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第46話 VS精鋭骸骨騎士、そして……



なんかもう……緊急時の稼ぎ場だったダンジョンが、すっかり攻略対象になってる件。


ここ数日、定番になりつつある3人と3体のメンバーで、どんどんダンジョンの攻略を進めている。みんな強くなってきたので、地下2階まではもう余裕と言っていい。


レーネもビーチェも、それぞれ訓練を積み重ねてきた分の下地が生きてきてる感じだ。やっぱアレだね、継続は力なり、だね。


その様子を見て、何か肉体労働担当の男衆や、エルフの戦闘要員たちが、仲間に入れてほしそうにしてたりするんだけど……人数が増えると監督が大変なので、しばし無視。

いつか一緒に頑張ろうね。


で、今日もまたダンジョンに来ている。昼から。


場所はさっきも言った地下2階……の、1つ下。地下3階に来ている。


昨日倒したボス『レイス』が守っていた扉をくぐってここに来ると、地上とかよりもだいぶ強力なモンスターたちが出現するようになった。多分、エルフ達や男衆では、ろくに太刀打ちできないだろう。逃げることすらできずに全滅の危険もある。


地上と違って、壁になぜか松明とかがあったりするので。

ダンジョンの定番だよね。誰が管理してるわけでもないはずなのに、消えない松明とかがある


そのため、視界は暗闇よりはいいんだけど……純粋に敵が強い。

僕らでも、上で訓練がてらやってたみたいに、ビーチェ達だけで対応とかいう戦い方をすると、ちょっとヒヤッとする場面がいくらかある。


なので、この階層からは……僕らはきちんと全員で戦っている。


前衛にフォルテとレーネ、ビーチェにレガート。後衛に僕とリィラ。

接近戦闘能力を考えれば、僕は前衛の方がいいのかもだけど、いかんせん遠距離武器で強力なのを持ってるメンツが限られるんでね、こうなった。


まあ、必要に応じてチェンジする形で戦ってるから、問題ない。


基本的な戦術としては、レーネとビーチェが普通に切り込んで戦いつつ、レガートとフォルテがその隙をカバーしたり、2人では対処が難しい相手を倒す。

その間、邪魔になりそうな新手の魔物や、空中から襲ってくる魔物を僕とリィラが遠距離で迎撃、って感じである。


レーネとビーチェは、どちらも攻撃力がかなり高くなっている上、剣の技能もけっこう高いので、安定して戦える上……血のつながった姉妹だからなのか、はたまた戦い方が似ていて通じるものがあるのか……そこそこの練習しかしてないのに、連携が抜群にうまいのだ。

まるで、もう長いこと背中を預けてきた戦友同士みたいに。


ビーチェがレーネと、今までずっと指導してきたレガートよりうまく連携するもんだから……レガートがなんかちょっと悔しそうというか、寂しそうというか……な表情になってた。

……まあ、こういうこともあるさ。


そのレガートは、腕力では劣れど、経験や技能の多彩さ、精密さでまだまだ2人の上を行くので、フォルテと組んで、2人では太刀打ちできない相手の迎撃をしている。あまりに硬い相手とか、早い相手とか。


代表的なのは、上空から魔法その他で攻撃してくるゴースト系とか、大楯を持ったスケルトンとかだ。地下3階から出てくるようになった。

前者はレガートが魔法や投擲で打ち抜き、後者はフォルテが力ずくでぶっ飛ばしていた。


で、そんな感じで白熱し戦いを繰り広げている前衛の邪魔になりそうな、敵の増援やら何やらを見つけ次第粉砕するのが、僕とリィラの役目というわけである。

クロスボウやランチャーで、近づかれる前に散ってもらっている。物理的に。


なお、ゴーストとかに対しては、新兵器の『銀の矢』で倒している。

これは鉄のに比べると数がないので、基本一撃一殺だ。無駄玉は使わず、弾幕は張らない。


なお、あんまり敵が多かったりとかで、この陣形でも対処しきれない状態になってきた場合……仕方ないので力ずくでねじ伏せる。


具体的に言うと、僕、フォルテ、リィラの無機物トリオを前に出して……魔力弾や石礫ランチャーや自動装填クロスボウの弾幕で面制圧するのである。スケルトンとかゾンビとかゴーストとか関係なく、とりあえず圧倒的な物量と攻撃力にものを言わせて、蹴散らす。


