第三話 発動条件
拙い文章ですが…
第三話:発動条件
バルボッサさんの言葉に俺はどのように反応すればいいのか悩んでいる。
異世界からの転移者がどの様な扱いにされるかも分からないのに頷けるわけがない。
沈黙が支配する。
「別になんか裏とかがある話じゃねぇぞ?
異世界からの転移者なんて滅多に会うことができないから興味が出ただけだ!」
「そうなんですか?」
俺は安堵した。どうやら俺以外にも転移者がいる様だ。良かった良かった。
「ああ、なんせ異世界からの人間の転移者だ。最初に目にした時からなにか感じるところがあったしな!」
ちょっと待った。
「え…?異世界から転移者は他にもいるんですよね?」
「ああ、いるぞ。大半は魔物や植物、稀に魔族や亜人いるなぁ」
待て待て待て!
植物ならわかるが他が全く理解できない。魔族、亜人?異世界とは地球じゃないのか?
「あとは武器や使い方の分からない物まで転移してくるぞ。まぁそのおかげで俺たちの生活は大分豊かになったがな!」
ああ、この世界は色々な異世界とつながっているみたいだ。異世界から転移して来たものすべての呼称として転移者と言うそうだ。
「なんでバルボッサさんは俺が異世界転移者だと思ったんですか?」
「ん?そんなの簡単だ。シンヤが発動条件を知らなかったからだ。」
「え!?そんなことだけでですか?」
てっきり今の自分の服装などからの鎌かけかと思ったが違ったようだ。発動条件?それが何なのかは分からないがどうやらこの世界の常識の様だな。
「発動条件ってのは魔法を使うための必要な工程の事だ。その工程と体内の魔力が触媒となり始めて魔法が使えるんだ。そしてこの世界で生まれた奴は生まれた直後に発動条件を調べるんだ。そして身体に魔力が宿ったら親から教えてもらえる。」
「そうなんですか、じゃあ俺もその発動条件がわかれば…」
「魔法が使えるはずだ。魔法協会ですぐに見てもらえるからそこで確認するといいぞ。」
魔法協会と言うのは組合のみたいなもの。誰もが魔法を使える世界、魔物などによる被害があるためその様なことを未然に防いだり討伐したりなど、ファンタジー的に言うとギルドに当たるみたいだ。
そんなことよりも…魔法が使える!
俺は今始めてこの世界に来て良かったと思った。魔法!それは誰もが夢見るものだ。
が…俺はそこである事を思い出した。
バルボッサさんはどの様に魔法を発動させていた?
きくのが怖いが俺はバルボッサさんに問う。
まさかね…
「ちなみにバルボッサさんの発動条件はどんなものなのですか…?」
「ん?俺の発動条件はな…」
バルボッサさんはその場で立ち上がり俺に背とお尻を向けた。
いやいやいや…
「このケツに杖を挟むことだ!さっきも見ただろ?俺のケツが炎を吹くのを?」
ああ…そうだよね、うん。
予想はしていたがまさか本当にそんな発動条件とは、こんなにいい人なのにそんな発動条件じゃ周りから疎まれるだろう…
「俺のケツ魔法にかかればどんな敵も余裕よ!協会の連中も俺の発動条件を羨ましがってるしな!」
「ん?」
嫌な予感がまた頭をよぎる。
「バルボッサさんはお尻を出している状態が恥ずかしくないんですか?」
「何言ってんだよ?恥ずかしい訳ないだろ。発動条件はそいつの代名詞の様なもんだ。要するに二つ名の様なものだな。俺のケツ捌きをみては羨ましがる奴が多くてな!ガッハッハ!」
「で、ではバルボッサさんの二つ名は?」
「臀部の覇者だ!かっこいいだろ!」
満面の笑みで言われた二つ名に俺は苦笑いをした。この世界ではお尻を出したまま歩いていても捕まらないようだ。むしろ実力が伴えば羨ましがられる様だな。知りたくもなかった情報だよ。尻だけにってか、やかましい。
「他にはどんな発動条件があるんですか?知ってる限りでいいんで教えてもらってもいいですか?」
「発動条件っていうと指を加える、他人の尻を揉む、服を脱ぐなど人それぞれだなぁ。あとデタラメな強さの奴がいてそいつは身体にローションを塗りたくるんだよ。」
「ファッ!?」
発動条件はどうやら狂っている様だ。
そしてこの世界の人々はそれを平然と行う様だ。ローションってなんだよ?
あぁ…自分の発動条件が怖い。
誤字脱字、ご感想お待ちしております。
臀部の覇者バルボッサ・デンブルのモデルはシルベスタースタ⚫ーンです。