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第24話 エルフの森脱出作戦・その2

最近、仕事忙しくてとんと更新できず、もうしわけないです。

コレもだけど、移籍したもう1つの方も……

何とか、土日くらいは書きたいもんですが……ここんとこ、土日が休みじゃない日が続いてまして……。なるべく早く、ペース戻したいなあ……



「ぷぎー!」


「ぶぎぎー!」


「くっ……この、醜悪な豚共がぁあっ!!」


そこは……エルフ達がオークの包囲網を突破するための、第一の戦線。


物量とタフネスを頼みに襲い掛かってくるオークの軍団。


対するエルフ達は、生い茂る樹木を盾にしつつ、主に遠距離から、弓矢や魔法などを使って戦っていた。

接近戦になっては、オーク相手ではあまりにも不利。彼らからすれば、当然の戦法である。


逆にオークたちは、弓矢や投石機はあるものの、遠距離攻撃に有用な手段はそれほど多くない。木々が生い茂っているこの森の中では、なおのことだ。

ゆえに、エルフに1人の犠牲も出さないままに一方的な攻撃が可能となる。


ただそれでも、物量の差はいかんともしがたく……徐々にエルフ達は、戦線を後退させていた。


このまま続けば、そう遠からず押し切られるだろう。

それは、エルフ達はもちろん……そう知能が高くないオークたちにもわかることだった。


……が、そうは問屋が卸さない。


オークたちの背後から、遊軍として動いていた、僕やレーネを含むチームが襲い掛ったからだ。


フレンドリーファイアだけはしないように気を付けつつ、木の上から何十本もの矢が降り注ぎ、無防備な背中やうなじに突き刺さる。

レーネも一緒にそれやってるけど……彼女1人だけ、何か違う。


「……その鞄、武器だったのか?」


「あーまあ……似たようなもんね」


旅行鞄の横のスリットから、どしゅどしゅどしゅどしゅ……って感じで、矢を連射してる。

はたから見たら、鞄の中にクロスボウか何かが仕込まれてるように見えるだろう。


しかも威力が高い。鎧とか貫通してるし。

それに気づいたエルフ連中、あっけにとられつつ……うらやましそうだったり、忌々しげな感じの視線を向けてくる。


……この戦い終わった後とか、『その鞄をよこせ』とか言ってくるバカが出るかもしれないな。

まあ、出たら出たで返り討ちにするけど。


この戦いが終わるまでは、レーネには手出し無用、って村長の言質取ってあるし。それと一緒に、もし襲ってきたら反撃していい、とも。

来るなら来てみな、経験値にしてやるよ。レーネまだレベル低いから、一石二鳥だ。


そんなことを考えていると、残っているオークのうち半分くらいが、標的をこっちに定めて突貫してきた。


すぐさま、その一段めがけて始まる、矢と魔法の集中砲火。

しかし、この分だと……何割かは突破してこちらに接近されるだろう。


予定ではこの後、一定距離まで近づかれたら、接近戦担当のグループが武器を剣に持ち替えて迎撃する手はずになっている。そして、そのグループにレーネも入っている。


……多分、そのどさくさに紛れて『誤射』からの『不幸な事故』が起こる、というか起こすつもりな奴がいるんだろう。混戦の中での誤射なんて、真面目にやっても往々にしてあることだ。そこを主張されれば……たとえそれでレーネが死んでも、強くは責められない。


なので……接近戦自体起こさせない。


矢の連射が一旦ストップし……その代わりに、別な何かがどしゅっ、と発射される。

それは、オークの団体さんの頭上でばっと開き……ばさっ、と降り注いだ。


投網、である。


昨日の夜のうちに作っておいた……対集団戦用の切り札の1つ。

作ったと言っても、あの窃盗犯(『黙示録』盗んだ方々)が持ってたものをつなげて大きくしただけなんだけどね……こんなもん何に使うつもりだったのやら。


しかし、ほめられたもんじゃないとはいえ、一応プロ仕様であるためか、かなり頑丈。

とらわれたオークたちがどうにか抜け出そうとするものの……うまく動けないわ、密集してたせいで他のオークが邪魔だわ、武器も鎧も邪魔だわで抜け出せない。


おまけに、僕が昨日改造の際に仕込んでおいた、小さな刃物や、魔物の骨や爪、牙なんかのかけらがあちこちに食い込むわ刺さるわでダメージ受けてる。


その光景に、エルフ連中はしばしあっけにとられていたものの……すぐに再起動して、魔法と矢を降り注がせる。

ほどなくして、オークたちは1匹も網から抜け出せないまま全滅。


そしてなんと同じころ、先遣隊の方にひきつけられていたオークも全滅してしまった。


これ一応僕ら、レガートたちが守る『本隊』がここを突破するまでの時間稼ぎが主な目的だったんだけども……過剰戦力だった、かな?


