第二話 ただし魔法は尻から出る
更新はなるべく早くする様にします。
第二話:ただし魔法は尻から出る
今この場にいるのはお尻丸出しの男の人と狼のような獣が4匹、そして俺こと井上信哉がいる。先の男の一撃で三匹の獣は気絶をしているようでピクピク震えている。
不意打ちの形で三匹を戦闘不能にしたのはいいがこの四匹は俺にはもう目もくれず目の前の屈強な男を脅威と見なし警戒している。
「グルルッ…」
喉奥を鳴らしながら一行に動かない獣と男。
ここで痺れを切らして飛びかかって来る獣を返り討ちにするのがこの状況だと思えるが先に動いたのは男の方だった。
「サクッと終わらせてやるよ!」
そう言い放つと男は手に持っている杖をそのまま振るうのではなくお尻に挟んで獣たちの方に向けた。
内股でこちらに体を向けお尻を獣に向ける。
本人は至って真面目なのだろうが全く理解できない状況。
男は気張り、そしてお尻を突き出し顔が強張ると共に叫ぶ。
「ファイアーブラストォォ!!!」
強烈な光と共に男のお尻からは膨大な量の炎が眼前に広がる。その光に俺は目を閉じた。
幾ばくかの時間が過ぎ…いや、数秒ののち生暖かい風に運ばれた鼻につく嗅いだことのない獣臭さに顔を顰めながら目を開いた。
先の男はお尻を突き出した状態で力んでいる格好。その前には獣だった黒い物体が煙を上げている。
50mほど先まで男を始点に扇状に地面が露出している。先ほどのお尻からの炎が焼き尽くした様だ。
「うわぁ…」
自然と声が出た。その声は驚きの色と先ほどの炎、男の奇行についての疑念の色を表していたと思う。
「大丈夫な様だな!いやぁ久しぶりに魔法を盛大に放てた事でスッキリしたぜ!」
男は腹を摩りながら満足そうな顔をしていた。まるでストレス発散…いや、見た目的に便秘が治ったかの様な事を言いやがった。
食事中じゃないことこれ幸い。
「あ、ありがとうございます!」
「応よ、ありがたく思えよ。この俺様に助けられた事は自慢できるからな!ガッハッハッ!」
どうもテンション高い人だ。
まぁ変に恩を着せないところがすごい好印象!第一印象はお尻だけどな。
落ち着いた所で俺はこの未だにお尻に杖を挟んでいる男の人に色々聞く事にした。
ー閑話ー
「つまりシンヤは気がついたら魔物の森にいてそのままオーカミ達に追いかけられて今に至るとな?」
「そうです。」
俺はこの人に先ほど体験した事を話した。
それとお互いに自己紹介も済ました。
こと男の人はバルボッサ・デンブル
今年で数え年で36歳になると言う。本人曰く凄腕の傭兵だそうた。 見た目は屈強な肉体をしていて赤髪。腕には生傷の跡が幾つもあった。
「ん〜多分だけどなシンヤ、お前は何かの拍子で森に転移したとしか言えないな。それもかなり高度な魔法だ。」
「転移?魔法?」
「そういやシンヤは俺が魔法を使った時も驚いていたな!魔法を使ったことないのか?」
「いえ、俺は魔法を使えないんで…」
「なに言ってんだ?お前は?」
え?俺なんか変なこと言ったか?
異世界に転移した事はわかっていたが、俺が魔法を使える?バルボッサさんこそ何を言ってる?
「魔法を使えないやつなんているわけないだろ。お前の魔法はどんな状況で使えるんだ?」
「いや、俺は生まれてこの方魔法を使ったことがなくて…その…」
異世界から来たんだから当たり前ですと言えば済むが、この世界で異世界からの転移者がいるのかもわからない現状変に勘ぐられる事を言うのはリスクがある。
「あぁ、なるほどな!わかったわかった!まだ発動条件が分からないのか!しかしその年まで分からないなんてどんなど田舎から転移して来たんだよ!親から教えてもらわなかったのか?!ガッハッハ!」
何か勝手にバルボッサさんは納得したで高らかに笑う。変にボロが出なくて済むな、うん。
俺は先ほどの意図の分からない言葉について質問してみることにした。
「その発動条件ってなんですか?」
「発動条件を知らないってお前は…っ!」
「あれ?俺なんか変なこと言いましたか?」
いきなり驚いたと思ったら沈黙するバルボッサさん。俺なんか変な事言ったか?発動条件は誰でも知ってることなんだろうかと俺は模索しながらバルボッサさんの返答を待つ。
「……」
「あの…バルボッサさん?」
バルボッサさんは先程とは違い鋭い目で俺をじっと見つめ俺に質問してきた。
「シンヤ…お前、異世界から来たな?」
「えっ!?」
もう何度目になるか分からない驚愕の声を上げた。生暖かい風がいやに肌にまとわりつく
誤字脱字、ご感想お待ちしております。
見てくださって本当にありがとうございます。