おまけ話 放課後(完)
「ねえ〜、暑い〜どっか寄って帰ろう〜」
ソフトクリームを食べながら自分の方が溶け始めているハナ。
「じゃあ、いつものファミレス行こっか!」
賛成と2人が手を挙げる。
「私、ホワイトマンゴー泥酔アイマイミーマインにするわ」
……僕命名した人に心当たりがあるかも知れない。
「泥酔って……アルコール入ってないだろうな?」
真咲がメニュー表を見て確認する。
それをハナが奪い取る。
「大丈夫よ!ちゃんと見て選んでますー!」
ハナがあっかんべーをする。
「じゃあ、僕は生クリームココアで」
「え!それも美味しそう!つむぎ、後で私にもひと口飲ませて」
「良いよ〜」
「俺ウインナーコーヒーで」
「うわっ、めちゃ渋い。かっこつけてんの?」
お前なあ!と真咲がメニュー表でハナの頭を叩く。
「痛い!」
「俺のも後でひと口飲ませてやるよ」
ニヤッと嫌な笑みを浮かべる真咲。
「いらないよー!」
ハナがコーヒー飲めない事分かってて言ってるな?
「お待たせ致しました。こちらホワマインでございます」
だから、略すんかい。
「わ!美味しそう!」
早速、とハナは僕のココアをひと口飲む。
「ん!これもアリね、凄く美味しい」
そして、自分が頼んだホワマインを飲んで幸せそうな顔をする。
「おい、それより進路どうするんだよ?」
僕とハナは固まる。
「シンロ?」
「はて?シンロって何でございましょうね?つむぎ君」
「誤魔化すな。俺は大学に進むが、この前2人はまだ決めなくても生きていけるとか言って逃げただろ?」
僕とハナは真咲から目を逸らす。
「はあ……。そんなんだと心配過ぎて俺受験落ちるわ」
「ちょっと!私たちのせいにしないでよ!落ちるのは貴方の責任でしょ?」
「そうだ!僕たちはそんな先の事より今を楽しく生きていくんだ!」
僕とハナは手を握り、同盟を結ぶ。
僕たちは3年生になったとは言え、今はまだ夏だ。
時間はもう少しある。
もう少しだけ……。
「それでも良いけどさ、せめて安心させてくれないか?ボヤッとでも良いから、夢とかないの?」
夢かあ……。
小説が好きだからずっと書いていたいけど、それと将来の仕事は別だよなあ。
んー……あ!
「本屋さんとか!」
「なにそれ!つむぎっぽい!」
ハナが賛成してくれる。
「ぽいかなあ?」
僕は照れる。
「本屋なあ、まあ良いんじゃないか?ハナは?」
「私はねー、お嫁さん!」
ドカドカッ
僕と真咲が思わず椅子から倒れる。
「嫁?誰の?」
僕はまさかと思いながら聞く。
「んー、れん先輩とか?」
「はい!?」「は!?」
よりに寄ってあの人?なんで?
「だって、カッコいいじゃない。頭が良くてスタイルも良くて、おまけに面白い!」
面白いのは分かるが、まさか先輩とは。
れん先輩は僕らが2年生になった時に卒業した。
何処で何してるのかは分からないけど、たまに部室に遊びに来て大金をズボンのポッケに入れていたりする。そのお金でよくご飯を奢ってくれるから、そういう意味では僕もあの人が好きだ。
「そう言っといて、本当は飯に釣られてんじゃないか?」
真咲に言われハナはギクッとする。
図星なんだ……。僕と一緒だね、ハナ。
「まあ、2人ならどうにかして生きていけるか」
コケー!コケー!
「ニワトリ?」
「ファミレスにか?」
「ごめん!僕の電話!」
ちょっと抜けるね、と言って僕は店の外に出る。
「あの着信音なんなんだよ」
「センスが面白いよね」
「はい!もしもし」
『トマケチャ出版社の者です』
!?
この前僕が思い出作りにと、小説を送った所だ!
『只野様でお間違いないでしょうか?』
「はい!合っています!只野つむぎです!」
『この間送って頂いた小説の事なのですが、書籍化の話が出ていまして、もし宜しければお時間ある時に会社まで来て頂く事は可能でしょうか?』
?
……書籍?僕の小説が?
「書籍化!!!!?」
「ねえ、つむぎ遅くない?」
「そのうち戻ってくる」
「お待たせー!」
「何か凄い笑顔じゃない?」
「うわ、気持ち悪っ。何だあいつ?」
僕はいそいそと椅子に座り、目を輝かせながら2人の顔を見る。
「……何かあったの?」
「よくぞ聞いてくださいましたあー!!」
僕はバンッと机に手を置き立ち上がる。
「つむぎ、迷惑」
「はい」
真咲に注意されてすぐに座る。
「でね!実はなんと!僕の小説が本になります!」
「「え!?」」
「ふっふっふ、今度会社に来て下さい〜って言われちゃったもんね」
「確か、犬と豚が旅する異世界系の話だろ?」
そうだよと僕は鼻を高くして言う。
「すごい!つむぎ小説家になるんだ?」
「え?なるの?」
「え?ならないの?」
「んー、なれたとしても続けていけるかが心配だなあ〜」
「でも、つむぎに1番似合ってると思うよ」
「本当?」
「そうだな、好きな事だし良いんじゃないか?」
「……なってみようかな」
「じゃあ、私つむぎのアシスタントする〜!」
「そんな簡単になれるもんなのか?」
「でも、友達と一緒に仕事できたら最高じゃない?」
「確かに」
電話だよー♪すぐ出ろよー♪
?
「何の音だ?」
「私の電話!もしもし!」
「だから、どんな着信音だよ」
「変わってるよね」
電話に出てすぐ、ハナの顔色がみるみる青くなっていった。
「ハナ?何の電話だったの?」
「やばい、今日先生に呼び出されてたの忘れてた」
「それはまずいね」
「また成績の話か?」
「多分ね。うー、行きたくないけど行ってくる!ごめんね、先帰ってて〜!」
そう言うとハナは騒がしくファミレスを出て行った。
「真咲、この後どうする?」
「あー、今日もつむぎの家寄ろうかな〜。あの新作ゲームしたいし」
「おっけ!じゃあ、ハナにもそうメール送っとくね!」
僕と真咲もファミレスを出る。
「なんか、この3年間あっという間だったね」
「なんだかんだ楽しかったな〜」
「……僕さ、実はゲーム作る人になろうかなって悩んでたんだよね」
真咲は驚いて足を止める。
「まさか、あの世界にもう1度とか思ってないよな?」
僕の事を心配そうに見てくる。
「はは、それでも良いかもね。でもそうじゃなくて、あの時の僕たちみたいに新しい発見とか、誰かの成長の手助けができたらなって思っててさ」
「なんか、つむぎらしいな」
「でも僕は先輩みたいに頭良いわけじゃないから、悩んでて……」
すると、真咲が鞄で僕の背中を叩く。
「ばか、やれるかどうかじゃなくて、したいかしたくないかで考えろ。それに、小説家になろうがゲーム作ろうが俺とハナはお前の事応援してるから。いつでも助けてやる」
そう笑顔で言ってくれる。
「ありがとう。もう少し考えてみるよ」
「おう!また決まったら教えてくれ!」
ほら行くぞと言って先に進む真咲。
もっと自分に自信を持ってみても良いのかもしれないな……。よし!!!
真咲に続いて僕も歩みを進める。
この話でつむぎ達の物語は終わりました。
ここまで見て下さった皆さん、ありがとうございました。
次の新しい物語も今進めています。
そのうち投稿すると思うので、良ければそちらも見てやって下さい。




