6-3
暫く3人で遊んだ後、まだ昼過ぎくらいだけど一旦宿へ戻る事にした。
「ね、戻ったらまたあの人に声かけられるんじゃないかな?」
僕は心配になる。
せっかくハナの機嫌が戻ったのに、あの人に会ったらまた嫌な思いするんじゃないかな。
「大丈夫よ、ちゃんと断る」
お、気持ちの整理ができたみたいだ。
「言える?僕変わりに言おうか?」
「それくらい自分で言えるわよ!」
宿に入ると、やっぱりあの男性が声をかけてきた。
「お帰りなさい!あの、ハナさん見た目が変わりましたね?とても可愛らしいです!」
男性がドキドキしているのがこっちにまで伝わってきそうだ。
「ありがとう。あの、それで昨日の事だけど」
ハナがそこまで言うと男性は手を前に出して、それ以上言わないでくれと頼んでくる。
「分かっているんです。叶わない恋だって。だって、こんなに可愛らしい方と付き合えるだなんて無理に決まってます。自分で言うのもなんですが、僕はモテてきました。それでも貴方以上の方は出会えた事がありません。ただ、自分の好きに気づいて貰えたならそれだけで……」
男性はメソメソとし始める。
なんかどさくさに紛れてモテ自慢をされた気が……。
ハナを見ると、なんとも言えない表情になっていた。
これ、言えなくなってない?
大丈夫かな。
男性がそれだけ伝えたかったんです、と言って立ち去ろうとする。
「待って」
ハナが呼び止める。
「少しだけ、半日だけ一緒にいさせて。貴方の事まだ全然知らないし。その後決めるから」
あれ?断るのやめたのかな?
「良いんですか!」
男性は物凄く嬉しそうだ。
「あ、あの。僕夜勤なので午後から休みなんです。宜しければ、この後僕の家に遊びに来ませんか?そこでゆっくりお茶でもしながらお話ししましょう!」
最初のデートから部屋って……。
なんだかこの人怪しくない?
流石の僕でも警戒するほど、怪しい誘いをする男性。
「最初に部屋に呼び込むって。どんなむっつりだよ。ハナ、こいつやめといた方が良いって」
真咲も同じ事思ったのか、男性を目の前にしてはっきりと伝える。
真咲のこういうとこ、僕好きだなあ。
「なによまた子ども扱い?大丈夫、何かあっても私魔法とか使えるし」
「そんなんじゃねえって。仮にもお前女なんだぞ。よく知りもしない男の家にのこのこ着いて行くって、流石に緩すぎるぞ。あと、さっきつむぎに自分で言えるから大丈夫だって言ってなかったか?」
真咲、なんだかハナのお父さんみたい。
ハナもそう感じて嫌になったのか、大丈夫だって!と言って引かない。
「はあ、んじゃもう好きにすれば?そいつに良いように言われて自分の意見も言えず流されて、優柔不断に付き合えば良い。俺、つむぎと2人で旅するわ。」
真咲が言っちゃいけない事を口にしてしまった。
「真咲!?ハナも大事な仲間なんだよ?」
僕は焦る。
昨日まで気まずいなとか思っていたけど、僕はやっぱり3人一緒が良い。
「あの……僕悪さなんて企んで無いです」
男性が恐る恐る口を挟んでくる。
「ちょっと黙って」
ハナがそれを止める。
あ、ハナ怒ってる。
「あっそ。じゃあ、そうさせて貰うわ。短い間でしたがありがとうございました。さようなら!」
そう言ってハナは男性の手を取って、去ってしまう。
あちゃあ、これどうしよう。
てか、僕の意見は?
僕ハナの持ち主だよ?
なんなら、1番最初にハナに会ったの僕だよ?
真咲の顔を横目に見る。
すんごい眉間に皺を寄せている。
アルコールの匂いがする時よりも酷い顔だ。
「真咲、どうするの?」
「なにが?」
真咲もイライラしている。
この2人は喧嘩してないと会話ができないのかな?
「あのさ、2人で旅するって言ってたけど僕は3人一緒じゃなきゃ嫌だよ?男2人で旅したって楽しくないでしょ?」
僕は真咲を説得しようとする。
が、失敗してしまう。
「あ?俺と2人で楽しくねえの?俺はつむぎと2人で充分楽しいのに。」
僕の目を真っ直ぐに睨む。
僕はしまった、地雷を踏んでしまったと後悔する。
真咲は、もう良いわと言って宿を出て行ってしまった。
あー、もう!
僕までイライラしちゃいそうだ。
なんだかんだあの2人子どもっぽいんだよなあ。
でも、僕が自分の我儘で2人を旅に連れ回してるんだもんね。
どうにかしなくちゃ。
僕は、とりあえずハナが行った方へ追いかけて行く。
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