第70話 目標、自由業
番狂わせはなし。順当に、こちらの勝ち。
『グローリーホーン』は、こちらに傷一つつけることかなわぬまま……屍となって地面に転がった。
レーネとビーチェでも、苦戦こそすれど勝てそうなステータスだったけど……僕が盾を構えてタンク役を引き受け、その隙をついてレーネが大剣で攻撃、残る2人が掩護&遊撃、というスタイルで問題なく対応できた。
ただ、『グローリーホーン』は、見た目だけでなく動きもネコみたいで……素早く力強い、しかし柔軟な動きで、何度か僕らと切り結んだ後、予想外の動きで攻撃してきた。
突進かと思ったら、ひらりと飛び上がって横合いから突っ込んでこようとしたのには焦った。
僕じゃなくて……レーネを狙ってたから。
まあ、直撃しても自前の防御力(400超え)に加えて、僕の『箱入娘』のスキルもあるから、大丈夫だったと思うし、本人も反応して剣を盾代わりに構えてたけど……僕が防御を抜かれたせいで怪我させることになるのは嫌だったので、素早くその間に割り込んだ。
そこで、『機人化』を解除し、僕は元の……プレハブサイズの『王宝牙棺』の姿に戻った。
そこに突っ込んできた『グローリーホーン』の角は、かきん、という悲しくなるぐらいの軽い音共に弾かれた。まあ、防御力700超を抜けるはずもなかったか。
そして、その反動でよろめいたところに……レーネが右前脚を切り落とし、バランスを決定的に崩したところで……ビーチェがメイスを振り下ろし、転倒させる。
そうしてできた決定的な隙に、リィラが横合いからヘッドショットを、しかも『充填射』で威力を上げたものを打ち込んで、風穴を開け……戦闘終了、となったのである。
もう起き上がってこないことを確認し、僕らがホッと一息ついたところで……
……待ち望んでいたアナウンスが、聞こえてきた。
『エリアボスを討伐しました』
『討伐者が『黙示録』所持者のため、特典として『エリアボス』の継承が可能です。エリアボスの座を取得しますか? YES・NO』
「キタ―――――――!!」
その声に、レーネ達がぎょっとして僕の方を振り向き……しかしその直後、僕が『黙示録』を取り出したのを見て、何が起こったのか分かったらしい。
何か言う前に3人とも集まって……あ、リィラはきちんと『グローリーホーン』の死体を回収してからこっち来た。真面目。
ともかく、そんな風に……僕含めて4人で、『黙示録』を覗き込む。
そこに浮かび上がっている、今聞こえたアナウンスそのまんまの選択肢を、全員が見て……全員顔を合わせて、何も言わずに一回頷いた。
代表して、僕が選択。ぽちっとな。
『YESが選択されました。エリア『リートアス山林地帯』エリアボスにシャープが登録されました。今後、このエリアでの戦闘・生産行為等において恩恵が受けられます』
これで……このエリアは、僕が『エリアボス』になった。
これが、進化した『銀の黙示録』の新機能。エリアボス就任だ。
さて、ちょっと詳しく説明しようか。
エリアボスっていうのは……いくつかの条件を満たした魔物が、ある日突然、世界という名のダンジョンのシステムによって選ばれ、その座に就くものだ。
そして、その魔物が死ぬと、次の魔物が選ばれる。
選ばれるには……生まれてからずっとそのエリアにいるとか、エリアに縄張りやある程度の規模の群れを持っているとか、色々条件があるんだけど……その条件の一つであり、その他の条件をまるっと無視できる手段がある。
言わずもがな……それが『銀の黙示録』だ。
『銅』から『銀』に進化したこいつで、僕は……僕らは、エリアボスを倒すことで、そのエリアを支配下に置く……すなわち、次の『ボス』になることができるようになった。
