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クレープが食べたい。
物凄く。
苺が沢山入っていて、クリームがいっぱい乗ってるやつ。
お腹を空かせた僕は、何故だか無性にクレープが食べたくなっていた。
!!!!!!
「いらっしゃいませ〜」
エプロンを付けた女の子が、可愛らしいキッチンカーの前で呼び込みをしている。
間違いない、あのタイプの店には絶対ある!
「クレープだあーーーーー!!!!」
僕はよだれを垂らしながら走って行く。
「きゃあーーーーー!!!!」
悲鳴をあげ僕から逃げようとする女の子。
「すみませんー!クレープが食べたいんですう!」
僕は思い切り叫ぶ。
「あ!クレープ!申し訳ありません!」
女の子は驚いたように僕の近くへ駆け寄る。
「クレームと聞き間違えて、驚いて思わず逃げちゃいました。お客さまだったのに申し訳ないです」
申し訳なさそうに謝る。
凄い聞き間違いだな。
そりゃあ、逃げちゃうわけだ。
「それより、クレープ!ですよね!どうぞ」
にこっと笑い、女の子はキッチンカーの前に立てかけてあった、メニュー版を手で示す。
「えっと、じゃあダークイチゴ恋心ホップステップジャンプを下さい」
変な名前だなあ。
「かしこまりました!少々お待ち下さい!」
女の子はキッチンカーの中へ入り、作り始める。
その間に、僕はハナに教えて貰ったように念じてみる。
ブオンッ
目の前にお金が現れる。
これってハナというレアアイテムをゲットしたからできる事なんだよね。
……あまり人前では出さないようにしよう。
「お待たせ致しました!ダクホイです!」
凄い略したなあ。
僕はお金を渡してクレープを貰い、その場を去る。
歩きながら食べるのは行儀が悪いだろうか。
でも、こういうタイプの食べ物は歩きながら食べるから美味しさも増すんだよなあ。
ダクホイを食べながら街を見回す。
やっぱり旅を選んで良かったな。
こうして色んな場所、色んな人と関わると小説のネタが潤った感じがする。
お小遣いを貰って嬉しそうに走って行く子どもたち。
散歩をしているお爺ちゃんと犬。
こんな昼間から酒を飲んで、店員さんに絡んでいる男たち。
そんなお客さんに困っている店員さん。
そんな店員さんを助けに入る女の子。
女の子はポケットから沢山ミニトマトを出して、男たちの鼻の穴に押し込んでいく。
慌てて立ち去る男たち。
店員さんにお礼を言われ、立ち去る赤髪おさげの女の子。
……いや、待てい!!!!!
色々ツッコみたいところはあったけど、あれ真咲だよね?!
僕は急いでダクホイを食べ、真咲の後を追いかける。
「待って!真咲!」
息を切らしながら声をかける。
真咲は立ち止まる。
「なんで分かった?」
驚いたように振り返って、すぐに呆れた顔になる。
「口周り、凄い事になってるぞ」
僕は近くの店の鏡越しに顔を見る。
凄いクリームだらけでとてもわんぱくそうに見える。
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僕たちは近くの公園へ行き、そこのベンチで腰を下ろして並ぶ。
なんだか久しぶりに会った気がする。
真咲を見ると、ダルそうにしながらも公園で遊ぶ子どもたちを優しい目で見ている。
うん、女の子に変身しているけど親友に変わりなくて安心した。
「ねえ、真咲。何で......」
そこまで言って僕は悩む。
触れていい質問だったのかな。
「ふっ」
真咲が笑う。
「そこまで言ったなら言えよ。あと、顔に出てるし。この格好のことだろ?」
「うん」
僕は何だか照れ臭くなって下を向く。
「......つむぎはさ、こっちに飛ばされた時どこに着いた?」
急に向けられた僕への質問に少し考える。
言っていいんだよね、多分。
「えっと、無人島みたいな所でダンジョンをクリアして、そしたらアイテムをゲットしてそれでこの街に来たんだ」
だいぶ省略したから、あの壮絶な時間がふわっとしてしまった。
「そうか、つむぎもダンジョンクリアできたんだな」
「真咲は一体何があったの?」
「俺は__________________」




