導きのトランプ
いざなぎは、ヒントを求め町を通る。
木造の商店とガス灯と、レンガで舗装された道が大正時代のような雰囲気を出している。
あてもなく歩いていると、目の前に黒マントの男が立ちはだかった。
「君、よいレンズを持っているね。私の片目は義眼でよく見えないんだ。それを私にくれないかな」
「宝を十個集めないといけないので、できません」
いざなぎは、走り去ろうと思ったが、足が固まって動かない。
男は妖怪なのだろうか。
「そうかそうか。では、これを役立てることができるだろう」
男がマントを翻すと、男の姿は消えた。
そして、トランプのハートのエースが落ちていた。
拾って観察すると、複雑な模様の中心に目玉のようなマークが記されていた。
「もしやさっきの男は、目玉男爵だろうか」
映画のタイトルが実在するとは思えないが、そんな気がする。
だとしたら、このトランプも宝だろうか。
試しに悟り石をトランプに当ててみると、文字が出てきた。
『私は導きのトランプ。あなたを望むものへと導きます』
望むものというと、宝のことが思い浮かぶ。
すると、トランプに文字が浮かぶ。
『次の宝は運命の筆。運命を書き換える呪われた筆』