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巫女の魔力
さて、雨にはなったがどうやってしずくを探そうか。
短歌で、月のしずくは月の涙と詠まれていた。
そうだとしたら、月から垂れてくるのだろうか。
いざなぎは迷ったので、導きのトランプにヒントを求めた。
『月に近づけ』
一体どうやって近づけばいいのだろうか。
高いところへ行けばいいのだろうか。
いざなぎは、巫女に村で一番高いところを尋ねた。
「そりゃ、幻山かね。男爵の家の裏手にある大っきな山」
いざなぎは男爵の家に向かおうとしたが、巫女に呼び止められた。
「ちょっと待ちい」
しばらくして、巫女はバイクを引いて登場した。
ヘルメットも装備している。
「ほれ、かぶりんしゃい」
いざなぎは、ヘルメットを渡された。
「あいつの気まぐれの犠牲者として、他人とは思えん。
幻山まで送るかね。
ついでにへっぽこなすびを叱ってやらんと」
いざなぎは、巫女とバイクに二人乗りする。
珍しい体験だ。
「飛ばすから、しっかり掴まってちょ」
ドライブは、地獄だった。
呪われた運転テクニックを持つゆえに、呪われた巫女なのかもしれない。