……まあ、いいか。大は小を兼ねる、の精神で行こう。

偉い人も言っていたことだ。『別にやりすぎてしまっても問題ないのだろう?』って。


え、違う? 気にすんな♪


まあでも、矢とかの数には限りがあるから、節約はしないとだけどね。

再利用できるものはなるべくしたい。補給に期待できない現状、リサイクルは大事だ。


それはもちろん……アレもだ。


『レーネ、木降りて。網回収しよう』


『え、アレもっかい使うの? 原型保ってるけど……ボロボロよ?』


レーネの言う通り、オークたち(の死体)を拘束したままになっている網は、内側でオークが暴れたのはもちろん、外側からは魔法やら弓矢やらでエルフ達が遠慮なく攻撃してたので、ボロボロだ。たぶん、もう一回は使えないだろう、耐久度的に。


しかーし……そんなことは、僕の『財宝創造トレジャーメーカー』と、新能力『絡繰細工ギミックアート』の前では些細な問題でしかない。


とりあえず、レーネに網に触れてもらい……『共鳴ハーモニクス』の効果で、そのまま僕の『無限宝箱インベントリ』に収納する。脳内に響くアナウンス。


『破損した大投網を手に入れた』


こうすると、触れたのがレーネでも、僕の収納スペースに入れられるのだ。


ついでにもったいないので、オークたちの死体とか装備品も回収していってもらい……その間に、僕は今回収した網の修理を済ませてしまうことにする。


えーとまずは、素材を消費して網を修理だな。今取った『破損した大投網』と、頑丈な繊維系のアイテムをいくつか使って、『財宝創造トレジャーメーカー』を発動して……と。


ぴこーん!

『『頑丈な大投網』ができました』


はい、修理完了。んでもって、ここにさらにひと手間加えます。

今もまた大量に補給した、破損していてそのままでは使い物にならない武器を大量に選択……そして、今度は『絡繰細工ギミックアート』を発動。


すると……


ぴこーん!

『『頑丈な大投網・改』ができました』


はい、出来上がり。さっき使った時と同じ……新品同様の捕獲網に変化した。


このとおり、僕の新スキル『絡繰細工ギミックアート』は……『財宝創造トレジャーメーカー』と同じ……生産系のスキルなのだ。


『財宝創造』は、簡単なアイテムや武器、装飾品その他『宝物』を作ることができる。

多分、その『宝物』ってのは、ダンジョンとかで宝箱に入っててもおかしくないようなもの基準なんだろう。あんまり手の込んだ、小難しいようなものは作れなかったし。


対して『絡繰細工』は、アイテムを作るというより、より強化するための『改造』に向いているスキルらしい。素材から作れるものの幅は『財宝創造』には劣るが、既存のそのものに手を入れて強化するというのは、こっちの方が断然得意だった。

それに、手の込んだものを素材から作るのも、こっちの方が得意だった。


剣を改造して強度や切れ味を上げたり、クロスボウや設置型の罠を作ったり、その他もろもろ。

そして言うまでもないが、今修理した網も、コレの実験で作ったものだ。


そしてもう1つ、コレを使って僕は……っと、回収終わったっぽいな。


「……視線が痛いわね」


『ま、レガートに聞いた話だと、収納系の能力持ちってかなりレアらしいしね……もうこれでおさらばするわけだから関係ないけど。あとレーネ、声出てる。念話、念話』


『あ、やば。ごめんシャープ』


レーネの今の声は独り言という名の周囲への文句だと取られたらしく、オークの死体やら何やらを次々と虚空へ消していくレーネに、色んな感情のこもった視線を向けていたエルフ達の視線が、一斉に明後日の方向へと反らされた。

聞かれても問題ない内容だったことが幸いしたか。


その後、レーネ達は少しの休憩をはさんで、再び『本隊』に先駆けて走り出した。行く手を阻むオークたちを……今のように、討ち滅ぼすために。


その際、やっぱりというか『よこせ』『有効に使ってやる』的なことを言ってくるバカなエルフがいたんだけど……きっぱりとお断り。


あーだこーだ言ってきたけど、以降は無視を通した。

意外にも、実力行使に出てくる奴まではいなかった。ぎゃんぎゃん言ってきたけど、しまいには折れて、いらだちのこもった視線と共に退散した感じ。


その理由は、村長の宣言もあるだろうけど……レーネの味方をするエルフが多かったことだろう。こっちについては、僕としてもつくづく意外というか、驚かされた。


それどころか、今まですまなかっただとか、急には無理だと思うが、今後少しずつわかりあっていきたいだとか言ってくる奴すらいる。さらにそれを、ちょっとうらやましそうに――自分もそうしたいけど言い出す度胸がない、的に見えた――遠巻きに見ているのも少数ながら。


……なんかこう、二極化が進んでるな、エルフの。

レーネ……というか、ハーフエルフに対して、とにかく疎ましく思う奴と、実力さえ伴えばそうでもない奴。


……ましなのがいた点は、うれしい誤算と言えなくもないもの……全体的に見ると、あまりいい状況とも言えないのが正直なところだな。


背後に気をつけなきゃいけないであろう奴は減った。これはいい。

でも、依然として気をつけなきゃいけない連中の恨みつらみUP。危険度は増した。


おまけに、一応は結束していたエルフ内部の意見が割れたもんだから、チームワークとか連携みたいな点に影響が出ない……とも限らない。


まあ、その結果死人が出ようとも、最悪僕らは、仲間4人が無事ならどうでもいいので、ぶっちゃけ知ったこっちゃないが……面倒なことだけは避けてほしいもんだ。

折角、ほんのちょびっとだけでも、エルフについて見直す部分が出てきたわけだし。





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