そして、エリアボスになると……そのエリアで、様々な恩恵が受けられる。
支配下のエリアでの戦闘の際、能力にわずかながら補正がかかったり、
エリア内で生産行為……畑作ったり、果物とかを育てたりする時、多く収穫できるようになったり、エリア内の魔物をある程度支配できるようになったり、
その他、そのエリアの特性に応じて、あるいは『黙示録』のレベルや、ボスや配下のスキルなんかに応じて……色々なことができる。
もっとも……野生の魔物がボス化したときには、それを理解して利用するような頭脳がない限りは、せいぜい戦う時に補正つくくらいで、大半は死にスキル化するわけだ。
まあ、当然だろう。さっき倒した牛だって、農業なんてしてるわけもないし……
……さて、その辺は置いといて……
僕らがこの『グローリーホーン』……エリアボスを探していたのは、ずばり、『ボス』の座を手に入れるためだ。
そうすることで……このエリアで活動する際に、色々と融通が利くので。
今現在、僕らは郊外に野宿しているんだけども……これでこの山を、僕らの『拠点』として使えるようになる。魔物は……僕の力の支配が及ぶ範囲では襲ってこないし、そもそも眷属の『悪魔牙棺』を作って、そいつに『箱庭』と『箱入娘』で守らせるつもりなので、問題はないんだけども。
そして……この山は、事情を知らない人たちからしたら、いまだに『ベルダーホーン』や『ビリジアンホーン』が現れる危険区域だと思われている。それを隠れ蓑に……僕らは、外部の人たちに気づかれることなく暮らしつつ……色々と『準備』を進めるつもりなのだ。
ちなみに、僕らのリーダーはビーチェなんだけども、この『黙示録』はその機能を使ってエリアボスに就任した際、所有者をボス認定してしまうので、僕がボスになっている。
「よし……まずは1つ」
そう言って、満足げにうなずくビーチェ。
「帰ったらみんなに、この山に拠点を移すって伝えないとね。そのために……拠点にできそうな洞窟とか、ちょうどよさそうなところを探してから帰りましょ」
「? 僕の『箱庭』なら、平地でも快適に暮らせる空間を作れるけど?」
「1泊や2泊じゃなく、これから数週間、数か月単位で使うかもしれない場所だもの……落ち着けるところがいいわ。それに……あまり目立つ場所にするのもよくないから」
「なら、もっと奥の方でもいいと思うわよ? 活動する分には、エルフは森の中で足場が悪くても動くの得意だし……人間の場合は、シャープが乗せていけばいいじゃない?」
「その辺も含めて探さないとね。じゃ、今日はそんな感じで……」
そこでレーネはいったん切って、ニヤリ、と笑みを浮かべ、
「明日は……別なエリアに行くからね」
「「「了解」」」
☆☆☆
それから数日、僕らは……今日と同じようなことを繰り返していた。
『リートアス』周辺には、知られていないが、実はいくつかの『エリア』があり――まあ、そう近くにあるわけじゃないんだけども――そのどこにでも『ボス』がいる。
しかし、『グローリーホーン』と同じような理由で、それを認知されていない。
ただ何もない荒野や岩肌だったり、物珍しい素材や食材が取れるわけでもない、あるいは取れても労力に合わない、ということで……魔物の相手をしてまで苦労して探索するうまみが何もない。それを理由に、長らく放置されている。
『リスタス王国』――リートアスとかこの辺が含まれる、かつてあった国――が『トリエッタ王国』に負けて併合され、圧政が敷かれるようになってからは……余計に。そんな、生産性もなく、探索しても開拓しても、うまみも何も一切ないところに関わっている暇はない、ということだ。
近くを流れる川で魚を取って加工して売ったり、戦場で武器やら何やらを拾って売ったり、スラムやら路地裏で暗躍して、スリや恐喝で稼いだ方がまだいいだろう。最後の犯罪だけど。
