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四分の四

「この状況で弱みを見せて、相手に都合良く振り回されるのは一番マズい!」


「確かに……では、団長と私で謝罪に行きましょう!」


「それも却下だ! 謝罪は俺一人で行く」


「何故です?」


「俺とお前が揃って謝罪に行っても、向こうは何も疑わん!」


「……そうか! 本来なら二人揃って顔を出すべき謝罪に、片方が欠けてたら」


「謝罪が団の総意で無いことを匂わす! 今は相手の情報を探る時間が必要だ!」


「同じことを先方にも思わせて時間を稼ぐのですね!」


「こっちの情報は、都合よく操作してな」


 ハーマンは胸の内から沸々と湧き上がる衝動を抑えきれなかった。


「嗚呼、何でしょう、この感覚! 久しぶりに身体中を温かくてジンジンするものが駆け巡ってます」


「ガキみたいなこと言ってんじゃねぇ!」


(やはり、この人の側で味わう、この感覚は絶品!)


 本当に童心に還ったような郷愁がハーマンを貫いた。


「お前らは先に帰って休め。朝になったら、俺は連中の顔を拝みに行く」


「団員への説明はどうします?」


一先(ひとま)ず、報告は無しだ。俺がこの件に関わってることも含めて、ロイドにもそう伝えてくれ」


「ロイドですか?」


「ああ、出発の時に馬廻りで世話になった」


「判りました」


(しばら)くお前は、規範破りの強姦魔だ! だが自業自得だからな、メセナ!」


 そう言って、ヴィクトールはメセナの背中を叩いた。


「痛えな! 判ってるよ、作戦行動ってことだろ?」


「自業自得だ、何があっても辛抱しろ!」


「了解!」


 だが、それっきり団長の消息は途絶えた……。


 翌日、ヴィクトールがホギ村から戻ってくることはなかった。

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