当然、全て粉々になる、あるいは消し飛ぶので、素材の回収も何もあったもんじゃないんだけど……まあ、そのへんはいいだろう。安全最優先、ってことで。


なお、隙を見てレーネ達も魔法とか飛ばしてたりするので、彼女たちにも経験値は行く。


あと今日から、発射する弾丸としてあたらしいものを使ってみている。

毎日大量に倒す、スケルトンなんだけど……剣とか装備品だけ回収してたんだけど、骨も使えるんじゃないかということに今更ながら気づいたのだ。


なので、昨日今日はスケルトンを倒したら、試しに骨を回収して加工してみている。


結果……それなりに強度があるので、砕けばランチャーの弾丸に、削り出せばクロスボウの矢として使えることが明らかになった。

倒せば倒した分だけ補充できる弾薬ということなので、助かっている。


加工の際に出た、端材とでも呼ぶべき欠片とかについては、普通に捨てようかとも思ったんだけど……肥料とか研磨剤の材料になったりするらしいので、一応取っておいている。

スペースは無限にあるし、問題ない。いつか使う機会があればラッキー、ってことで。


……しっかし……『変形』を有効利用できるようになってから、ちょいちょい感じてたことではあるんだけども……


(だんだん、戦い方がファンタジーっぽくなくなってきたな……)




そんな感じで順調に進み……この階層の敵を相手にしても、普通に戦えるようになったくらいのタイミングで……僕たちは、そこにたどり着いた。


毎度おなじみ、重厚な扉で閉ざされた……ボス部屋。


一応その前で休憩し、部屋の中に入ると……出迎えたのは、スケルトンだった。


もちろん、タダのスケルトンじゃない。この部屋にいるからには、ボスなんだろうし。

その姿は、今までのスケルトンたちとは、全く違う形で……威圧感も飛びぬけていた。


他のスケルトンと同じ、骸骨だけど……その体は、肩から下のほとんどが鋼の鎧に覆われていた。手も足も、手甲具足で守られ、その両手には2本の剣……二刀流だ。

おまけに背中にはマントまでついている。こいつは……



★種族名:エリートスケルトンナイト

 レベル:25

 攻撃力:249  防御力:229

 敏捷性:271  魔法力: 38

 能 力:通常能力『打撃耐性』

     希少能力『防御力強化(中)』

     希少能力『敏捷性強化(大)』



アークデーモンや豚鬼王オークキングに比べると見劣りするけど、かなり強い。

攻撃力は鎧着てても突破されかねないレベルだし、剣2本ってことは手数も多そうだ。


だが、それ以上に……こいつ、硬いな。


防御力がスキルで強化されている上に、スケルトンの定番の弱点である『打撃』まで克服されてる。全く通らないわけじゃないだろうけど……鎧と同じか、それ以上の防御力があってもおかしくないぞ、あれは。


