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転生箱道中 ~ダンジョン異世界で僕はミミックでした~  作者: 和尚
第4章 王国と帝国という名のエリア
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第74話 ゴーレムダンジョン、攻略中



どうもこのダンジョン、元々のリポップの早さに加えて、長い期間の中で人が来てないのも相まって、増えたモンスターがたまってるらしいな。


そのせいで、おそらくはさっきみたいな大群が押し寄せて来たんだろう。


しばらくアレが続いて、早くも嫌になりそうだった僕らは、進みながらそんな考察をしてみていた。


とはいえ、まあまあいい運動になるし、僕らにしてみればそこまで強敵でもない。

経験値も……ゴーレム系はあんまり経験値よくないのが多いらしいんだけど、そこは量と、僕の『黙示録』の効果による経験値ブーストによって対処。


倒した分、かなりいい感じの実入りになっております。

これもまた、僕らがこのダンジョンに魅力を感じる理由の1つだ。普通の人たちには骨折り損のくたびれ儲けになりがちなゴーレムの相手も、僕らなら相応以上の実入りに変えられる。


それに、倒したゴーレムのなれの果てである石や土くれなんかも、倒した端から、全部……とは言わずとも、できるだけ回収している。

そのままほっとくと消えるので、その前に。


何でかっていうと……そのへんにあるような石や土だとはいえ、これらも立派な資材だからだ。

結構まとまったというか、大きな塊で採取できるので、加工するための材料としてはそれなりに有用なのである。いじってよし、売ってよし。


もっとも、収納系のスキルかアイテム……それも、僕の『無限宝箱』クラスに収納の規模があるそれじゃなきゃ、こんなことしようとは思わないだろうけど。

今言った通り、『どこにでもある』ものだから……普通に岩山とかから切り出したり、その辺で掘ってきた方が早いし、安価で安全だ。何度も言うように、労力には見合わない。


しかし、一度に持ち運べる量に際限がない僕ならば、そのへんを気にする必要もなしだ。


僕らがこれを何に使うつもりなのかは……長くなるので、また今度。


とにかく、片っ端から回収していき、すでにアイテムボックスの中には、トン単位の土と石材が収納されている。大量大量。まだまだ増えるだろうけどね。


そんなこんなで進んできた僕らは、現在、地下6階にまで来ている。


もちろん、途中出てきた『ボス』をことごとく倒してだ。


1階のボスは、『ストーンゴーレム』の強化版、さらに大きくて攻撃力・防御力共に高い『ロックゴーレム』だったんだけど、特に問題なく撃破。

というか、レーネ+ハンマーモードによる一撃で粉みじんになった。一撃で。


2階のボスもロックゴーレムだったんだけど……こちらは、1階のとは形が違った。

ゾウだった。

鼻が長くて、耳が大きくて、足が太くて四足歩行の、あのゾウである。


ゾウの形をしたロックゴーレム。

名前を鑑定すると『ロックゴーレム・ビースト』だそうだ。


しかし、重量と動き以外は特に変わらなかったので、今度はフォルテが尻尾の一撃で粉砕。


3階層のボスは、鉄製のゴーレムである『アイアンゴーレム』が、

4階層では、フォルテの下位種族である『メタルガーゴイル』が出てきた。


しかし、どちらも……体が金属でできてるくらいでは、最早僕らの敵ではない。

『アイアンゴーレム』はビーチェがメイスで叩き割り、『メタルガーゴイル』はリィラの掩護射撃を受けながら、レガートが切り刻んだ。


で、5階層で出てきたのは……今までとちょっと違って、面白い敵だった。


『ミックスゴーレム』って奴なんだけど……体が複数の物質を組み合わせて形作られていた。

胴体が土と泥。腕と足が岩。頭、肘、膝、拳が鉄。そして関節が砂。

そして、素材関係ないけど……これまでで一番の巨体。4mはあったな。


これが結構よく考えられてるもんで……胴体への攻撃は、やわらかい泥の体で威力が吸収される上、斬撃で攻撃してもすぐ再生してしまう。頭とかへの攻撃は、硬さでガードされた上、ガードしきれなかったものを、同じように胴体部分で緩和する。


