5-1
「ワープ!」
「ワープ!」
「ワープ!」
僕たちはあれから8回ほどワープを繰り返している。
台風の中や、物凄いスピードで走る汽車の目の前、とんでもない大男が力自慢大会で巨大ハンマーを振り下ろしている瞬間、急に現れた僕たちに驚いて襲ってくる蜂の大群。
この世界は危ない場所しか存在していないのかってくらい、行く場所全てが危険で溢れている。
「ワープ!」
9回目のワープをした時、僕たちは海の中にいた。
「ゴボゴボガボア!!!!」
僕はワープしなきゃ!とハナに伝えたが、ハナは苦しそうな顔で下の方を指さしている。
その先を見ると、海底に大きな鳥居が建っていた。
鳥居の先は何故か海ではなく、紫色に歪む何かだった。
ハナはきっとあそこに行こうと言っているんだ。
確かに、ダンジョンに通じていそうだが……。
苦しすぎるっ!!!!
真咲を探すと、もう鳥居のそばまで泳いでいた。
はやっ!!!!
僕はゴボゴボと体を動かしているハナの手を握って、真咲の後を追う。
やばいっ、はやく!はやく!
先に鳥居を潜った真咲が目の前から消える。
僕は少し戸惑いながら、ハナを連れて同じように潜る。
ベチャッ!!!!
「ごっほ!!ごっほ!!!!おえ!」
硬い地面に投げ出された僕は激しくむせる。
「ハナ!大丈夫!?」
むせながらハナの心配をする。
ハナも隣でゴホゴホ言っているが、なんとか大丈夫そうだ。
「真咲!!!!」
僕は先に行った真咲を探す。
ヨロヨロとよろめきながら、前の方を歩いている。
そこで立ち止まり、僕たちの方を見る。
「おい、これなんだよ」
僕は真咲の横へ行く。
そして驚く。
僕たちが潜って来た鳥居と同じ大きさの鳥居が四方八方に沢山建っている。
こんなに沢山の鳥居見た事ない。
僕たちのいる場所は崖のようになっていて、そこから見ると崖の下にも、僕たちの頭上にも建てられていて凄く迫力がある。
それぞれの鳥居の穴にやはり、紫の歪みがある。
「なんだ、これ」
僕も圧倒され真咲と同じ言葉しか出ない。
「なかなかレアな場所に来られたんじゃない?」
落ち着いたハナが僕たちの方へやってくる。
「レアな場所って言われても、これ一体何処が攻略に辿り着けるんだろ?流石に全部じゃないよね……」
僕は恐ろしくなる。
「どうだろうな、もしかすると全部がランダムに繋がっていてどれか1箇所だけ正解に通じているのかもな」
とてもあり得そうだ。
でも、これだけの数を試していたら何日いや、何年かかるか分からない。
「ねえ、ハナ。ここは諦めてもう1回ワープしようよ」
その判断が1番良い気がした、が。
「無理ね、ダンジョンの中ではワープできないの。さっきの鳥居を潜る前ならできたでしょうけど……」
そっか、そうなるとここを攻略できないといつまでも出られないって訳だ。
「それより、真咲さん、さっき私たちを置いて1番に鳥居へ向かってたわよね。あまりに冷たく無い?」
ハナが少し怒っている。
「違う。俺はもし、あの鳥居がダンジョンに通じているのならさっさと行って攻略して戻ればお前ら2人も助けられると思ったんだよ」
「攻略して助かる保証なんてあったの?」
ハナがさらに真咲を詰める。
「分かんねえ。でも、何かしらの力は得られるかもしれない。その力を持って戻れば何とかなるかもって可能性にかけたんだよ」
「……ダンジョン攻略してる間に死んでしまうわよ」
ハナの言う通りだ、真咲が戻った頃には僕たちはもう息がもたず間に合っていなかっただろう。
「ダンジョンに入ってる間は時間がズレるって知らねえの?」
え?そうなの?知らなかった……。
真咲が少し苛立ってきている。
やばい、そろそろ止めた方が良いかな。
「ズレる?」
ハナは本当に?と真咲を疑っている。
「ダンジョン入ってる奴は時間が進んでるように感じるが、そこを攻略して出ると何故か何分もかかってないんだよ。お前、仮にもこの世界のもんだったらそれくらい頭にいれとけよ」
そこまで言って、真咲がハッとする。
そうだ、ハナは僕が頼んでほとんど全ての記憶を消してもらっている。
ハナが覚えておける範囲が限られていたから、頭の中に残している情報はだいぶ絞られているんだ。
ハナは僕と真咲の事は全部覚えておきたくて、この世界の人なら知ってて当たり前な情報も少しだけ消してしまっている。
前に僕はハナから聞いていたけど、真咲はそこまでは知らない。
それを察したのか真咲は
「言いすぎた、悪い」
と言って背中を向ける。
ハナも真咲の気持ちに気づいて、気まずそうにしている。
やばい、僕がどうにかしないと。
空気が重すぎる!
「ね!今回先に報酬をゲットできた人が勝ち〜ってゲームしない?負けた人は勝った人に好きなだけご飯を奢るの!あ、ハナの場合服とかアクセサリーとか装備でも良いよ!」
2人が少しダルそうに僕を見る。
いや、分かってる、分かってるんだよ。
こんな訳の分からない場所でそんな命知らずな遊びを提案している僕はバカだって事分かっているんだけどさ!
「良いんじゃない?」
「どうせ攻略しないと出れないんだ、付き合ってやるよ」
良かった、乗ってくれた。
「じゃ、これからは3人バラバラで」
そう言って僕は気づく。
「あ、ごめん。もしモンスターが出たらハナ戦えないよね」
「いいえ、私だって全能はあるの。武器なり魔法なり駆使して戦えるわ」
それを聞いて僕は安心する。
「よし、行きますか!」
僕はどれにしようかな〜とキョロキョロする。
「じゃあ、僕あの鳥居ね!」
壁を少し登らなくちゃいけないが、右手の上の方にある鳥居を指差す。
ちょっと大変そうだけどそれくらい頑張ってみせなきゃね。
「私はこれで」
1番近くの鳥居を選ぶハナ。
「俺はあれで」
そう言って崖の下の方を指差す真咲。
「え、大丈夫なの?危なくない?」
僕は心配になる。
やけになってないだろうな。
「それくらいすんのがダンジョンだろ?」
真咲がハナの方をチラッと見る。
「私、1番のりしたら可愛い服とかっこいい装備ね!」
ハナはふんっと言って鳥居に手をかける。
……攻略が終わった頃には仲直りできていると良いな。
よし、久しぶりの1人だけどやってやる!
「じゃあ、またあとで!」
僕たちはその言葉を合図にバッと別れる。
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