……気合入れてかからないと危ないな。


6人全員がボス部屋に入ったところで……重厚な音と共に、扉が閉まって退路がなくなる。

それすなわち、開戦の合図である。


それと同時に、エリートスケルトンナイトは、手にしている双剣を中段に構えて……直後、すさまじい勢いでこっちに突進してきた。


とっさに、僕とリィラがクロスボウでけん制するも、ひょいとよけて横合いから斬りかかってくる。


開戦直前に、こいつの能力の高さはみんなに伝えてある。

まともに受け止められるような攻撃力じゃないってことも含めて、だ。


そのため、全員後ろに飛んでよけて、エリートスケルトンナイトがさらに踏み込んで追撃しようとしてきたところを、唯一その一撃を止められるであろうフォルテが迎撃。


ガギィン、とすごい音がしたものの、フォルテは一歩も引かずにそれを受け止めた。


が、エリートスケルトンナイト―――長いので以後『エリート』で――の攻撃はそこで終わらず、今度は2本の剣を縦横無尽に振り回して怒涛の連続攻撃を仕掛けてきた。


どうにか受けきっているフォルテ。その間に、レガートが魔法で掩護攻撃を加えるものの……素早く察知したエリートは飛び退ってよけてしまう。

こいつ硬い上に速いな……スキル効果が如実に強さに反映されてるよ。


再び、素早く……しかもジグザグに動いてこっちに狙いを定めさせないようにしつつ突撃してくる。頭もいいのかよ……中の人いるんじゃないだろうな?


まあ、どうでもいい……その対応は、こちらも予想しないじゃなかった。


なので、対策はある。若干せこい手ではあるけど……


「シャープ!」


「あいよ!」


レーネ達の前に来た僕が、石礫ランチャーでどばっと攻撃。

しかし、なんとエリート、大きくて当たったら危険そうな石だけを選んで切り払い……残りはその防御力で耐える、という方法で、その弾幕を突破してしまった。

ほとんどひるむことなく、距離をいっきに詰めてくる。


……が、甘い。狙い通りだ。


突っ込んできたエリートが、突如としてバランスを崩したかのようにつんのめって……踏ん張って体勢を立て直そうとしたところで、今度はのけぞった。


緊迫感のあるさっきまでとは一転、よく言えばコミカル、悪く言えば無様な動き。


その原因は……さっき僕が、ランチャーと同時に、あいつの足元のすぐ前の地面めがけてばらまいた……大量の小さな鉄球にある。

見た目、パチンコ玉みたいな感じのそれに足を取られて、うまく動けないでいる、ってわけ。


まきびしとかだと、痛覚のないスケルトンには効きそうになかったので、物理的に足を取れるものを選んでみました。結果はごらんのとおり。


そんな、あまりに致命的な隙をさらしてしまったエリートは……直後に素早く『巨大弓バリスタモード』に変形した僕を構えて、レーネが放った一撃をまともに受けてしまった。


胸の部分に、弾丸として発射された槍による大穴が開き、そのまま上半身と下半身が泣き別れになる。上半身は、勢いのままに放物線を描いて空中を飛んでいき……


着地点で待ち構えていたフォルテの、尻尾フルスイングの一撃で、粉々になった。


☆☆☆


『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』


一度に二回も聞こえたそのセリフによって……経験値が入ってきた=エリートスケルトンナイトの死亡が確定。

ふぅ……結構緊迫した戦いだったな。


まあ、いい経験になっ……ん?


そこで、気づく。

たった今、フォルテがエリートスケルトンナイトを粉砕した、その場所に……さっきまではなかったはずの、何かが無造作に置かれていることに。


えーと、何だコレ?



★品 名:骸骨騎士のマント

 レア度:4

 説 明:志半ばにして息絶えた騎士の無念の宿ったマント。

     装着している間、通常能力『打撃耐性』を得る。

     しかし、光属性の魔法の威力が弱くなる。



鑑定してみたらそんな結果が。

え、マジで何コレ? こんなのさっきまで絶対なかったよね?


「……ドロップアイテムではないか? ダンジョンでは、一定以上の強力なモンスターを倒した際、そのモンスターの魔力が一部結晶化してアイテムになる、と聞いたことがある」


と、レガート。

ドロップアイテム! そういうのもあるのか。


……まあ、一応拾っとこう。マイナス効果あるけど……光魔法がもともと使えない人とかに渡せば、実質マイナスなしで使えるはずだ。いつか試そう。

……できることなら、一回洗ってから使いたいとは思うけど。


そして……そんなことを考えていたところに、もう1つニュースが飛び込んできた。


「あのー、皆さん……私、今のでどうやら、レベル上限に到達したようで……進化できるようになったのです」


「「「待ってましたぁ!!」」」


リィラ、レベルカンスト!!

よし、今日はここまで!帰って待望の進化2回目行こう!!





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