6-1
僕たちは【麺や・すわき】でうどんを食べていた。
ズルルルルッ
チュル…。チュル…。
ズルルルルッ
チュル…。
「おい!」
麺をすすっていた真咲が急に声を出す。
「どうしたの?真咲」
僕はわかめうどんから肉うどんに変更していた。
別に、寂しかったとかじゃないよ?
「ハナ、お前麺の食べ方があざとい!やめろ!」
食べ方の説教だなんて、真咲は結婚できないだろうな。
「だって、吸いたいけど途中で疲れちゃうんだもん……」
ハナはほっぺが赤くなって、目も少し潤んでいる。
僕は察して口を挟む。
「真咲、ハナは女の子なんだよ?ちょっとは気遣ってあげようよ」
「あ?俺、うどん好きだから目の前でこの食べ方されると腹立つんだよ。思い切り吸って食べるからより美味いのに」
あー、言い過ぎ言い過ぎ。
「分かった」
ハナはボソッと返事をすると、思い切りズルルルルッと食べ始めた。
「な?美味いだろ?」
「ええ、まあ少しは」
満足気な真咲に照れながら答えるハナ。
あー!!この異世界ラブコメ早く終わってくれないかな!?
「あの!」
僕が割り箸をギリギリと噛んでいると、後ろから声をかけられた。
振り向くと、涼し気な雰囲気の男性が立っていた。
背は真咲と同じくらいの170センチ前後くらいかな?色白で目は切れ長、まつ毛は長くて顔が小さい。
程よく筋肉が付いている体は数々の女性を虜にしてきたのが伝わってくる。
くそっ、こんな所にもモテ男が!!!
男性はハナの方へ向き、跪く。
!?
「一目惚れしてしまいました!僕と結婚を前提にお付き合いして下さい!」
「はあ!!!?」
僕は驚く。
ハナはきょとんとしていて、何が起こったのかまだ理解ができていないみたいだ。
真咲は肉うどんに夢中で全く見ていない。
「いやいやいや、急に何言ってるんですか!」
僕は男性の腕を掴んで立ち上がらせる。
「本気なんだよ〜」
男性は泣きそうな顔をしている。
「もしかして、君たちのどちらかが彼氏だったりするのかい?」
「違いますけど!あまりに突然ですから!こういう時って、順序とか踏まないんですか?」
一目惚れだなんて初めて聞いた。
ハナを見ると顔が段々と赤くなってきている。
あ、頭が追いついてきたな。
これ、どうしたら良いんだろう?
え、このままハナ退場なの?
僕のアイテムなのに?
そこまで考えて僕はハッと気づく。
このままハナもこの人を気に入れば、ハナは男性と幸せになって僕と真咲は2人で旅をする事になるよね?
…………。
「ハナ、返事をしてあげなよ。結構かっこいい人だと思うよ。ハナにお似合いだよ」
僕はコソッとハナに耳打ちをする。
ハナは、でも……と困っている。
「ごちそーさん!」
肉うどんを3杯食べた真咲が満足そうに手を合わせる。
「ん?誰だこの兄さん」
真咲が男性にやっと気づく。
「真咲、この人がハナに一目惚れしたんだって……」
そこまで言って、しまったと思った。
もし、これがきっかけで真咲までハナへの気持ちに気づいたんだ、とか言い出したらどうしようと僕は汗をかく。
けど、そんな心配はいらなかった。
「おー!良かったなあ!初めての彼氏になるんじゃねえの?おめでとう!」
……ハナ、本当に真咲で良いの?
真咲は、やっぱ足んなかった!と言って店の人におにぎりセットを追加で頼んでいる。
僕は恐る恐るハナの顔を見る。
うわっ、今にでも溢れてきそうなくらい目に涙を溜めている。
ちょっと、真咲ー!
てか、ハナも随分としおらしくなったなあ。
前までならはっきり男性を突っぱねているだろうに。
恋ってこんなに変わっちゃうものなの?
「あ、あの!別に今すぐに返事が欲しいわけではないんです!僕、この店前の宿で働いているので、返事を頂けるならそこにいるのでいつでも待っています!」
男性はハナの表情に慌てて、それだけ言うと行ってしまった。
てかあの宿に僕たち泊まろうと思っていたんだけど。
気まずいなあ。
「ねえ、ハナ。どうするの?」
ハナはぷるぷる震えている。
真咲の言葉が相当ショックだったんだろうな。
「……とりあえず今日はもう寝たい」
まあ、そりゃそうか。
だいぶ疲れてるだろうし。
「真咲、宿に行こう」
お腹いっぱいになって嬉しそうにお腹をさすっている真咲の腕を掴んで店を出る。
ハナも後ろからトコトコ着いてきている。
はあ、このままじゃ旅するのもやりにくいなあ。
どうにかできないかな。
むしろ、2人をくっつけてしまう方が早かったりして?
僕はもやもやと考え込みながら宿へ入る。
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