8-7
ベチャッ!!!
僕たちはビチョビチョになって吐き出される。
「うへ〜、汚ねえ」
「でも臭くはないね」
「そういう問題じゃねえだろ……」
「皆んな前に並んで、乾かしてあげるから」
「ハナさんの力、便利だね」
僕たちはハナに風魔法で乾かしてもらう。
「んで、元の場所に戻ってきた訳だが、こいつどうする?」
真咲がスライムをツンツン突く。
そうだ、ここは最初にいた草原だ。
「ね、もしかして元の場所に帰してくれたの?」
スライムはうんうんと頷く。
「意外といい子なのね?」
ハナがスライムの頭を撫でる。
スライムはプルプル震えて喜んでいる。
「でも、これからどうしようか。元の場所に戻れたとは言え、全くダンジョンを進めていない現状に変わりないよ」
ササカベさんの言う通りだ。
また振り出しに戻った。
もう一度、永遠と続くこの草原を歩き回らなければならないのだろうか。
「ここで正解なんだよ」
?
「今の誰の声?」
僕たちは辺りを見る。
誰もいない……。
「こっちだよ」
下を見るとスライムがぴょんぴょん跳ねている。
……………。
「君喋れるの!?」
「うん、人間の言葉は勉強したんだ」
ああ、だからあの図書館。
ん?じゃあ、あの本ってこの子が読んでいたのかな。
……人間と仲良くなりたいモンスター。
「君、もしかして魔神の居場所も知っているのかい?」
あ、ササカベさんの質問で思い出した。
そうだ、色々気になる事はあるけれどまずはサーヤさんの病気を治して貰わなきゃ。
「知っているよ」
「ほんとか!?教えてくれないか?」
スライムはウニョウニョ動いて何やら楽しそうだ。
「んー、じゃあボクとかくれんぼして欲しいな。それでボクを見つけられたら教えてあげる!」
可愛らしい提案だなあ。
皆んなで納得をし、その誘いを受ける事にした。
「じゃ、今から10秒数えてね!」
ちゃんと目瞑るんだよ!と言ってピョンピョン何処かへ行ってしまう。
10秒で足りるのだろうか?
…………………9.10!
「もういーかい?」
僕は叫ぶ。
……………………………。
「もう良いんじゃないの?」
ハナの言葉で僕は目を開ける。
「しかし、この草原の何処に隠れたんだ?」
ササカベさんが言うように、ここには隠れる場所なんて何処にもない。
「もしかして、またあの街に行ったとか?」
僕は探しに行ってみる?と皆んなに聞く。
「いや、やめておいた方が良いだろう」
「そうね、また無事に戻って来られる保証なんて無いし」
それもそうか。
「俺たちが行きにくい場所には行ってないんじゃないのかな」
?
「そうだね。とりあえずなるべく離れないように皆んな別れて見て回ろうか」
ササカベさんの言葉で皆んな一旦バラバラになる。
んー、しかし何処に行ったんだろう。
まさか、わざと飛び散ってたりしないよね……。
僕は振り返ってさっき皆んなで固まっていた場所まで戻る。
意外と近くにいたりするかも?
「あれ?真咲も戻って来てたんだ」
真咲は1人座り込んでいる。
「うん、灯台下暗しって言うしね」
………………やっぱり。
「ね、君スライムでしょ?」
真咲が驚く。
「……なんで分かったんだい?」
そう言うと、真咲だったそれはグニョグニョ動き、スライムの形へ戻っていった。
「真咲にしては言葉遣いが優しすぎたんだ」
「お見事!」
スライムがまた僕の胸に飛び込んでくる。
「どうやら変身する相手を間違えちゃったようだね」
「真咲はどこだい?」
すると、スライムがプルプル震えだした。
ポンッという音と共に地面から出てきたのは、真咲だった。
「真咲!」
「お前なあ」
真咲はズンズンと近寄って、スライムの事をグニグニとつねる。
「急に落とされる身にもなれよな」
ごめんね〜!と言って謝るスライム。
「あれ?あんた達もう見つけたの?」
「皆んな元の場所に戻っていたんだね」
ぞろぞろと他の2人も戻って来た。
「じゃあ、教えて貰おうか」
僕たちはスライムを見つめる。
「ボクだよ」
?
「ボクダヨ?」
「うん、その魔神ボクの事だと思うんだ。何でも治してくれる魔神、でしょ?」
まさかスライムがその魔神だなんて……。
「全然気づかなかった……」
「でしょでしょ?その反応がボクは大好きなんだ」
嬉しそうにピョンピョン跳ねている。
魔神とスライムが僕の頭の中で全然一致しない。
体の大きな男のイメージだった。
「じゃ、サーヤの事頼んでも良いか?」
ササカベさんが早速、とスライムに顔を寄せる。
スライムはニコニコと笑う。




