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8-8

「ササカベ君!!!!」

ササカベさんの片手はプルプルと震えて、今にも谷から落っこちそうだ。

________________


「教えるのは良いけれど、ササカベさんにやって貰いたい事があるんだ」

「やって貰いたい事?」

「ちょっと、着いて来てくれるかい?」

スライムはピョンピョン跳ねて僕たちを何処かへ連れて行く。

「ここだよ」

暫く歩くと、深い深い谷がそこにあった。

「こんなとこ、ここに来てから一度も見てないわ」

ハナの言う通り、こんな谷があればすぐ目にしていた筈だ。

スライムはニコニコしている。

「やって貰いたい事って何なんだ?勿体ぶらずに教えてくれよ」

スライムは谷を指差す。

「あれを取って来て欲しいんだ」

指差した先には、白い一輪の花が咲いていた。

ボワっと優しく光っていてとても綺麗だ。

ただ、それが咲いている場所が危険すぎる。

遠くはないけれど、もし手を離してしまったら谷底へ落っこちてしまう。

「あんな所行ける訳ないじゃないか。あ、それかササカベさんじゃなくて僕たちの誰かじゃダメなの?」

「だーめ。ササカベさんに取って来て欲しいんだ」

「手伝うのはアリなんじゃねえの?」

「それもだめー」

ケチなスライムだなあ。

「皆んなありがとう。僕行けるから、見守ってて」

そう言うと、ササカベ君は谷を少しずつ降り始めた。

「君の事他のモンスターとは違うって思っていたけど、悪魔だったね」

「そんな事ないけどな……」

スライムは少ししゅんとする。

「意外と行けてんな」

「それでも、体力が持つかしら」

ササカベさんが花が咲いている窪みに手を伸ばす。

「取れた!!!」

よっし!

僕はガッツポーズをする。

「まだ安心できないわ。これからよ」

確かに、ササカベさんはもう体力が切れかけているようだ。


________________

くそっ、僕は何がなんでもサーヤの病気を治してみせるんだ。

右手、左手と交互に休む事なく手を伸ばす。

手の感覚が少しずつ無くなってきているが、そんな事関係ない。

やってやる。待ってろよ、サーヤ。

その時、左手で掴んだ壁がボロッと崩れた。

「うわ!」

僕は右手だけで壁を掴んでぷらぷらと揺れる。

「ササカベ君!!!!」

つむぎ君の声がする。

あの子は本当凄いよな。どんな力を持っているのか知らないが、全く攻撃の効かなかった相手をあんな簡単に倒してしまったのだから。真咲君も周りをよく見ていて気が利し、ハナさんは何でもできるんじゃないかってくらい強いし。

今思えば、僕ここに来て何か少しでも役に立っただろうか?

あの時は、ハナさんのお陰であの敵たちと互角に戦えただけだし。

僕が彼らを巻き込んだのに、何も活躍していないじゃないか。

(ササカベ!)

サーヤの笑顔が浮かぶ。

……そうだ、こんな所でもたついている暇はないんだ。

僕は力を振り絞り左手で壁を掴む。

「おりゃあ!!!」

行ける、行くんだ。サーヤが待っている。


____________________

「ササカベ君!もう少しだよ!」

僕は手を伸ばす。

ガシッ

「えいっ!」

軽々引っ張りあげ、地面へササカベ君は倒れる。

「これで、良いんだよな?」

花を持ってニヤッと笑うササカベ君。

「うん、良いよ!お疲れ様!」

「それで?」

疲れている筈なのに、ササカベ君はいつでもサーヤさん優先でかっこいいなあ。

「その花をすり潰して、水と一緒に混ぜて飲ませると治るよ」

「この花がサーヤの病気を治すのか……」

なるほど、だからササカベ君に取りに行かせたのか。

「ありがとう、君はモンスターだけど良いモンスターだね」

ササカベ君がスライムの頭を撫でる。

「それはそうと、早く戻った方が良いんじゃないのかい?」

スライムが不思議な事を言う。

「どういう意味?」

「その女の子の側にいつも一緒にいる人がいるでしょ?その人がその子の病気の原因だよ」

いつも一緒にって……。

「掃除屋か!!!」

「そう、その人が何か毒になる物を飲ませているんじゃないのかな?」

ハッとしてササカベ君は走り出す。

「ササカベ君!待って!走ってもここには出口がないんだよ!」

僕ははぐれたらまずいと思い声をかけるが、止まってくれない。

すると、突然ササカベ君の目の前に紫色の空間が生まれる。

ブオンッ

??!!

ササカベ君はその中に入ってしまった。

「あれ!なに?!」

僕はスライムに聞く。

「ワープだよ。急いでいるんだろうから、飛ばしてあげたんだ。」

なんていい子なんだ!

「おい、俺たちも急ぐぞ」

「そうだね。スライム、色々とありがとう。じゃあ、帰るね」

僕は連れて行きたい気持ちを抑えて、ワープに入る。

最後にスライムは手を振っていた。


______________________

お盆を持ち、男はサーヤの部屋へ入る。

コンコンッ

「どうぞ」

サーヤの返事を聞いて扉を開ける。

「ほんと毎日お部屋が綺麗なのは貴方のお陰ね。いつもありがとう」

男はペコリと軽く会釈をする。

男は持ってきた薬と水をサーヤへ渡す。

「どうも」

サーヤが薬を手にする。

男は思わずニヤける。

ブオンッ

「サーヤ!!!!」

!!!?

突然現れたのはササカベだった。

「ササカベ!?一体どこから出てきたの?」

ササカベはサーヤが持っている薬を手に取り、男に見せる。

「これ、何にすり替えているんだ?」

「ササカベ?何を言っているの?」

サーヤは不思議そうにする。

「サーヤ、君の病気の原因はこの男だよ。こいつが毎日サーヤの薬を何かとすり替えて飲ませていたんだ。」

「そんな……。本当なの?」

サーヤは掃除屋を見つめる。

掃除屋はチッと舌打ちをして窓を割って飛び出す。

「待て!!」

ササカベはその後を追いかける。

「……一体何が起こっているの?」

ブオンッ

「きゃっ!」

また音がしてドタバタと3人が現れる。

「あ!サーヤさんだ!ササカベさんは知らないかい?!」

「あっち……」

サーヤは窓を指差す。

それを見てつむぎも窓から飛び出す。

「サーヤさん、何かされましたか?」

「分からないわ、ただ飲もうとしていた薬はササカベが持って出て行ったわ」

ハナは安堵する。

「良かった〜」

「念の為、俺たちはここに残っておくか」

ハナはそうねと言い、2人はサーヤの護衛をする事にした。




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