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2-4

「俺は、こっちに飛んだ時にはすでにダンジョンの中にいた」

え、そんな怖い事あるの?

あんなでも僕はマシな方だったんだ。

「いきなりの状況に俺は慌てず、冷静にならないとと思って、近くにあった木の棒で地面にナスカの地上絵を描いた」

うん、なんで?

落ち着こうとするのは理解できるけど、なんでナスカ?

「ナスカを12コくらい描いた時、奥の方から何かの鳴き声と誰かの叫び声がした」

12?よくそんなに描けたな。

落ち着きすぎでしょ。

ナスカの効力凄いな。

「俺は13は絶対に描くって決めていたから、凄く悩んだ。ナスカか、叫び声か」

いや、叫び声でしょ。

てか、なんで13?

「俺は苦渋の決断で叫び声の方へ走って行った」

良かった、正しい判断できて。

「そこに向かうと、でかい鬼みたいなモンスターがいて1人の男を襲おうとしていた」

「そこで俺は木の棒をモンスターのケツにブッ刺した」

なんでケツ?もっとかっこいい助け方なかったの?

てか、まだ持ってたの?木の棒。

持ったまま走ってたの?

「そしたら、モンスターは凄い叫び声をあげて消えてしまった」

あれ、僕が龍と緑のモンスターを倒した時は消えなかったけどな。

やっぱり特別なダンジョンだったんだな。

「俺が助けた男は近くに寄ってきて、頼みがあると言ってきた」

「どうやら、そのダンジョンはまだ奥に続いているらしく、そこで仲間たちも強いモンスターに襲われていると」

「でも、俺は最強な訳じゃないし勝てる自信がなかった。だから木の棒を拾って男に渡した。これがあれば勝てると」

いやいや、そんな訳ないでしょ。

真咲が抱く木の棒への絶対的安心感なんなの?

「でもダメだった。男は俺の腕を掴んで無理やり仲間たちがいる所まで連れて行った。そこには、年齢はバラバラな男2人、女1人がいた。そいつらは今にもモンスターに襲われそうになっていて、俺を連れてきた男はこう言った。

「君は選ばれし勇者様なんだ。だから、きっとできる!」俺はそいつの言葉に励まされ、右手に掴んでいたそれを見た。そう、俺ならできる。こいつがある限り!」

まさか。

「俺は木の棒、いやエクストリーム・ウッド・ロードを握りしめモンスター達に立ち向かった!」

名前まで付けちゃったよ。

何なの、エクストリーム・ウッド・ロードって。

そのまますぎるでしょ。

「だが、エクストリーム・ウッド・ロードは奴らの指先で簡単に折られてしまった!」

だろうねえ。

「俺は絶望した。こんなにも力が欲しいと願った事はないと。その瞬間、折られた筈のエクロードが光始めた」

略したな。エクロードって。

「その光は俺を包み込んだ。そして、どこからか声がしたんだ。「真咲よ、力が欲しいか?」と」

ほう?

「俺は力強く答えた。強い力が欲しい!と。その時、俺の中で何かを感じた。光が落ち着いた時にはエクロードは消えていて、俺には不思議と勝てる自信がついていた。襲いかかってくるモンスターへ俺は睨みつける。すると俺の体はみるみるデカくなってモンスターと全く同じ姿になった」

エクロード!?

「どうやら変身能力を手に入れた俺は、モンスターの力もそのままコピーできていて、激しくモンスター達と戦い勝利した。勝った後、元の俺の姿に戻った。助けた男たちは俺を勇者だなんだと喜んでいた。そして、ここからが問題だ」

なんだなんだ。

「またしても俺に頼みがあると男は手を合わせ始めた。俺は気分が良くなっていたのもあって話も聞かずに引き受けた。そのまま連れて来られたのが、この街だった。そしてその男の家にあげられ、家族写真を見せられる。一見、普通の仲(むつ)まじい写真だが話を聞くとそこに写っている少女は事故でもう亡くなっていて、それを受け入れられていない嫁が毎日娘を探しに出て行くと。朝夜関係なくほぼずっと家には帰ってこず、戻ったと思えばボロボロになっていると」

なるほど、ちょっとよめてきたぞ。

「そこで、変身能力のある俺に暫く娘として生活して欲しいと頼んできた。暫くっていつまでだと聞くと、嫁が落ち着くまでと言われた。俺は物凄く悩んだが、こんなよく分からない世界で食も寝床も手に入るのなら、悪くないと思い承諾した。それで今こうなっている」

とんでもない面白おかしい話だと思ったら、急にシリアスになっちゃったな。ツッコみずらくなっちゃった。

「色々聞きたいんだけど、まず何でさっきは僕に気づいた筈なのに逃げたの?」

「その時近くにママ…あ、いやその嫁がいてな。嫁の前では娘のまま頼むと言われていたから、お前と話しているとおかしいだろ。それに、言葉遣いも気をつけなくちゃいけないのに、そんな状態の俺だと分かった今思い出すと面白いだろ?だから、声かけなかったし教えられなかった」

ああ、ハナが教えられなかったのはそっちだったか。

良かった。

「うん、面白いね。凄く」

僕は真咲が悪い奴らにどうされているとかじゃなくて安心する。

「おう。だろ?」

真咲は耳を赤くしながら目を逸らす。

「でも、そのお母さんが落ち着くまでって、困ったなあ」

「あ?何が?」

僕は腕を組んで考える。

本当は一緒に旅に行きたかったのに、そんな理由じゃあ連れて行けないよね。

「おい、話せ」

真咲は可愛らしい格好のまま僕のほっぺをつねる。

「ねえ、今は大丈夫なの?その格好で」

「ああ、まあ今は近くにいないから戻っても良いんだが、そうなるとまた家に帰って写真を見なきゃコピーできない。それだと嫁、驚いてしまうだろ」

「なるほどね、大変だね、真咲」

「んで?何か俺に言いたい事あるんじゃねえの?」

ズイッと顔を近づける真咲。

僕は思わず顔を逸らす。

「えっとね、僕実は元の世界に戻る方法を知ってるっていうか、知れるんだよね」

「なんだと!!」

驚いた真咲は立ち上がる。

「しーっ!多分、あまり人には言っちゃダメな事なんだ」

真咲はやべっていう顔をして座り直す。

「あのね、ダンジョンクリアした時にレアアイテムをゲットしてさ……」

『そこから先は私に言わせて』

「わっ!!!!!」

急に声が聞こえて驚く。

あ、そうかハナか。

「なんだよ!急に!」

真咲も驚いている。

「あ、いや、えっとね、ハナもう大丈夫なの?」

『ええ、ぐっすり休ませて貰ったからね』

「おい、独り言か?」

真咲が僕を変な目で見てくる。

『私を真咲さんの耳に付けて。全部説明するから』

「分かったよ〜」

僕は耳からイヤリングを外すと、真咲に渡す。

「何、これ?」

怪しむ真咲。

「それがレアアイテムなんだけど、まあ、とにかく付けてみて!!」

真咲は怪しそうな顔をしながら耳に付ける。

『どうも、初めましてハナと申します』

「おわっ!!!!」

驚く真咲。

そりゃあ、最初はびっくりしちゃうよね。

しかし、確かにこう見ると独り言を言っているみたいで気持ち悪いなあ。

ハナの声は付けてる人にしか聞こえないから、急に立ち上がって叫んだり、笑ったりしている真咲は変人だ。

僕はぼーっとしながら待つ事にした。

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