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3-7

「案内すると言っておきながら自分が楽しんじゃってすみませんでした……」

店を出たところでハナさんが謝る。

「気にしないで下さい。僕たち充分楽しめましたよ?」

まだ失恋の傷が癒ていない僕は、勝手に気まずさを感じていた。

「そうね、あのジュースも美味しかったし」

酔いが醒めないハナはまだ少しぼーっとしている。

「でも、真咲さんお酒の匂いが苦手だったみたいで……」

「ああ、気にしなくて良いっすよ。ついでに良い発見もあったんで」

朝日が昇り始めた空を見ながら真咲は答える。

良い発見ってなんだ?

「そろそろ宿に戻ろうぜ。俺たち全然寝てないし」

そう言ってふあ〜とあくびをする。

その前に、とシンさんが聞いてくる。

「旅の途中って聞きましたけど、まだこの街には滞在されるのですか?」

「いや、今日はやりたい事があるのでまだ居ますが、明日の朝には出ると思います」

僕はそう言ってちょっと寂しくなる。

「そうですか…旅に出るとなると暫く会う事は出来なさそうですね。でもまたいらして下さいね!いつでもお待ちしています」

シンさんもどこか寂しげだ。

「はい、絶対また遊びに来ます」

僕は泣きそうになるのを我慢する。

最近涙もろくなったな……。

「誘って頂きありがとうございました、とても良い思い出になりました」

酔いが醒めてきたんだろうか、ハナもしっかりお礼を言う。

では、と僕たちはシンさんに別れを告げて宿へと戻る。

宿に戻った僕たちは疲れていたみたいで、すぐに眠りについた。

そして起きたらお昼を過ぎていた。

僕と真咲は昼食を食べ終え、今日の予定について話す。

ハナはあくまでアイテムという存在だから、やはりお腹は空かないらしい。

一応食べたり、美味しいって感じる事はできるみたいだけどね。

「じゃあ、今日は装備と力について勉強だね!」

実はこの時を僕は楽しみにしていた。

ラノベっぽくてワクワクする。

僕頑張れば破壊光線とか出せるのかな……。

「お前、変な期待してんだろ?」

そんな僕に気づいてジト目で見てくる真咲。

「いやいや、とても真剣ですよ?」

僕はいかにも真剣そうな顔をする。

「あれ?そういえば、全知を消す前にハナから力の事全部聞いておけば良かったんじゃ……」

「そうね、教える事はできたわよ」

ああ、やらかした。

「ただ、装備の事はちゃんと覚えているからそこは教えられるわ」

「約束、ちゃんと覚えててくれたんだ」

僕は嬉しくなってついニマニマしてしまう。

「うるさいっ、さっさと出るわよ」

照れてるハナ。

素直じゃないなあ。

「なあ、ひとつ相談があるんだけど」

真咲が珍しい事を言う。

「どうしたの?」

「この街はもう出て、違う場所で修行しないか?」

「え、なんで?」

「実は、あの店で色々試して俺自身の力については昨日の酒場で大体知る事ができた」

なるほど、良い発見ってその事だったのか。

「あとは俺の能力をモンスターに対してもう少し使ってみたいのと、つむぎの力を確認したいだけなんだけど、お前のその力だと下手したらこの街を破壊する可能性があるだろ?だから、人も建物もない場所に行けるのならそこでするのが理想だと思う」

どうだ?と真咲は僕とハナに聞いてくる。

「そうね、真咲さんの言うようにその方が安全だし力を誰にでも見せる訳にもいかないから良いかもね」

「うん、僕もこの街を傷つけたくないし、真咲の案が良いと思う」

でも、シンさんに明日出るって言っちゃったな……。

もしかしたら、最後にもう1度お別れを言えるかなと思ったけど仕方ないよね。

「よし、じゃあ出る準備をしよう!」

宿を出て、僕たちは少し歩く。

ワープをするのに人目があまり無い場所を探す。

「ねえ、でもワープするにしても人も建物もない場所って行けるの?あと、地図って頭の中から消えてるの?」

「ちゃんと残してるわよ。ただ、地図は分かるけれどどの場所がどんな所かは分からなくなっているの」

勘で行くしかないって事か。

「それで充分だろ、とりあえず海に浮かんでる島でも選んどけば当たるんじゃないか?」

真咲がまた雑な事を言う。

「まあ、どうせ一か八かならそこら辺が妥当かもね」

できるかな?と僕はハナに聞く。

「できるけれど、今いる場所からその島までがどのくらいの距離か分からないのが心配ね。もし、ワープできない距離なら目的地に1番近いギリギリ行ける場所に着く事になるわ」

んー、僕があんなお願いしたばかりに厄介な事になっちゃったな。

僕が申し訳なさそうにしていると、真咲が急に僕の頭をわしゃわしゃする。

「わっ、何?」

「楽しいじゃねえか。旅って感じでさ」

真咲が笑顔で言う。

「ありがと」

僕は親友の偉大さに感謝する。

「じゃあ、とりあえずそのやり方で行くわね」

おっけーと、僕と真咲は返事をする。

「あ、あそこ良いんじゃねえの?」

真咲が指をさす。

あそこ、あの店だ。

シンさんの店の横に狭い路地がある。

確認してみると、人の気配がなさそうだ。

「よし、ここにするか」

真咲が、んっと手をだす。

僕はその手を掴む。

そして、僕のもう片手をハナが掴む。

「私がその場所を念じれば行けるようにしたから、もうつむぎは何も言わなくて良いわよ」

「うん、分かった」

……さて、行くか。

「〜〜♪」

あの音だ。

シンさんの音。

挨拶はできなかったけど、最後にあの音が聞けた。

僕は笑顔でこの楽しい街とさよならをする。

「またね」


いつも読んで頂きありがとうございます!

面白い、続きが読みたい、最近ちょっと気になり始めてるな〜など思って頂けていたら、星の方で感想頂けると嬉しいです!作品の魅力をもっと上げる為にも、反応で素直な感想が欲しいなと思っています。

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