガガ……と、断続的に、何かを削るような音が響き始めた。


刃を押し付けているにしては奇妙なこの音は……僕が変形している大剣が、ただの大剣じゃないことによるものだ。

さくっと言ってしまうと、刀身がチェーンソーみたいになっている。


小さな、しかしふと目で頑丈なかぎ状の刃を高速で動かしている。それによって、接触しているところからガリガリと削っていっているのだ。切り付けた瞬間よりも、それを押しつけ続けることで損傷を大きくさせられる形にしてみました。


ただ、コレ振動や反動がきつくて、押し付けるだけでも相当な力がいるから、僕自身がやるんじゃなければ、レーネかビーチェの腕力でないとできないけどね。あ、フォルテでも行けるか。


ともあれ、徐々に己の首元が削られていく感触を味わっている龍魔像ドラゴガーゴイルは、さすがにやばいと感じて逃げようともがくものの……フォルテが馬乗りになって上から押さえつけているせいで動けない。そればかりか、マウントポジションでめっちゃ殴られてる。


しかもそれが、やみくもにじゃなくて、肩とか翼の付け根部分を狙ってるから、着実に抵抗力をそいでいる。


それでも暴れ続ける龍魔像ドラゴガーゴイルは、ついにはレーネと僕、それにフォルテを振りきって逃れることに成功するものの……すでに首は半ばまで断ち切られている状態。そこから無数に亀裂も顔中に入っている。人相というか、龍相?がわからないくらい。


そんな崩壊寸前の龍魔像ドラゴガーゴイルの顔面の正面に……素早くリィラが飛来。


その背中に乗っていたビーチェが放った鉄球が首元に直撃、ひびが広がる……を通り越して、一部が砕け散った。


そしてそこに、リィラが打ち込んだ榴弾が突き刺さり……直後に爆発。


その威力に、ついに耐えきれなかった岩石の龍の首は爆散した。


破片が結構な範囲に、結構な勢いで飛び散ったけど、僕以外は『箱入娘ベイビーズガード』のおかげで無傷だった。いや、僕は素の防御力で無傷だったんだけどね?


そして、首が吹っ飛んだ後も、僕らは油断なく警戒を続けていたわけだけども……どうやら今ので、無事にというか、潔くというか……きちんと倒されてくれたようだ。


転倒し、動かなくなった石の巨体。

それに加え、僕らの頭に響く、レベルアップを告げるアナウンスがそれを教えてくれた。



『ダンジョンボスを撃破しました』

『ダンジョン『枯れ果てた鉱山』の攻略に成功しました』

『攻略者全員に攻略報酬が送られます』

『攻略者チームが『黙示録』を所持していたため、報酬が追加されます』


『シャープ達は『大理石の大塊 3トン』を手に入れた!』

『シャープ達は『黒曜石の大塊 500キロ』を手に入れた!』

『シャープ達は『カレアデラ鉱山の図面』を手に入れた』

『シャープ達は『エメラルドのカギ』を手に入れた!』


そんなアナウンスと同時に、『栄都の残骸』の時と同じように、何もない空間に光が寄り集まって、いくつもの形を成した。



『ダンジョンボス』を倒し、このダンジョンを攻略完了した証拠であり、同時に頑張った僕らへのご褒美である。

しかも、『黙示録』効果で普通よりも豪華な仕様だ。いぇい。


大理石と黒曜石は……上質な素材、ってことらしいな。


それに加えて、鍵に図面、か。


図面はこの鉱山の全体図らしく……しかし、ここがまだ鉱山として生きていたころのもの、というわけじゃなく、どうやら、ダンジョン化した今の鉱山の図面のようだった。

これはありがたい……これから有効利用させてもらおう。このダンジョン共々。


そして、もう1つ……鍵の方だが……さて、このへんで1つ確認しとこうか。


僕らは、このダンジョンを『攻略』した。

しかし、『完全攻略』したわけでは……ない。まだ。



≪クエスト詳細情報≫

・『ダンジョン『枯れ果てた鉱山』を完全攻略せよ』

期限:なし

状況:挑戦中

攻略条件:

1.10人以内で挑戦せよ  CLEAR

2.魔法生物系モンスターを500体以上倒せ  CLEAR

3.第7階層にいる『銀人喰箱シルバーミミック』を討伐せよ  CLEAR

4.第8階層にある宝箱(罠含む)7つ全て開けて中身を入手せよ  CLEAR

5.ダンジョンボスを討伐せよ  CLEAR

6.第9層にいる『カースエメラルドコブラ』を討伐せよ

7.●●●を討伐せよ


以上7つ全て達成でクリア



2つ、残ってる。まだ、倒すべき敵が。

恐らくは……『裏ボス』とか『隠しボス』とかいう分類になるのであろう敵が。


そして、名前からしてだけど……この『エメラルドのカギ』とやらは……それにかかわってくるキーアイテムなんじゃないかな、と思う。『黙示録』効果で入手できたこれこそが……ダンジョンを『完全攻略』するためのカギなのだろう。


さて……ここからが本番だ。

少し休んだら……まずは、第9階層に戻って、『カースエメラルドコブラ』とやらを。


そして、よくわからない『●●●』なる敵も……一緒に探すことにしよう。


手掛かりに乏しいから時間がかかるかもしれないが……まあ、何とかなるだろう。

平原とかじゃなくて、スペースが限定された洞窟型なわけだし。





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