それをいいことに、僕らは……近くにある『エリア』を片っ端から回り、『黙示録』でそのエリアのボスを確かめ、そいつの出現条件を調べておびき出し、あるいは生息地を調べて殴り込み、倒し……縄張を強奪していった。
マジ便利。ネタバレブック。
その区域ってのが……これまたおあつらえ向きに、環境その他が異なるエリアばかりで……僕らの目的のために色々やるのに都合がよかった。いろんな環境があるってことは、それだけできることが増えるってことだし。
小さ目の湖、いや、大きな池があり、さらに水のきれいな川があったりとか、
穏やかな気候で広い原っぱが広がってたりとか、
じめじめしてキノコとかがよく育つような湿地帯だったりとか、
さすがに、砂漠地帯や降雪のある寒冷地みたいな極端な環境のところはなかったけど……それでも、かなりバリエーションに飛んだ土地が手に入った。
そこに住んでた『ボス』連中も……強さにばらつきはあるものの、おおよそあの『スケルトンドラゴン』や『グローリーホーン』以上の力を持っているものはいなかった。自然型の危険地帯……ダンジョンと呼べないようなレベルの場所だから、そんなもんなのかもね。
ともあれそんな感じで、僕らはこの数日間で……『山林地帯』『湿地帯』『平原』『荒地』『湖』の5つのエリアを手に入れた。正式名称は省くけども。
そして、だ……さっき説明しそびれたけど、エリアの『恩恵』ってのは、エリアからボスへ一方通行じゃないんだよね。
色々細かいルールとかあるんだけど……エリアボスが強ければ強いほど、そのエリアの動植物が、それに引っ張られて強く、元気良く育って行ったりするらしい。
つまり、僕が強くなれば、それだけエリアも元気になる……と。
というか、僕はぶっちゃけ、それまでボスだった『グローリーホーン』とかよりも強いので、すでに『恩恵』のシステムは始まっており、徐々に森が元気になっている、とのこと。早えーなおい。
しかし、そんなすぐに……はいいとしても、それをはっきりわかるもんなのか、と聞いたら、レーネ達みたいなエルフ系種族は、そういうのに敏感なんだとさ。
そして、そのエルフ達だけど……現在、『山林地帯』の奥にある洞窟を整備して隠れ家風に変え……そこに僕が『眷属小箱』で作り出した眷属を配置して、『箱庭』を発動、断続的に作動させているので、いつでも安全だ。
そのための魔力は、交代制でエルフの非戦闘員の皆さんに供給してもらっている。
僕の眷属の自然回復量で足りない分を補ってもらってるだけなので、負担ではないはずだ。
で、エルフおよび人間の非戦闘員の皆さんには、ただそこで待機してるだけじゃなく、仕事をお願いしている。
エルフのうち、戦闘要員の人たちには、交代制で秘密基地周辺の見回りとか警備。
エルフおよび人間の非戦闘員の人たちには……『内職』をお願いしている。
『内職』は主に、ものづくりだ。
町で売れるような雑貨類や、干し肉とか硬パン、ドライフルーツとかの、保存食の類。それに加えて、エルフの皆さんには……ポーションとかの薬品づくりだ。
保存食や雑貨は、主にこれから行う『商売』のため。言ってしまえば、売るためだ。
そしてポーションは……基本、僕らで使うため。
エルフが作るレベルのポーションは、こないだ行ったような闇市に流すには、性能が破格すぎる。まず間違いなく浮いて、目を付けられる。だから、売れないのだ。
なら、手加減して作れば……と考えたんだけども、それはエルフの皆さんに『プライドが許さない』って却下された。……レーネの時も思ったけど、あんた方の製薬へのこだわり、すごいね。
戦闘民族は聞いたことあるけど、この場合は……製薬民族?
