8-3
あれから僕たちは村を出てダンジョンに向かっていた。
「そういえば、サーヤさんは置いてきて良かったのですか?」
「ああ、一応あの家には掃除屋がいて、そいつに見て貰っています」
「ご両親は?」
「どちらも仕事で海外へ行っています」
……最初から気になっていたのだけれど、ササカベさんって僕達より年上だよね?敬語、やめて欲しいな。
「あの、ひとつ聞きたいのですがササカベさんっておいくつでしょうか?」
「僕ですか?16です」
「「「え!!!!!?」」」
僕達3人とも同じ事を思っていたのか、同時に驚く。
「じゃあ、同い年だな」
真咲が言う。
「え!そうなんですか?え、後のお2人も?」
ハナは少し気まずそうにしている。
そっか、ハナには年齢とかないから。
「そうです!僕もハナも真咲も皆んな同い年です」
ハナが驚いた顔で僕を見る。
良いじゃないか、この世界に来てずっと一緒だったんだ。今更そんな事気にして欲しくない。
「そうだったんですね。……では、敬語をやめて頂いてもよろしいでしょうか?」
ササカベさんが遠慮気味に言う。
「もちろん!ササカベ君も、だよ?」
あ、そうかと言って頭を掻くササカベ君。
僕達は笑い合う。
他人が僕らを見たら、とてもこれからダンジョンに向かう集団には見えないだろう。
「あそこだよ」
ササカベ君が指さした先には、レンガでできた塔がポツンと立っていた。
僕は少しドキドキしてくる。
入り口まで着いて、ササカベ君が説明してくれる。
「ここを入ると、攻略するまで出る事はできない。そして、魔神がいる所までの間もきっと強く恐ろしいモンスターが沢山いると思う。それでも着いてきてくれるかな?」
僕達は頷く。
「あと、一応教えておくけれど僕のこの杖。これがあれば回復とちょっとした火魔法が使える。」
回復が使えるのは助かるなあ。
僕は……とこっちも教えようとしたら手を出して止められた。
「君たちの事は聞かないでおくよ。力を教えたくない人もたまにいるからね。」
確かに、聞かないでいてくれるのは助かる。
まあ、入ってしまえばバレるのも時間の問題だろうけれど。
ササカベさんが入口の扉を開く。
中に入ると、ブワッと急に景色が変わる。
普通の塔だった筈なのに、草原が広がっている。
木も花も岩も何もない。
どこまでも続く緑に僕は少し躊躇する。
けど、入ったからにはやってやるしかない。
「さ!行きましょう!」
どれくらい歩いただろう。
前に進んでいる筈なのに、全く景色が変わらない。
「……これ、いつまで続くのかしら?」
ハナは限界がきているみたいだ。
「ハナ、もしもう一度イヤリングに戻れるのなら少し休んでいたら?」
「いいえ、大丈夫。私だけ楽するなんて、嫌だわ」
「無理すんな、ほら」
真咲がハナをおんぶしようとする。
「舐めないで、私だって仲間なんだから一緒に頑張らせて」
ハナはふんっと言ってさっさと言ってしまう。
「なんか、変わったなあいつ」
真咲がハナの後ろ姿を見ながら言う。
「前より言葉が優しくなったよね。あ、真咲も同じように変わったよ?」
真咲は、まあ気をつけてるからなと言ってハナの後を追う。
「ん?……おい」
真咲が立ち止まる。
「どうしたの?」
「ハナ……どこに消えた?」
僕も辺りを見てみるが、ハナの姿は何処にも見当たらない。
「え、どうしよう。少し目を離しただけなのに」
僕は、ハナを探すのに少し立ち止まっても良いかな?とササカベさんに聞こうと振り向く。
が、ササカベさんの姿もなくなっていた。
「真咲、これきっとモンスターの仕業じゃない?」
「どうだろうな。とりあえず俺たちは離れないように気をつけよう」
僕と真咲はなるべく離れないように、くっついて進んで行く。
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「あれ?ここどこかしら」
草原を真っ直ぐ歩いていた筈なのに、気づいたら知らない街へ来ていた。
人のいない、廃れた街。
「これ、何が起こっているんだ?」
後ろにササカベさんがいた。
「ササカベさん!良かった、1人だけでも一緒なら安心ね」
ササカベさんは、後の2人は?と心配している。
「後の2人の事は分からないけれど、とりあえず私たちはここを調べてみましょう」
「流石旅をしていただけある。判断が早い」
ササカベさんは呑気に感心している。
「じゃあ、僕はあの教会のような建物を見てくるよ」
「待って」
私はササカベさんを止める。
「こんな状態じゃ次何が起こるか分からない。だから別行動は無しよ。私も一緒に着いて行くわ」
教会に入ってみると、思っていた通り壁も天井も汚れて所々崩れている。
他は特に気になる所はなさそうだけれど……。
「ハナさん!」
ササカベさんの方を見ると、私の身長くらいある窓が開いて、奥へと続く道があった。
「よく、気づきましたね」
「この窓の装飾が綺麗で触ってみたら簡単に開いたんだ」
確かに、ステンドグラスで装飾された窓はキラキラ輝いていて、綺麗だ。
「奥、進みます?」
ササカベさんは少し怖がっている。
「大丈夫、こう見えて私強いから。堂々と行きましょう」




