1・気がついたら
初投稿、まったり更新予定です。
読んで少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
徐々にいろいろ作ったり系で進行していく予定。
(書けそうならモンスターの大群の中心に投げ込まれたりする戦闘も書きたい所存です)
あ、無理。マジ無理。
初めて瞳があったその瞬間、全身が総毛立った。
脳が逃げろと信号を飛ばす。あの眼を見てはいけないと本能が訴える。
理性がそんなはずはないとわずかに否定するが、本能的な恐怖心がそれを塗りつぶした。
目の前には野犬っぽいナニカが既に事切れていた。
そのナニカと自分との間に、私を守るように背を向けて人が立っている。
恐ろしいほど整った顔、そう、例えばよく漫画に出てくるエルフのような美形が。
つい今さっき、私は野犬のようなナニカにいきなり襲いかかられた。
逃げることもできないまま硬直してしまい、あわや殺される・・・寸前、
目の前に突然、彼?が現れ、野犬らしきものを切り捨てたのだ。
彼?は振り返り、硬直して立ちすくむ私を気遣うように見た。
『大丈夫か?』
「・・・・・・・ぁ」
『周囲にはもうモンスターは居ない。安心していい。』
目の前の男か女か分からないけどとにかく美形なエルフもどきは柔らかく微笑んだ。
「ぅ・・・・・ぅわああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
その瞬間、琴線が切れたように私の身体は声を発し・・・・全力で逃げ出していた。
そのエルフもどきから。
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「ゼェゼェ・・・・・はっ・・・はっ・・・・・」
『・・・大丈夫だから、落ち着け。』
助けてもらっておいて全力で逃げ出した私は、ものの数分で体力が切れた。
あぁ、普段運動していないツケが。
エルフもどきさんはなぜかわざわざ追いかけてきた。というか、数秒で追いついた。
その上、恐怖でパニックにでもなってると思ったのか、私を横でなだめようと話しかけながら横を走り続けた。
勘弁してほしい。
「す、すいません。助けていただいたのに逃げて・・・・」
『いや、私がもう少し遅ければ死んでいたのだ。パニックになっても仕方がない。』
「・・・・・」
『それより、闇雲に森を走ると危険だ。』
本当はあんたが怖くて逃げ出したんだが、と内心思ったが、ようやく動き出した理性が恐怖心をいさめた。
目を合わせてはいけない。絶対相手の目を見ないように俯きつつ、呼吸を整える。
「その、先ほどはありがとうございました・・・」
『たいしたことではない。怪我はないか?』
「えっと・・・はい。どこも痛くありません」
『そうか。・・・ところで、なぜこんな森に武器も持たず一人で居た?』
ああ、エルフもどきさんの視線が突き刺さる。お願い、凝視しないでください。
恐ろしいほどのイケメンか美少女なのはわかります。二次元だったらさぞかし見惚れた事でしょうね。
あぁ、今サングラスがこの手にあったなら迷わずつけるのに。
数年前に視力矯正したこの身が恨めしい。いっそ視力が超悪いままなら、眼鏡を外せばこの距離でもぼやけて見えずに済んだのではないだろうか。
今の気分は、そう、なんだっけあのゲーム、昔遊んだRPGゲームに出てきたサードアイ。そんな感じのモンスターに睨まれてる気分なんです。メデューサでもいいかもしれない。恐怖で石化しそう。
『おい、本当に大丈夫か?』
ぐい、と、俯いていた私の顎をエルフもどきさんが持ち上げて顔を覗き込んできた。
乙女ゲームならさぞかし見惚れる出会いのシーンであったその仕草で・・・私は恐怖で気絶した。
出だしをちょっとだけ文字書き変えました。