ともあれ、そういうわけで、それぞれ内職をお願いしており……その材料は、エルフの警備担当になってない人たちが行う狩りや採取、そして後で述べる、人間の男衆の皆さんによる買い出し、あとは僕らが『外回り』で手に入れたものを渡している。
で、今ちらっと言った『男衆』――ビーチェの家に仕えてた元・私兵の皆さんは、作った雑貨とかをちまちま町で売ったり、その他町で色々な調べものを行うために動いてもらっている。
具体的には、売れ筋の商品は何かとか――闇市で売れ筋も何もないかもしれないけど――どこでどんなものが必要とされてるか、とか……商売に使えそうな情報だ。
今言ったような直接的なものだけでなく、どこで戦いが始まった、誰が参加する、敵軍の規模は……等々、応用できそうなものまで、手広く。
もともと『私兵』っていう立場で、権力にも、戦いにも、街中で行われているであろう商売にも、ある程度触れている人たちだっただけに、彼らに任せるのが一番いいかな、という判断。
ちなみに、このグループには護衛として、僕の眷属と、フォルテがついている。
都会暮らしの経験があるってことで、僕やリィラよりも適任と判断されたのだ。
そして僕らは……様々な『エリア』を巡り、『黙示録』のクエストを次々に達成して資金や素材を稼いだ。すでに、結構な額になっている。
なお、この班には必要に応じてフォルテが合流する。というか、むしろいずれこっちがメインになる予定だ。男衆が強くなって、護衛とかいらない段階になったら。
しかし、これはむしろ始まり……いや、準備作業に過ぎない。
ビーチェのプランでは、これらを資本金として……さらに色々と進めていくつもりらしいので。
そして、そのプランに、これから本格的に入っていくらしいんだけど……改めて、皆を前にしてビーチェが説明を行うことになった。
現在、夜。晩御飯を食べた後、皆、洞窟アジトの一角に集合して……リーダー・ビーチェのありがたいお話を聞くところである。
なんか最近、ビーチェ、急激にリーダーシップ発揮しだしたな、とか思っていると、『おほん』と咳払い1つして、ビーチェが口を開いた。
「さて皆……この間簡単に話した、これからのプランの説明をさせてもらうね」
全員の視線を注目させつつ……ビーチェは、こないだ『黙示録』から移して作った、この周辺の地図を開いた。皆に見えるように。
「旧リスタス王国、王都『リートアス』。ここは今、交通の要所でもなく、特産品もなく……大したうまみがないっていう理由で、ほぼ王国政府から放っておかれている状態にある。当然、兵士たちが犯罪者を取り締まったりすることもなくて……治安は最悪。闇市なんてかわいいもので、裏通りに入れば、ほぼ間違いなく、スリや暴漢に襲われることになる」
「あー……その辺は俺らが何度か体験してるぜ?」
と、フォルテ(機人モード)。
「食うために必死、って感じだが、そんなのが横行すれば余計に外からくる奴は少なくなるからな……負の連鎖が起こってる感じだ」
「政府に『勝手に滅べ』とばかりに見放されてるばかりにね……そこを利用するの」
「……っていうと?」
「ここからは……と、その前に。バート、守備は?」
「はっ……問題なく。すでに、条件に合致するものを複数見つけてあります。以前、エイルヴェルに出入りしていた顔見知りの業者が何人かいまして、その中でも信頼できる者に話しました」
「そう……あなたがそう言うのなら大丈夫ね。数は?」
「7人ほど。それとは別に、こちらからサクラを兼ねて1人入れようと思っております」
「よし、それで行く。じゃ、説明に戻るね」
で、ビーチェの説明によれば……闇市を足掛かりに、次のようにして進めていくそうだ。
まず、バートさんが話を通した、っていう闇市出店者に、極秘裏に商品を入荷する。
闇市は、個人がフリーマーケットみたいにしてものを売っているばかりじゃなく……少ないが、本職の、しかし様々な理由から店を持っていないような商売人たちも出店しているんだとか。
その中に、バートさんの顔見知りで、信頼できる人が何人かいたらしい。