そして、関節部分が砂だからだろうか……関節の可動域がすごく広くて、しなるように攻撃してくる上……気のせいじゃなけりゃ、微妙に攻撃の瞬間、伸びてるように見えた。

しかも、動くたびに砂が飛び散るので、絶妙に邪魔というか不快だったりする。


ステータスもそれなりに高かったので、今までのボスや魔物よりは手こずった。


が、それでもちょっと本気出せば十分対応できる範囲だったし……それ以上に、レガートが機転を利かせたおかげで、途中から一気に優勢になって無力化・完封に近い形で勝利できた。


何をしたかというと……レガートが『精霊魔法』で、室内だというのに雨を降らせた。

その結果、『ミックスゴーレム』は、関節の砂が固まり、泥の体が崩れ始めて動きがガクッと悪くなった。自分の攻撃の反動で自壊する始末だ。


しかし、さすがに乾くのは早かったし、回復機能もある程度とはいえ健在だったので、もうちょっと時間がかかってれば復活してたかもしれないんだけど……そこは、ここぞとばかりに僕らがラッシュを叩き込んでまたたく間に粉砕したので。


そして……第6階層のボスなんだけども……


「あー……そう来るか」


ボス部屋の中に入った僕らが見たのは……部屋の真ん中に鎮座する、大きめの『宝箱』。


この階層にボスはいなくて、ここまできたチャレンジャーにはご褒美に宝物が進呈されます……なんてことがあるわけもなく。


はい、鑑定。



★種 族:殺喰箱キラーボックス

 レベル:35

 攻撃力:254  防御力:219

 敏捷性:329  魔法力:49

 能 力:通常能力『攻撃力強化』

     通常能力『奇襲強化』



ミミック系の魔物でした。

僕の、いつだったかの進化選択肢の中にあった奴だな。


多分、近づく、あるいは開けようとすると攻撃してくるんだろうな、と予想できたので……察知できたからには、遠慮なく遠くから攻撃することに。


「どうする? 誰がやる?」


「では、私が」


と、名乗りを上げたのは……リィラだった。


特に皆異論はなかったので、彼女に射線を譲り……リィラは、一撃の大きさを重視したのか、装備している武器じゃなくて、両腕を変形させた。


ガシャガシャガシャ……ジャキィン! って感じの音と共に、彼女の2本の腕は、2門のキャノン砲に姿を変え……肩の部分についた謎パーツが回転し、エネルギーがたまってる感じで。ぎゅんぎゅんぎゅん……と、うなるような音があたりに響く。


この状況下でも、奇襲にこだわってるのか動く気配のない殺喰箱キラーボックス


……ダンジョンの魔物の、あるいはトラップ型モンスターの悲しいところだろうか。それを活かす機会がもはや巡ってこないことがわからない様子である。


そう思ったかどうかはわからないが、チャージが完了したらしいリィラは、カウントダウンをはじめ……0を宣言すると同時に、発射。

恐らくは魔力なんだろうけど、黄金に輝くエネルギーの奔流が、2門の砲口から放たれた。

2つの砲撃は、着弾と同時に1つに重なるように弾道を計算されて放たれたらしく……それに飲み込まれた殺喰箱キラーボックスは、断末魔すらないままに消し飛ばされ……後には何も残らなかった。


……一撃必殺前提でやったとはいえ、これは……ちょっと同情する。


なんてことを考えていると、爆心地の、煙が徐々に晴れてきたところに……何かがあるのに気づいた。


まさか、今ので死んでなかった? と一瞬思ったものの、そのシルエットは明らかに違う。

レガートが魔法で風を起こし、砂埃をどかすと……そこには、おそらくは殺喰箱キラーボックスのドロップアイテムと思しき、小さな箱が置かれていた。


拾って開けてみると……おぉ!?


