五分の三
だが、ここで一点。ハーマンに気掛かりが浮かぶ。
「ですが団長、団員の身辺調査は宜しいんですか? 確実に全員がシロと決まった訳じゃありませんよ」
僅かでも、身内に内通者が紛れ込んでいる懸念をハーマンは捨てていない。
すると、間髪入れずにヴィクトールが無碍もない言葉で返した。
「なぁ、もう必要なくねぇ、それ?」
(はぁ?)
少しカチンと来たがハーマンには、それを押し殺せる猶予が戻っていた。
「何故でしょう? 情報が漏れれば団を分ける真意も悟られると思いますが……」
「ぶっちゃけ、さっきの話聞いて、やること判った上で、それぶち壊す情報を報告するか?」
「……確かに、私がその立場なら報告しません!」
「だろ! メセナだってしねぇよ、なぁ?」
「ああ、楽して儲かるに越したことはねぇ」
「な! コイツでも気付くこと、他の団員が気付かない筈ねえだろ?」
「そうか、私達にはメセナが居る!」
「そうなんだよ、俺達にはメセナが居るんだよ!」
「安心しました」
「どうせ二人して、また俺のこと揶揄ってるんだろ!」
「違うぞ! お前が居てくれて助かったって話だよ」
「そうです!」
「嘘臭ぇんだよ!」