その人たちに話を通して……少しずつではあるが、僕らが生産している食料なんかを商品として入荷させ、売ってもらうことで、その人たちの売り上げを増やす。その規模を徐々に大きくしていき、『いい店だ』という評判を立たせて客を増やす。
そして、重要なのはその次だそうだ。
話を通した商人さんたちには、もう1つ、ある提案を持ち掛けている。
そういう、儲けている店には……必ずと言っていいほど、いちゃもんをつけたり、絡んでくる奴が現れる。やれショバ代をよこせ、やれ値引きしろ、やれこれは偽物だ……etc。
そうでなくても……あー、ちょっとここで話が一瞬それる。
この近くで、また王国がらみの戦争……というよりは、紛争みたいなのがあったらしい。それを鎮圧するために雇われた傭兵とかが、戦いが終わったことで解散して周囲に散る。
……で、その中でもろくでもないのが……正規軍の兵士もいなくて、治安が悪い意味でフリーダムな、この『リートアス』みたいなところに来て、好き放題やるんだとか。
主に、さっき例示したような迷惑行為を。毎度、闇市の皆さんも頭を悩ませているそうだ。
当然そいつらからしたら、普通の市場でもターゲットになるのに、その中でも特に儲けている店なんて言ったら、余計に美味しい獲物に見えるだろう……100%絡んでくる。
もっと直接的に、言いがかりをつけて色々と強奪……なんてことをするかもしれない。
そこで、ビーチェのプランに戻る。
その、なじみだった商人さんたちに持ち掛けている話のもう1つが……『用心棒』なのだ。
そういう迷惑な連中から守ってやる。代わりにお金を請求します。というもの。
もちろん、いきなりの話で向こうも困るだろうから、最初のうちしばらくは、賞品の取引におまけとしてつけるサービスでやってあげることにして……実績を作る。
そして、十分に信頼してもらえるようになったら、正式に契約して……って感じ。
加えて、その商人さんたち以外も、当然ならず者連中には襲われるんだろうけど……仕事はきちんと割り切って行う。その商人さんたち以外は、助けない。
薄情だとか思われても仕方ないが、こちらが舐められて安く見られるようなことがあってはいけないので。こういう状況下では、お人よしよりドライな仕事人間が頼もしく見られる。
しかし……もし、報酬と引き換えにうちも守ってくれ、っていう人が出てくれば……受け入れる。こっちも『仕事』だからね、そうやって、『仕事』として頼んでくるならウェルカムなのだ。
もっとも、その人たちに裏がなければ、だけど。騙して利用しよう、とか。
徐々にそうやって。『用心棒』の仕事の範囲を広げていき……それと並行して、販路の拡大も進める。『用心棒』から入ったお客さんにも、業種を見つつ品物を卸していくのだ。
さらに、卸す商品もいつまでも同じではない。こちらも、時間をかけてではあるが……徐々に色んなものを作ったり買い付けたりして、バリエーション、というか販売力そのものを上げていく。
その手段については……おいおい、ということで。
けどあえて言うなら……今回制圧した『エリア』が活躍する予定、とだけ。
その繰り返しで、用心棒という『武力』と、販路という『財力』の両面での『影響力』を高めていき……最終的に、この町そのものを、僕らの影響下に置く、というのが、ビーチェの計画だ。
当然、そこに行くまでに色々苦労はあるだろう。細かな方針変更が必要になるかもしれないし、ならず者のちょっかいだって入りまくるだろう。それに何より、僕ら自身もその『影響力』の成長に合わせて、強くなっていかなければならない。それをおろそかにしては、計画が破たんする。
けど、もしこれが上手くいけば…………僕らの目的に、ぐっと近づくだろう。
「まずもって目標は、この『リートアス』周辺、からの……旧『リスタス王国』全域! 皆……国が治める気がないんだから、遠慮はいらない。亡国だけど、この国……私たちで、盗るよ!」
「「「応っ!!」」」
ビーチェの説明を聞いて……全員の目の中に、少しの不安と、その何倍ものやる気の炎がともっていた。
なお……「なんか、ヤのつく自由業みたいな目標だよな……」とか思ったけど、黙っておいた。




