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3-3

「ふぁふぁふぁへへふ?」

僕は口いっぱいに食べ物を頬張っている。

「ふぁふぇふぇふあ」

真咲も同じように喋る。

いや、真咲は何も口に入ってないじゃん。

辺りはもう日が落ち始めていた。

ほんと、楽しい時間はあっという間だなあ。

僕は口の中の物を飲み込んで聞いた。

「ねえ、ハナなら僕の探している人がどこにいるのか分かったりしない?」

『分かんないわよ。発信機つけた訳でもないし』

そうか、残念。

もうあたりが暗くなり始めていた。

少し祭りを楽しみすぎたかな。

あの女性らしき人はあれきり1度も見当たらず、僕たちはただ祭りを楽しんでいた。

もう諦めた方が良いのかな、残念だな。

「〜〜〜♪」

!!

「ねえ!もしかしたらあのお姉さんかも!行ってみよう!」

僕は真咲の腕を引っ張って音のなる方へと走る。

そこには物凄い人だかりができていて、皆んな1人の女性を囲っていた。

あのお姉さんだ!

「ねえ、真咲あの人だよ!」

僕は興奮して指をさす。

「ああ、あの人か。べっぴんさんだな。つむぎが気になるのも分かる気がするわ」

真咲と僕は人だかりからピョンピョン跳ねながら、お姉さんを見る。

「〜〜〜♪」

長い間大切に使っていたんだろうなって分かるくらい、年季の入ったオカリナでとても綺麗な音色を奏でている。

やっぱりあのお姉さんカッコよくて綺麗で素敵だ。

僕はもう少し近くで聴きたくて、真咲を引っ張りながら人混みをかき分けていく。

「おい!無理すんな!」

真咲が心配している。

「大丈夫だよ〜!」

ドンッ

「わっ!」

人混みの中の誰かとぶつかる

「つむぎ!」

真咲と手が離れる。

べちゃっ。

押し出された僕は地面に思い切りこける。

……痛くない。

地面はコンクリートの筈なのに、全く痛くない。

こんなところで最強(チート)能力に助けられるとは。

「大丈夫?」

すると、下を向いていた僕の上から優しい声がした。

上を向くと、あのお姉さんが心配そうに僕を見ていた。

「だ、でぁいびょうぶでう!!」

……思いっきり噛んだ。

なんなら、噛んだというよりも変な言葉を発してしまったの方が近い。

お姉さんはびっくりした顔をしてふっと笑う。

「怪我はないようね。立てる?」

「立てます!」

僕はとても恥ずかしくなり、急いで立ち上がる。

ゴチッ!!

!!!!!

いきなり立ち上がった僕の頭と、お姉さんの顎が思い切りぶつかってしまった。

お姉さんはそのまま意識を失って倒れてしまう。

「ひええ!!!すみません!!」

僕は青ざめる。

きっとこの時の僕の顔色は、かき氷のブルーハワイ味よりも青かったと思う。

周りの人々もザワザワとし始める。

「わ、わ、どうしよう」

慌てる僕。

「つむぎ!大丈夫か?!」

真咲が凄く心配した顔で人混みをかき分けて出てきた。

「う、真咲〜!」

僕は涙目になりながら真咲に助けを求める。

「おい、ハナさん。どうにかしろ!」

凄い雑な命令をハナにする真咲。

『仕方ないわね』

怒るだろうな、と思ったけど意外とすんなり聞いてくれる。

イヤリングから変な音が流れ始める。

モスキート音というのだろうか、あれに近い音だ。

キーーーーーン、キーーーーーン。

すると、あれだけざわめいていた人々が急に何事もなかったかのように僕たちからどんどん離れていく。

「何してんだっけ」

「あ!あそこの屋台行こう!」

「そろそろ帰るか〜」

「まだまだ遊ぼうよ〜!」

ぞろぞろと解散して、しまいには地面に倒れたお姉さんと、真咲と僕だけになった。

「ハナ、何したの?」

『周波数を流しただけよ。ただ、私たちに興味を無くす特別な音』

そんな事もできるんだ。

「ありがとう、ハナ、真咲〜」

僕は泣きそうな声で2人にお礼を言う。

慌てすぎておかしくなりそうだった。

「俺は何もしてないけどな。それより、その人どうにかしないとだろ」

そうだ!

「お姉さん!お姉さん!」

僕はお姉さんの肩をトントンと叩く。

『打ちどころが悪かったみたいね』

「近くにお医者さんとかいないかな?」

「そこまで大袈裟な事じゃないだろ、気を失ってるだけみたいだから、体痛めないようにどっかで休ませてればそのうち起きるんじゃねえの」

「どこかってどこさ」

僕はキョロキョロする。

『一旦、この人も一緒に宿へ帰るのが良いわね』

確かに、下手にどこかでお姉さんが起きるのを待つより宿の方が何かと安心か。

「そうしようか。よいしょっ」

僕はお姉さんを抱き抱える。

「おお、流石だな」

僕の力のおかげなのか、お姉さんがもの凄く軽いだけなのか、とても簡単に持ち上げられた。

「ヒューヒュー!」

真咲がおちょくってくる。

「やめてよ、この原因僕なんだから。嫌われる可能性があるんだよ?」

僕はしょんぼりする。

「面白い男って事で受けるかも知んねえぞ」

真咲が悪そうな顔でニヤッと笑う。

全く。

こんな面白さでモテたくないんだけどなあ。

ん?面白い?

『冷えてきたわね。早く帰るわよ』

……まあ、良いか。

「そうだね」

僕たちは祭りを後にして宿へと向かった。

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