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「はあ、こっちに飛ばされてからずっと動き回ってたせいで疲れちゃった」
目の前にある噴水を見つめながらため息をつく。
あれ?そういえば。
「ねえ、ハナ。僕がこっちに飛ばされた時ってもう夕方だったんだけど、こっちはまだ昼頃だよね?」
『そうですね、ただ時間がズレているってだけです。お気になさらず』
『ねえ、後さ、ハナってもっと面白い人でしょ?』
『え?』
「僕普段から周りに面白い人がいたから、何となく分かるんだよね」
『はあ……』
「だからさ、僕の事普通の友達として接してほしいな!名前もつむぎって呼んでくれて良いから!」
『……良いんですか?確かに、つむぎ様の言うようにこれは素の自分ではありません。ただ、気を許して話し出すと生意気になりますよ?』
「それで良いんだよ!どうせ長い旅だしさ、気楽に話せたらもっと楽しいじゃん!」
『…分かった』
うん、これで良い。
ついさっきまでただの高校生だった僕が様呼びされるの、ずっと違和感あったんだよね。
「でさ!真咲ってどこにいるの?この街にはいるんだよね?」
『さっき会ってたよ』
驚く事を言うハナ。
「え!?!どこ!まさかあのニーゴ!?」
『違う!さっきぶつかった女の子いたでしょ?あの子がその真咲さんよ!』
「え?嘘だあ。分かった、そうやって早速僕をからかってやろうとしてるんでしょ?可愛いなあ」
僕はイヤリングを撫でる。
『やめて、気持ち悪い。本当のことよ』
…口悪く無い??
『あとさっきから言おうと思ってたけど、貴方、ずっと独り言してるみたいで周りから見たらだいぶやばい奴よ。しかもイヤリング撫でたのでもっとキモい』
あれ、このイヤリング故障しちゃった?
「酷くない!?楽に接してとは言ったけど、あまりに酷くない!?」
思わず立ち上がって叫ぶ。
はっ!
僕は周りを見る。
皆んなおかしな人を見る目で僕の方を見ている。
『これが私よ』
いや、まあ、僕がそれを許したんだもんな。
僕はまだ納得がいかないまま座り直す。
「で、真咲がさっきの女の子ってどういう事?」
『真咲さんも貴方みたいに力を得たのよ』
「ダンジョン攻略したって事?」
『そう。その結果、変身魔法を手に入れたみたいね』
「変身魔法……」
僕は手を組んで考える。
「でも、だとしたら何でさっき声をかけてくれなかったんだろう?」
真咲は変身していても、僕の見た目は来た時と全然変わっていない。
あれ、そうじゃん、僕制服のままじゃん。
『その先を私から言う事はできないわ。だから、自分で聞いてみる事ね』
……それってさっき僕が言った面白い事、嫌な事のどちらかに関係しているって事だよね。
でも困ったぞ。
どこに行ったかも分からないのに、どうすれば。
『貴方、私の使い方もう少し勉強してみたら?』
「へ?」
『貴方に頼まれた事、世界のバランスに関わらなければ何を聞いてくれても良いのよ?あと、私発信機の機能もあるの。さっき真咲さんに会った時に、動向が分かるようにチェックさせて貰ったの』
何か凄い事言ったぞ、今。
「え、じゃあ今真咲がいる所教えて!!」
『嫌』
…とても凄い事言ったぞ。
「なんで?」
『見た目はイヤリングだけど、私だってこうして話しているだけでもエネルギーを使っているのよ。だから少し休ませてよ』
なるほど、これは僕が悪いな。
「気づかなくてごめんね、えっとそのエネルギーって休んだらまた復活するの?休むって一体どうするの?」
『そうね、暫く声をかけなければ良いわ。大体、2時間くらい』
2時間か、まあそれくらいなら待っていようか。
「分かった、じゃあ僕は適当にこの街を散策しておくよ」
『分かったわ。もし、お金使いたかったらさっきみたいにタッチしなくても、私が休んでいる時は念じるだけで出るから。じゃあ、おやすみなさい』
「了解!おやすみ!」
『―――――』
寝たのかな。
よし、じゃあ僕は動くとしようかな。
まずはお腹が空いたから、適当に食べ物屋さんでも探しに行こう。