「ねーねーねー、ちょっとコレ結構すごくない?」


「? すごいって何が……あら」


と、僕と同じように箱の中を覗き込んだレーネも、それに続いて中を見た他の皆も、一様に驚いた様子だった。


「……このダンジョンは、実入りが少ないから不人気、って話じゃなかったか?」


「噂だとそうだったけど……あんまりにも人が来ないから、ダンジョンが賞品がんばった、とか?」


「んなアホな……」


宝箱の中には……宝石がぎっしり入っていた。

知識ないから宝石の種類なんてパッと見じゃわかんないけど、多分……ルビーとかサファイアとか、エメラルドとかオパールとかだと思う。そんなのが……10個近く、小さな箱の中に。


どれも小粒だが、売却すれば結構な金額になるんじゃないか……と思った。


「……魔物のドロップアイテムの中には、低確率で、あるいは一定の条件を満たした時にドロップする、『レアドロップ』というものもあるらしい。それではないか?」


「……条件、ねえ……」


そういっても、僕らは何か特殊なことをしてきた記憶もないんだけどな。


しいて言うなら、レーネが一撃で倒した……とか、そのくらいか?

しかし、何にせよ、何が原因でこうなったかなんて、検証のしようもないしな。


特に罠とかでもないみたいだし、ありがたくもらっとこう……とか考えてたら、


――グルルル……ハッハッハッ……


何か、獣のうなり声や息遣いのようなものが聞こえてきて……それがした方を見ると、そこには、狼のような姿かたちの魔物が、階段を上がって姿を現したところだった。


恐らくは、第7階層に続いているのであろう階段を上って。


ボス戦(?)が終わって間もなく現れた新たな敵を前に、すばやく警戒態勢に戻る僕ら。

各々構えながら、階段を上って現れたその謎の魔物を観察する。


「……? ここには、魔法生物系しかでてこねーんじゃなかったか?」


「いや、それで間違いない。『鑑定』してみ、フォルテも」



★種 族:ジュエルビースト

 レベル:29

 攻撃力:204  防御力:197

 敏捷性:178  魔法力:187

 能 力 希少能力『徘徊』

     希少能力『貴金属探知』

     希少能力『自動修復オートリバイブ



どうやら、獣っぽく見えるけど……実際は無機物とかで体が構成されている魔物のようだ。

どのへんが『ジュエル』なのかは分かんないけど……ひょっとして、スキルの『貴金属探知』とかいうのが何か関係あるのかな?


とか考えてたんだけど、こちらは『殺喰箱』と違って、さすがに待ってくれるほど親切ではなかったらしく……襲い掛かってきた。


が……一般基準で見ればかなり強いとはいえ、僕らにしてみれば、さして脅威でもない。

十分に、見て反応できる範疇の速さである。


前に出ていた僕が攻撃を受け止め……具体的には、腕にわざと噛みつかせてそのまま捕まえて固定し、その隙に横合いからフォルテが尻尾フルスイングで吹き飛ばして一撃KO。


自動修復オートリバイブ』のスキルが発動する暇もなく、こと切れた。


見つけた時はちょっとびっくりしたし、他の野生モンスターよりもだいぶ高い能力持ちだったとはいえ……まあ、こんなもんか、って感じだった。


そしてその後、黙示録の機能の1つ『魔物図鑑』で見てみると……どうやらこの『ジュエルビースト』は、カラスみたいに、光るもの……特に、宝石とかの類を好んで集める習性があるらしい。


加えて、ちょっと聞いたことないスキルの『徘徊』っていうのが……どうやら、特定の縄張りを持たず、『エリア』だろうと『ダンジョン』だろうとお構いなしに移動する、っていう習性を発生させているらしかった。

これのせいか、階段上って、第7階層から上ってきたのは。


キラーボックスを倒して出た宝石の気配を察知したわけだ……ひょっとして、コレ、罠か? 倒した直後に、ドロップアイテムで出てきた宝石を拾うと、こいつが現れるっていう……。


……ま、いいや。何にせよ特に何も問題なく終わったわけだし。


というか、『ジュエルビースト』って……『黙示録』のクエストの討伐目標の中に名前があったな、それも後で確認しよ。





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