7-1
木を食べるとチョコの味がする。
砂を舐めるときなこの味がする。
岩をかじるとスポンジケーキの味がする。
地面にはキャンディが刺さっていて、あちこちに大きな丼ぶりやグラス等が落ちている。
その中には、蕎麦、ラーメン、カツ丼やレモネード、タピオカ、シャーベット等が入っている。
僕たちは、食べ物だらけの島に来ていた。
流れる川も、舐めてみると甘いシロップの味がする。
「ここ、やばいな!」
珍しくテンションの上がっている真咲は、うどんの入った丼によじ登っている。
最初は凄く警戒していた癖に、うどんを見るとこの通りだ。
ハナは、ふわふわ落ちてきている綿あめを楽しそうに食べている。
なんであそこだけ綿あめが降っているんだろう?
いや、全体的にツッコミどころ満載な島だけれど。
僕はどうしよう……。
ちょうど昼食を食べていなかったから、お腹はとても空いている。
でも、なんとなく食べる気になれない。
僕は色んな匂いで充満している島を探検する事にした。
多分、モンスターとかいないよね?
どこを歩いても、料理された物が沢山置いてある。
左右見てもチョコで出来た木。
そのくせ触ってもベタついたりはしない。
なんて可笑しな場所なんだ。
奥に向かっていると、何かの叫び声がした。
僕はこっそり覗いてみる。
そこには廃工場のような建物があり、その中から何かの鳴き声が聞こえてくる。
ここから見える場所は裏口だろうか。
僕は入ってみようかと悩む。
んー、様子見ながら近寄ってみよう。
少し遠回りしながら入り口の方も見に行ってみる。
「ん?なんだろ」
入り口の前で誰かが大きな声を出している。
!?
覗いてみると、熊のようなモンスター達が何か騒いでいる。
てか、ほぼ熊だ。
よく見てみると、何かを囲ってそれを蹴っている。
僕はもう少し近くで見ようと、入り口近くに置いてある謎の銅像の壁に隠れる。
「あの子は普通の動物かな?」
中心で蹴られているのは、子豚だ。色は黒色で、鼻も黒い。お尻の方には白いハート型の模様がある。
喧嘩でもしているのか?縄張り争いとか?
けど、ボコボコに蹴られているその子豚は全く対抗していない。
「やめなよ!!」
僕は少し悩んだが急いで助けに行く。
急に出てきた人間に驚いたのか、熊達は慌てて体を立ち上がらせて威嚇してくる。
僕は構わず殴る。
片っ端から殴る。
バタバタと倒れていく熊。
全部倒した頃には、子豚はいなくなっていた。
大丈夫かな、怪我してないのかな。
僕は心配になって辺りを探す。
けど、どこにも見当たらない。
もう住処に帰ってしまったのだろうか。
僕はついでに工場の中を覗いてみる。
「あ、あの子達って」
中には大きい豚が2匹、子豚が4匹檻に入れられている。
さっきの子豚の家族だろうか。
皆んなビクビクと怯えて鳴いている。
「なんて酷い事するんだ」
すると、さっきの熊達とは比べ物にならないほど大きな熊が奥から出てきた。
その後ろからは部下だろうか、見たことのない気持ち悪い見た目のモンスターが着いてきている。
ドロドロしていて、頭からはそれぞれ色んなツノが生えている。
ボス熊は、置いてあったソファに腰を下ろして、部下が運んできた大量の食べ物をガツガツと食べている。
すると、食べ終わった肉の骨を豚一家が入れられている檻へ投げつける。
豚一家はビクッとし、さらに震え出す。
なんなんだあいつ!
僕は腹が立ってきた。
立ち上がって助けに入ろうとした時。
「あれがボスかしら」
「そうだろうな、んであのキモいのが部下だろ」
後ろにハナと真咲が僕と同じ姿勢で隠れていた。
「なにしてるの?!」
僕はなるべく小さい声で話す。
真咲が足元を指差す。
そこにはさっきの黒子豚がいた。
「あれ、君さっき虐められてた子だよね?なんで真咲達と一緒にいるんだい?」
「俺たちがさっきの場所で食べてたら急にこいつが走って来たんだよ。んで、ブヒブヒ言いながら俺のズボンを噛んで引っ張ってきて、それをハナがこの子私たちを何処かへ連れて行きたいんじゃない?って言うから着いてきてみたらお前がいたって訳」
……もしかしてこの子、僕が危ないと思って島にいた人間を呼んできてくれたのかな。
「ありがとう」
僕が頭を撫でると、足元へ体を擦り寄せてきた。
可愛い……。
怪我も無さそうだし、良かった。
心なしか、昔飼っていたあの子に似ている気がする。
「んで、助けに行くんだろ?」
真咲がニヤッと笑う。
「私あの気持ち悪いのはパスね、真咲が倒して」
「はあ?……仕方ねえな、貸し1な!」
「じゃあ、僕熊全部やるからハナはこの子の家族を救出してあげて。」
「おっけ!」
僕たちはザッと立ち上がって突撃する。
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